たまソフトらしさを貫いた、完成度は低いながらも独特の良さを持つ作品
構成が変わっていて、現在(あるいはif世界?)を描いた共通部→過去を描いた個別という構成
主人公を中心にした若者たち仲良しグループの崩壊(過去編)と再生(現在)がテーマでしょうか
過去編
主人公以外のキャラも密かに想い人がおり、それが主人公とルートヒロインの恋愛を
きっかけに、仲間たちの歯車はゆるやかに狂っていく、そんな展開なのですが
あからさまな修羅場などを使わず、淡々としかし丁寧な心理描写で描いているのが印象的
街の再開発問題や主人公達の親キャラの絡みなど、各イベントも暗示的に主人公達の
拠り所(永遠)の脆さと、それに必死に縋る彼らの繊細さを描けていて良かったです
なお、俺は問題ありませんでしたが、最後は鬱展開になるので注意
一方、その大事なコミュニティの雰囲気が、ルート間で全然整合性がないのは残念でした
特に帆月、涼ルートではグループのリーダー的な存在だった主人公が、くるみルートでは
お調子者でいじられキャラになっていたのには物凄く違和感が残りました
現在編
ある程度仕方ない面はあるのですが、過去編の3ルートにあまり整合性がないため、
どのルートともなるたけバランスを取ろうとして、肝心の「仲間たちが再び集まるさま」が薄味
特に主軸の涼・徳之進・くるみのメイン3人は過去ルートでのわだかまりが微妙に違うため
何がわだかまりで何をもって和解したのか細かく描写できずぼかして描かれていたので
主人公が頑張った割に蚊帳の外っぽい感想を抱いてしまいました
それでも、過去編のエピローグを含め斬新な構成で、後日談を含め気になる終わらせ方でした
他
この内容で男キャラに声がないのは致命的、また桃ルートは削除された?っぽく残念
十分な開発予算がなかったのでしょうか?完全版を期待したいですがその前にブランドが・・・
まとめ
非常に面白いアイデアと設定のもとに生まれた作品ですが、それゆえに構成も難解になり、
各ルートの整合性等々、複数ライターを上手く統率できなかった感じ、というのが正直な感想
まさに「名作なりそこね」ですが、名作の予感を感じさせた長所は秀逸でした
エロ薄かつヒロインに萌え的な魅力が乏しいので、非常に人を選ぶ作品とは思いますが・・・
シナリオ:B、CG:C、サウンド:A、キャラ:A
お気に入りのキャラ:早瀬涼、篠村桃、浅山徳之進