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dairさんのぼくの一人戦争の長文感想

ユーザー
dair
ゲーム
ぼくの一人戦争
ブランド
あかべぇそふとつぅ
得点
85
参照数
726

一言コメント

驕るな 悟り 愛を知れ

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

会はそう仕向けているのかもしれない。
それは人生のようなものかもしれない。
それがライターのメッセージかもと、考えすぎかなとも思うけど。

作中でも主人公がるみの家族にしていたみたいに
人を知った気になって、決めつけて、何かのせいにしたり、他を悪にする

(蓮司はそうはならなかったが)
そのくせ何かに縋ろうと、自分は何かに救われるべきだと思い込み、救われないことで憎しみを増幅させ負を撒き散らす。
そういう人間は苦しみながら孤独になって死んでいく。

現実にそういう人間はいる。



主人公を勘違いさせる叙述トリックはライターのジャブみたいなもんで
ぶっちゃけ「またこういうのか~、しょうもないなあ」と思ったけど、そこはまあ驚かせる以上の意味はない気がする。


読み進めるほどストーリーに引き込まれて、途中からは一気にやってしまった。


会のしくみも手探りでしかわからず、最後まで体験したことと一番よく知っている長門からの情報しかわからないし
エフェクトすらろくにない戦闘描写もこの作品において重要なことではない。

会において重要なのが人との関係性と自分の感情であるように
本作で大事なのも誰が何をどう感じ、どう考え、どう行動したのかを受け取めること。

サブキャラクターも皆魅力的で
立ち絵のないキャラクターも含めて、みんな必要だった。


長門は怪しく、不敵で狂った悪役たる悪役であった。
悪を、演じきった。
彼はどれだけの嘘をついただろうか?
必要だと思ったことをしたし、したいと思ったことをしたのだろう。


会は生贄で、呪いであることに違いはないだろう。


でも最後に自分を取り戻し、花嫁衣裳のるみちゃんと笑いあった。
それでいいじゃないか。