「恋愛」と「職人」という二つ要素を上手く結びつけて書かれた、恋愛にも仕事にもひたすら一途な純愛がテーマな作品
個人的にベストオブまきいづみゲー。
正直言ってここまで良作だとは思ってませんでした。
タイトルが「どんちゃんがきゅ~」ですし、プレイ前は特に惹かれるようなタイトルに思えなかったのが一番の原因ですが。
しかし、プレイするとこのタイトルしかないと思わせる良いタイトルです。
まぁでも、さすがにこのタイトルで職人物だなんてわからないでしょうけどw
前作である「さかしき人にみるこころ」では天然っ娘としてしか見れなかったどんちゃんが今作でここまで化けるとは。
どんちゃんの声優はまきいづみさんでしかありえない!と言い切れる良い演技でした。
やはりどんちゃんの心の声も全てボイスがあてられいるのがやはり大きい。
どんちゃんの恋する気持ちがとても伝わってきました。
また、前作と時間軸が同じこともあって伏線もしっかり回収されていましたね。
前作はどんちゃんに関してはわりとわからない部分がありましたし。
主人公はどちらかと言えば人形職人の俊夫さんではなく、どんちゃんです。
ゲーム開始時点で既に二人は付き合っているという設定はこれが低価格作品であり、ほぼ一本道であるからこそできることだと思います。
彼氏である俊夫さんを見ているとどういう過程で二人が付き合ったかなど細かく説明をされなくても付き合ってる理由が自然と見えてきます。
俊夫さんは包容力があると言うんでしょうか、精神的に凄く大人です。
彼は人形職人であり、仕事に熱心な俊夫さんのことを好きになるというのは男のある私でも納得がいきました。
女性は男性のこういうところを好きになるんだなとか、年上であることも含めて女性側から見た理想像はこのようなものなのではないかとか。
仕事熱心なのはお金が欲しいからではなく、その仕事が好きだからということも含めて俊夫さんはまさに職人という感じ。
俊夫さん視点のところもしっかり書かれているからこそそう言えるわけですけど。
人形職人という設定から上手くR18要素を持ってきたなと。
えっちな人形を作るというところからどんちゃんとの関係もさらに深まっていきますし。
Hを通してお互い愛を確かめ合い、また俊夫さんは「実物」に触れることで人形職人としても成長する。
その一方で身近な存在であるどんちゃんの綺麗な部分が人形作りにも反映されていき、作った人形が「どんちゃん」になる。
結果として、負の部分ありきで人形を作らないといけない人形職人としては駄目なものになり、まさに「生」人形を作っているんだなと。
終盤の職人としての親方の言葉は非常に重いものばかりでした。
職人として生きるという道をとるか、それとも妻と歩む幸せをとるか。
最後まで恋愛と仕事の関係について考えさせられました。
この作品の締めとしては非常に良いシナリオだったかと。
職人の話を絡ませつつもしっかり純愛物としても終われてますし。
テキストは前作の雑学要素を引き継ぎながらも今回はどんちゃんの心理描写がメインになっていて丁寧に書かれてるため、どんちゃんの恋心がよく伝わります。
上で書いたとおり、声優さんの力も大きいですが。
前作でも思いましたが、相変わらずこのライターさんの雑学ネタを含むテキストは面白い。
今回は職人よりな雑学が多めであり、そのジャンルの中でも幅広い知識を披露していました。
和服の洗い方なんてはじめて知りましたし。
雑学の他に駄洒落も多いですが、どれもセンスありますね。
場が和むような、どんちゃんにぴったりな駄洒落ばかり。
不満点としては替え歌のところや一部ボイスで完全に制御不能になるところです。
演出上しょうがないですが、いちいち操作が止まるので気になりました。
後前作からも言えることですが、携帯絵文字のような絵文字が多いというところももう少し改善してもよかったんじゃないかと。
この携帯絵文字を嫌う人もいるでしょうし。
個人的にはもう少し評価されてほしい作品ですけど、知名度的にも無理でしょうね。
しっかりとした職人物かつ純愛物を低価格作品で作り上げたシナリオライターさんは凄いの一言です。