演出の水準は高くシナリオ、ギャグのテンポは非常によい。キャラクターの立て方もよく、声優陣の演技がキャラを引き立てていた。シナリオはずば抜けてよいわけではないが雰囲気を安定させた軽めのもの。それゆえ短所が見えにくくなっている気もする。
タイトル、イベント回数から分かる通り本作のメインヒロインは涼子さんである。ただ可愛い若作りの女性と思わせておいてその身のうちに熱い情熱を宿す彼女は大変魅力的である。
ただ、これは小雪という娘がいなかったならばの話である。
涼子は言う。主人公より20年近く早く生まれたことに悔いは無い、前の夫と結ばれ小雪を産み、主人公と出会えたからだと。泣かせる台詞である、母としての言葉ならば。
単に主人公と涼子が20年近く年が離れているというなら全く問題ない。その物理的な溝はそれこそ愛が埋めてくれるだろう。周りもそれを祝福できるだろう。
だがその20年のうち15年近くは母として生きたのではないのか?繰り返し最愛と謳う我が子小雪の幸せを願って生きたのではないのか?
小雪が街頭で泣きじゃくっている時にホテルで男とセックスしているおぞましさ、女として生きる選択を選びながら最後は家族の暖かさで締めようとするおぞましさが拭い去れない。はっきり言ってあまりに中途半端、そして甘い。
同じ甘いなら小雪との桃色時空で悶えている方が私は幸せだ。