アサプロらしいギャグパート担当ヒロインと、ライターさんの嗜好が色濃く出ている感のある恋愛パート担当のヒロインを、前作以上に分けてきたかなと。どちらの要素も突き抜けたインパクトは無いものの、それなり以上に高み安定はしているので、最初から最後まで安心して楽しめる一本だと思います。
アサプロと言えば
攻略対象のヒロインが汚れも辞さない体当たりで笑いを作り上げるものの(顔芸がその筆頭)
笑えれば笑えるほど、可愛くなければいけないヒロインの『可愛い』が擦り減っていくという
悲しいアンビバレンツを抱えているのが、最早仕様と言える状態になっていて
萌えと笑いのバランスをどう取るのかという部分が、毎度課題として表れてくるのですが
アサプロの方にもそういう問題意識があるからなのか
「かりぐらし恋愛」では、親(家族)に笑いをアウトソーシングしたり
「恋愛、借りちゃいました」では、笑い担当と恋愛担当のヒロインをある程度分けたりなど
萌えと笑いとなんなら物語(恋愛)もなんとか並び立てようという苦心を
過去作から感じ取ることは出来たのです。
んで今作はというと、後者。分けてきましたね。
汐音・乃々香・まりがお笑い・汚れ担当。
蓮菜・由奈のアイドルコンビが恋愛・シリアス担当。
(恋愛的な意味で重要なポジションにいたはずのまりちゃんが顔芸全開汚れ役なのが意外!)
前者三人の√は、可愛いを犠牲にしてでも笑いを取りに来る、いかにもアサプロという内容で。
お話の中身スッカスカ、笑えれば笑えるほどヒロインの可愛さが擦り減っていくという
萌えゲーとしての致命的な欠陥を抱えつつも、面白いからまあいいや、と思わせてくれるパワフルさを感じられて。
一方後者二人は、そういった体当たり系の笑いからは遠ざけられていて
蓮菜はツッコミ役で、そうでない時はあざとい可愛さを振り撒いていますし
由奈に至っては特別扱い。笑いに関しては時々毒吐くくらいで、体当たり芸なんかはほぼしません。
(一度まりちゃんぶん殴ってましたが)
顔芸に関してもマイルドな表情がある程度で、むしろ可愛らしいくらい。
本当に、アイドル二人の「可愛い」は、擦り減らないよう大切に守られていました。
そしてその大切にされた「可愛さ」は見事にワタクシを直撃しまして。
ワタクシはすっかりグロリア*スノウ推しドルオタになってしまいました。
もちろん、どちらの雰囲気が好きかは本当に好みの問題ですし
アサプロのイメージからすれば、前者が好みの方々が多くても何の不思議もありません。
ただ、前作『恋愛、借りちゃいました』では
中途半端に混ざってしまった部分があったことで
某二人の個別イチャイチャを楽しむことが出来なかった状態から考えると
(詳しくはcyokin10wの『恋愛、借りちゃいました』感想をご覧ください)
蓮菜√・由奈√共に
ヒロインの可愛さも
その可愛いヒロインとのイチャイチャも
存分に楽しめた
良い、イチャラブ萌えゲーだったと思います。
良徳くん *** 蛇足 *** イイ奴
・お気に入りのヒロインと√は共に蓮菜ちゃんです。
この娘はあざとさよりも健気さの方が目立っていて、そこが刺さったんですよねぇ。
まさか受けてもらえると思っていなかった告白を受け入れてもらえて
だらしなくにやけている、次の日の蓮菜ちゃんはとても可愛かったですし
由奈の事を好きなセンパイが好きだった
ふたりでいるふたりのことが大好きだった
時々その二人のそばに、三人で居させてくれればそれで満足だった
センパイの、一番じゃなくても良かった
それなのにアタシは、大好きな人から大好きな人を奪ってしまった。
罪悪感と後悔と、現在の幸福にまで苛まれながら
大好きなセンパイを、大好きな由奈に帰そうとする蓮菜。
でも、そんな彼女に向って浩孝と由奈が見せたのは、別れ話で。それが自分には
「いま 僕が/ヒロくんが 好きなのは蓮菜ちゃんなんだよ、自信を持っていいんだよ」という
二人から蓮奈ちゃんへの優しいメッセージのように感じられて。
雪の降る中、それぞれが、それぞれのことを想い合っている
とても素敵な、本作の白眉のシーンだったと思います。
・ワタクシがアサプロを追いかけ始めた理由は
好みのHシーン(サマリー参照)が多いから
だったりするのですが、メインライターさん変わって以降
段々と好みから外れつつあるんですよねー。
まあHシーンの指定は、ライターさん関係無いかもしれませんが。
脱がす差分、頑張って欲しいなー。
・で、そのライターさん。
ワタクシは本作のライター、八日なのか氏を
フリーハンドで書かせたら、丸戸史明になるのでは?と前作の感想で書いたのですが
上記シーンも含めて、がっつり丸戸してましたよねぇ。ちょっとビックリするくらいに。
微妙な関係の前カノが居たり
二人より三人がいいって言い出す娘が居たり
大好きな人の一番になれなくても、とか言い出したり
振られれば振られるほど輝いちゃう輝由奈だったり(ぇ)
『「ホント、どうしてこうなっちゃたんだろうね?」
そう、しょうがないなあみたいな顔して笑いながら――――――泣いていたのだ。』
(※『』内本作より引用)
なんて、もうそのまんま。
あの人とかあの人とかが混ざっちゃってるじゃないですか!
・で、前作から顕著に前面に出始めた丸戸史明リスペクトの
三角関係ドロドロ恋愛大好物のライターさん要するアサプロの次回作は、何と『フタマタ恋愛』ですよ。
(初出の動画配信見ていて盛大に吹いた人)
最近発表されたオープニングムービーなんかを見てみても
三角関係シリアス要素満載でもおかしくないシーンがチラホラと。
(重要キャラっぽいみゃーこが、その中心から外れてる感があるのもまた興味深い)
アサプロがアサプロのままで、どんどん拗らせていくのか
それとも、アサプロであることを忘れて、うっかり恋愛モノの名作を創ってしまうのか。
楽しみに新作を待とうと思います。