フルコンプしましたが、以下はクドルートについてのみの感想です
クドリャフカって名前は宇宙マニアとかSF好きの間では結構有名ですが。
そういう趣味のない人は多分あまり知らないでしょうし、説明してくれなければその名前に込められた意味とかも汲んではくれません。
クドリャフカとかストレルカとかベルカと言うのは、宇宙に行った犬の名前として(一部で)有名で、「ライカ犬」という呼ばれ方では、もうちょっと広く知られているかも知れません(でもこの呼びはロシア語だと「犬犬」って意味になってホントはヘンなんです)
もっとも、その犬は宇宙に行っただけで帰ってくることはありませんでしたし(ストレルカとベルカは生還しています)最初からそのつもりで打ち上げられて死んだのですが・・・何だかもうライターさんの「それぐらい知ってるよね」とか「これだけ思わせぶりに書いておけば、あとは自分で興味もってくれて調べてくれるよね」的な、ユーザーに対する甘えとも言える態度が見えるのが、個人的に許し難いなと思います。
ストーリーの内容がいまいち稚拙だとか、旧東側の国の言葉を手当たり次第に都合良く拾ってくる上に、その内容を都合良く利用するコトについては、それもありかも知れないし、今後の経験や試行錯誤をしていくうちに自分のスタイルも完成するのだろうと思いますから、頭ごなしに悪し様に言うつもりはありません。
でも、この作品は全年齢向けの、しかもアドベンチャーゲームなのだから、どんな材料を使うにしても、ユーザーをストーリーの中へ引き込む為に必要充分な説明(あるいは納得できる演出)はこの作品でもできたハズですし、それを考えて書くのがライターの仕事ではないでしょうか?
最後の超展開についても、私としてはそういう手段でヒロインを救うのもアリかと思いますが、それとてそうした奇跡に頼らなければどうしようもない現実やら、世の中の不条理さについて、誰にでも分かるように説明してくれなければ、それが評価されることはないでしょうし、奇跡の大安売りとさんざんこれまで評されてきたKeyの作品の中でも、おかしなぐらいに陳腐にしか見えないはずです。
少なくとも私には、ゲーム中のテレビやラジオの報道として流れる海外ニュースのナレーションだけでは何が言いたいのか分からないし、奇跡でも起きなければどうにもならないほどに追い込まれた事態というシチュは伝わってきませんでした。
電話でのやりとりは(声優さんの演技力に多分に後押しして貰って)それなりに追い詰められてます、な感じを汲むことができましたが、結局それだけでしたし。
苦言を言いたい点はほかにもたくさんありますが、つきつめて言えばクドルートは
「表現したいことを表現する為に、必要なことを書いていないシナリオ」だったと評価する他ありません。
特にクドが「いびつな歯車」と評される理由や背景について、何一つ直接的な説明がされておらず、あれではただの自虐発言を繰り返しただけで終わりです。
おそらく、クドのような(色んな意味での)生け贄を必要とする社会こそがいびつな形をしており、そこをつなぐ架け橋たろうとすれば、その間にかかる橋はいびつな形になることを求められる悲しい存在・・・みたいなことを言いたいのだと私は感じて、そうした主張には大いに共感できるのですが。
いや、無理ですよ、あのテキストからこれを汲んであの展開を理解して納得して感動しろってのは・・・
個人的には猫より犬の方が好きですし、旧東側の国の宇宙開発の歴史とかも好きな上に、クドの声をやっている声優さんも好きなので、本当はもっとずっと高く評価してあげたいと思うのですが、作品としてのクドルートへの評価だけなら49点、もしこれで音声なしだったら30点ぐらいしかあげられません。
ちょっとだけこのゲーム全体の評価を書いておきます
私にはこの作品からは、どうしても「CROSS†CHANNEL」の臭いがしますし、多分それはメーカーも承知の上だったとは思うのですが・・・残念なことに私の中では4年も前のあの作品を超えられていないと思います。
CROSS†CHANNELでできなかったコトとか、触れていなかったことをより深く掘り下げてみせてくれていたら、こんなにも気にならなかったと思うのですが、よく似ている上に超えられていないように思えるのです。
でも、単体の作品として見る限りやって損のない作品だと思いますよ。