化けましたね。テキストも物語もCGもHシーンも、ほぼ全ての要素が無印から一段階ブラッシュアップされたと言っていいでしょう。梱枝りこ・しらたま両氏の絵が好きな方、ストレスフリーな癒し系萌えゲーをお求めの方には、是非モノの作品ではないでしょうか。あ、当然プレイは無印からをお勧めします。尺が意外と重要な作品だと思うので。長文感想には米澤穂信著『遠まわりする雛』のネタバレがあります。気になる方は回避してください。
「見てください、折木さん。ここがわたしの場所です。どうです、水と土しかありません。
人々もだんだん老い疲れてきています。山々は整然と植林されていますが、商品価値としてはどうでしょう?
わたしはここを最高に美しいとは思いません。可能性に満ちているとも思っていません。でも……」
腕を下ろし、ついでに目も伏せて、千反田は呟いた。
「折木さんに、紹介したかったんです」
(米澤穂信著 古典部シリーズ「遠まわりする雛」より)
そう、こういう作品で意外と重要なのは尺(作品世界に居る時間の長さ)だと思うのですよ。
前作(無印)は何だか妙に駆け足で
せっかく創った世界観に浸るべき時間も
梱枝りこ・しらたま両氏の手になる可愛らしい容姿のヒロインとのイチャラブも
とにかく急かされるように過ぎていってしまって。
ちょっと高級な喫茶店やケーキ屋に入って
いつもと違う上質な時間をゆったりと楽しもうとしたら
ファストフードの如きスピードでインスントコーヒーと大量生産ケーキが出てきて
あっという間に店から追い出されてしまった。そんな感覚。
前作はワタクシの感覚が作品世界に浸りきる前に終わってしまったのです。
≪きららアニメ≫と呼ばれる作品群がアニメの世界にはあります。
この『あまいろショコラータ』のように
描かれるのは美少女たちの日常で、大きな事件など特に起こらない。
実はこの≪きららアニメ≫って、どんな作品でも大体の場合第1話ってつまらないのですよ(※個人の主観です)。
だってよく知りもしない女の子が、よく知りもしない世界でワイワイやってるのを見せられるだけですから。
ですが、これを根気よく3話4話と視聴し続けると、案外面白くなっていくのです。やってること変わらないのに。
これは、1話でよく知りもしない女の子だった娘が、どんな娘か分かってきて愛着が湧いてくるから。
よく知りもしない世界が、どんな世界だか分かってきて、作品世界に入り込めるようになるから。
そういう受け取り手の感覚の変化の結果なのです。
で、本作『あまいろショコラータ2』。
化けた理由の一つは結構単純で、無印を踏み台(言い方!)にした結果です。
無印が、上記≪きららアニメ≫の序盤を担当してくれたんですね。
『あまいろショコラータ』全編を通して、作品世界やヒロインたちに半分浸っている状態からスタート出来た。
それがとても大きかったのです。
無印前提ですから、最初から世界の説明をする必要はありませんし
ヒロインたちの性格やその人間関係なんかも、プレイヤーはもう分かっています。
(細かく説明するか否かの選択肢が出てきますが、どちらを選んでもダイジェストとも言えない短さ)
そうなってくると、無印でそれらの説明の使わなくてはいけなかった尺を、他の表現に使えるようになるのです。
ヒロインたちとゆったり過ごす日常。
その日常を使って表現されるヒロインたちの可愛さ。
2人がお互いを意識し合ってから付き合い始めるまでの、嬉し恥ずかしもどかしい時間。
無印で足りなかったこれら重要な部分が、きちんと表現されるようになっていて。
無印では登場しなかったかぐやちゃんさえ、こうした表現にしっかりと尺を取ってもらっていて。
ヒロインのちょっとした心情の吐露が、後のシーンに繋がっていたり。
脇役として寄り添ってくれる時の態度や仕草が、人物としての魅力を押し上げていたり。
無印でもやっていない訳ではないものの、かなり尺が足りていなかったこれら表現が
目の前の女の子の魅力を輝かせるに足るだけの、充分な量用意されていて。
無印に比べ(比べちゃってゴメンナサイ!)
数段魅力的に描かれたヒロインとのイチャラブが楽しめる作品へと、進化を遂げたのです。
事程左様に、テキストと物語で描かれる彼女たちが魅力的であるなら後は簡単。
プレイヤーたるワタクシは
梱枝りこ・しらたま両氏の手になる可愛らしい容姿のヒロインを/で
存分に愛でつくし、存分に萌えつくし、存分に抜きつくして
この夕渚町に永住することを、決心したのでした。
みつきさん +-+-+ 蛇足 +-+-+ √分岐どこ?
・一番化けたのはしらたま絵ですよ。ビックリ。
正直な話、『恋×シンアイ彼女』(2015)や『しゅがてん(体験版)』(2017)の時は
可愛いけれど、それほど強い訴求力を持ってはいなくて
ああむしろ『ずっとすきしてたくさんすきして』(2013)時代の方がいいなぁとか思っていたのです。
ところが『あまいろショコラータ』で、おっ!と思ってさらに本作で大ジャンプ。
塗りとの相性もあるのかもしれませんが
日常シーンからHシーンまでもう、その全てが美しい。
ヒロインの表情一つ一つも魅力的で、少し変わる都度、改めて惚れ直してしまいますし
美しいおっぱい、美しい乳首、美しいお尻、美しい全裸。
Hシーンのエロ可愛美しさ(造語)はcyokin10wエロゲプレイ史上、お世辞抜きで No.1!
どんな良い絵師さんでも、何か微妙な立ち絵とか
ちょっとクオリティ低めのCGとかが混ざったりするものですが
そういった隙も一切無し。
絵に関しては文句ありません。100点です。
・一番好きな娘はかぐやちゃんです。
(和泉妃愛&錦あすみ(共に『ハミダシクリエイティブ』)以来4ヶ月振り13人目の殿堂入り嫁)
ただオドオドしてるだけの間はそれほどでも無いのですが
控えめで恥ずかしがり屋の彼女が、段々主人公に懐いてきて
少しずつ笑顔が増えていって、その笑顔がとてもとっても可愛い!
スリスリ甘えてきて、無意識にちゅっとやっていった時には心臓止まるレベルで悶えました。
だからこそ、そんな庇護欲をそそる彼女が、実はエロい娘でビックリですよ。
付き合う前の段階で風呂に背中流しに来る(バスタオル1枚)のに始まって
初H→自分から誘う
2回目H→自分から誘う
3回目H→着替える主人公を待ってる間にもちづき店内でオナり始める
→それを見て勃起した彼氏のモノを率先して咥える
キャラ崩壊レベルで、どエロい女の子と化したかぐやちゃんに唖然としていると、そこでようやく重大な情報
「うさぎの獣人はとても性欲が強い」
おそい、おそいよイチッカーさんっ!もうかぐやちゃんのHシーン終わりだよっっっ!!!
……さておき、Hシーンも初Hから最後まで好みのシーンばかりで
人生で何度この娘に搾り取られるか、今から自分が心配です。
・そのかぐやちゃんの初Hシーンで、挿入前に乳首とおま〇こprprした柚希くんを高く評価します(性癖爆発)
・Hシーンでの卑語が多かったのは素晴らしい事ですが
ナナとかぐやの初Hの時にはほぼ使われていないのですよね。
2回目以降に言わせることで
初心(ウブ)なあの娘がこんなにHに!
という感じに見せたかったのだと推察しますが、あまり上手く機能しませんでした。
卑語がエロいのは、恥じらいが伴った時だと思うのですよ。
ですからむしろ初Hの時にこそ
初心な処女を恥じらわせながら、おち〇ちん言わせる。
その方がずっとエロいのです。
で、その娘が初Hの終盤に、快感に理性が溶けて卑語を連呼するようになる流れだと尚良(性癖大爆発)
・苺華が柚希くんを突き放すシーンで、『遠まわりする雛』の上記シーンを思い出したのですが
感想書くために改めて思い返してみると、やはりちょっと感じは違いますね。
千反田えるは、線を引きながらも、そこを越えてきて欲しそうな雰囲気を感じて
この場面も、決して強い態度、強い言葉ではありません。
一方、御園苺華のそれは明確に拒絶でした。
立場とか役割とか責任とか、それに伴う行動とか、彼女は公的な部分しか出していませんが
そもそもこれをやらなければいけなくなったのは、柚希のことが好きだから。
そして柚希も自分のことが好きだと分かってしまったから。
柚希のことが好きで、しかも相思相愛だからこそ、強く突き放すしかなかった。
当然、わざわざ彼の前で獣人×人間カップルを引き裂く仕事を披露したのは
柚希への忠告だけで無く、自分への戒めの意味もあったのでしょう。
正に今、一つのカップルを引き裂いた自分が、どの面下げて目の前の彼、しかも人間と付き合えるというのか。
罪悪感に押し潰されながらも、自らの立場を捨てるわけにもいかず
柚希を遠ざけるしか無くなってしまった彼女は、あの後どれだけ泣いたことでしょう。
その涙は結局、柚希くんが頑張って拭ってくれたわけですが(ちょっとおままごと臭もしましたが)
それだけでは足りないことを、ライターさんもちゃんと分かってくれていて。
引き裂いたと思っていたカップルが、ポジティブ女子パワーで別れていなかったという顛末は
苺華と柚希への、ライターさんの優しいまなざしが感じられる、2人への素敵なプレゼントだったと思います。