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dairさんのJOKER -死線の果ての道化師-の長文感想

ユーザー
dair
ゲーム
JOKER -死線の果ての道化師-
ブランド
あかべぇそふとすりぃ
得点
60
参照数
2271

一言コメント

ある意味あかべぇそふとらしい、 今まで以上にやりたい場面・見せたい場面を理屈抜きでぶち込んで、一応のつながりと答えをひっつけたようなシナリオ。 数学で言うと、答えを決めてから式を作るようなものか。ただ、きっと退屈だけはさせないだろう。呆れることはあるかもしれないが

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

日屡間「俺は届けたい。俺の気持ち、俺の願いを。たくさんの人に」
「そのために1番肝心なもん、それが何かわかるか?ええ?」
「……暴力だよ。とびっきりに最高の、純度100パーセントの暴力」
「それこそが、最高のコミュニケーションツール。いいか」

刺激で釘付けにし、見せたいものを見せ付けてくる。ある種、日屡間のようなゲーム。

早々に(GiveUp) した人は賢い選択をしたと思う。
他のエロゲーとか、運動するとか、あるいは寝ていた方がこのゲームをプレイするより有意義な時間を過ごせる可能性が高い。

なぜ自分が最後までプレイしたかと聞かれれば「退屈はしなかったから。」
だもんだから、ついつい最後までやってしまった。
「暇つぶし」が人生みたいな人間なので。




噂のテキストはそこまで問題ではない。
頭のおかしさや子供の思考的な表現として見れば独特のセンスが光っていると思う。
主人公以外の視点でのモノローグは割と普通だし。


絵もよかったし声優陣の熱演、特に日屡間は強く印象に残った。
問題のシナリオ、引きつける見せ方はうまいと思うが
しかし何がしたかったのかと考えれば、よくわからない。

形としては各章ごとにヒロイン、終盤に主人公とその追ってきた過去に焦点が当たるものだが。
それぞれに常に次回予告でもされてるみたいな刺激が与えられるため、感覚が麻痺してくる。

重要な点に蛍光ペンを引いてあるのが普通のノートだとしたら、全部のページが蛍光ペンで塗りつぶされているのがこのノート(本作)だ。

そんな状態では
ヒロインの陵辱、日屡間の狂ったような言動、ジョーカーの正体、そして結末
それらに特段の差は無い。
逆に言えば全部が盛り上がった平坦な道のようなものかもしれない。


それだけに、もったいなさを感じる。ゲーム自体にしても自分の時間にしても。