賛否両論であっても私的には傑作
先ず述べたい。るーすの描く人物や心理描写はよく私の琴線に触れる。
なので個人的にはどうしても甘い評価になっていることを念頭に置いて欲しい。
物語の内容云々以前に彼の作品においての共通点を強く認識させられた。
一般的な視点を全く無視し極端な価値観をしかし確信を持って立ちはだかる敵(年経た人物である場合が多いだろうか)。
他人から見れば切り捨てて当然のしかし本人にとっては切れない家族の縁。それに対する固執。
人に接することへの根源的恐怖と関係維持に対する努力、諦め、苛立ち、温かさ、切なさ。
これらはるーすの持つ教訓めいた何かを感じるし、それに対する彼の拘りを強く感じる。
他の誰が見てもどうしようもない人間がいたとしても切り捨てたくないと思う人間(身内)がいる。
得てしてそういう人間(身内)が誰も知らなかったどうしようもない人物の持つ暖かい側面に気づけたりする。
非現実的なシステムである”会”を通して伝わってくる思いの数々は共感していた心を釘付けにしてくれた。
素晴らしい音楽と相俟って声優陣の心の籠もった台詞の一つ一つに打ちのめされた。
ラストの盛り上げや分岐、選択肢がない等確かにゲームとしての完成度は低いのだろう。
勝手な推測でしかないが、るーすという作者が常に拘るのは(普通は欠いてはならないが・・・)物語のまとまりではなく課程であった数々の人物の苦悩と選択にこそあると思えてならない。
個人的には感動する素晴らしい作品だったに尽きる。泣いた。