物語としては100点などあげることなどできない。 だが、そんなことが気にならないくらいに磨き上げられた設定。こと名前を用いた設定の上手さにおいてこのゲームに比肩するものはありえない。泣ける話ではない。燃える話でもない。だが、体が震えるほど凄まじい設定だった。これだけで満点の価値がある。
間違いなく合わない人には全く合わない。特に欝シナリオが絶対駄目という人や、みんな幸せでなければ駄目という人は拒絶反応が出るだろう。なにせ、どのルートでもヒロインが死ぬし。ふたみルートでは此芽、此芽ルートでは恐らく傘姉がふたみを、そして傘姉ルートでは大虐殺。
だが、個人的にはそれぞれの誇り高さがとても気分がいいものだった。雲戌亥が異能の力を以って守ろうとする想い、明日宿の人は自分の手で進むべきだという想い。俺には両方とも間違ってないと思えるし、そんな簡単に覆していい想いでもないと思うのでこれでいいのだと思う。まあ、桜守姫だけはどうも駄目な一族っぽいけど。まあ、始祖があれじゃあねえ……
それにしてもやっぱり名前の使い方がうまいっすね。今回登場する人物で名前に意味の無かった人物は皆無だったし。つか、どれも意味が深すぎ。他にも、星座と十二支をかけ、日本の神話やギリシア神話が主題かと思ったら実は北欧神話がメインテーマという意外性。狼=大神かと思ったんだけど、どうもアレがラグナロクの象徴っぽいね。だから策の手によってラグナロクが止められたってことだろうし。
基本的に全体が高スペックで80点以下の要素なんてないけど、強いて難点を言うならば一点における破壊力がたりなかったって所かな?これさえあれば不屈の名作となっただろうに。本当に惜しい。