「駄目人間」達のほろ苦くいけれど優しくて、怠惰だけれど熱い青春物語。ロックなBGMで紡がれる生きることへの賛歌。
基本的には業界や某巨大匿名掲示板のネタやリズミカルな登場人物の掛け合い、デフォルメキャラなどによりコメディ色が強くエロゲーマーならおそらく笑えます。SEなどを含めて視覚的、聴覚的演出が上手なのもこの作品を活き活きとしたものにしています。
扱っているのがエロゲ製作、オタクとマニアックですが作品の根底にあるのはもっと普遍的なことだと思います。登場人物全てがクリエイターとしての自覚と誇りを持ち、己の人生をしっかり生きているわけではありません。なにせ、「駄目人間」ですし。
しかし、「堕落」したサイテーな場所で何かを掴もうと、その場所での高みを目指そうとする彼ら彼女らを誰が馬鹿にできるでしょうか。EDテーマの歌詞にもありますが、彼らも我々も「ハッピーエンド」が待っていることを信じて、今を一生懸命生きる「スピード狂」なのです。
可憐の口を通して語られるエロゲ製作への熱い思い、流されるだけであった主人公の成長など青春物語としての要素もバッチリです。この主人公の口から「僕が幸せにするんじゃない、二人で幸せになるんだ。」なんてダサくて手垢にまみれて、でも素直で熱い台詞が聞けるとは思わなかった。
この作品はクリエイター達のオナニーです。素晴らしいオナニーを有難うと言いたい。これからも頑張って下さいと言いたい。そんな作品。