笑えるテキストと良質な立ち絵演出に支えられたキャラゲー。シナリオも期待以上の出来で、満足できる一本でした。
まずはキャラゲーとして設定勝ちしたのが大きいです。
誰でもあらすじくらいは知っているおとぎ話の主人公の属性をヒロイン達にくっつけてみたら
見事とっつきやすいキャラの出来上がり。
『桃太郎』正義感の強い、灯。
『金太郎』気はやさしくて力持ち、加奈。
『乙姫様』おっとりお姫様?、乙女。
『一寸法師』……?…………?ちびっ子、くーにゃん。
……なんだか下の方にいくほどあやしくなってきますが
この設定のお陰で、ヒロインの性格や能力に説得力が出たのは間違いないところでしょう。
もちろんヒロインだけでなく、主人公浦部圭介が名乗る『温羅』。
吉備津彦命が退治した鬼の名前ということに加え、おそらくは浦島太郎の『ウラ』にもかけたのでしょう。
名前通りの立ち位置で、しっかりと活躍してくれました。
で、そのキャラクター達をより魅力的にしているのが、テキストと立ち絵の演出です。
パロ多めではありますが、その真骨頂は掛け合い漫才ですね。
ネタ的な科白やとんでもシチュエーションではなく
キャラの会話の遣り取りでここまで笑えた作品は久しぶり。
しかも会話に合わせてキャラの立ち絵がまあ、よく動くこと。
バリエーション豊富でコロコロと変わる表情に
画面いっぱいを使ってあっちこっち動いてくれるキャラクター達の可愛さといったら♪
エロゲは電脳紙芝居
という言葉はよく聞きますが
ことALcot(と、すたじお緑茶)に関しては
エロゲは電脳人形劇
といったほうがしっくりきそうなくらいで、本当に素晴らしかったです。
あくまでキャラゲーの範疇でですが、シナリオもgood!
どのシナリオも誰かが誰かを想う気持ちがお話の原動力となっており(親子・家族の情である場合が多い)
その気持ちも、特にヒロイン側はしっかり描かれるので、実に共感がしやすい。
途中暗い展開や納得のいかないキャラクターの行動があっても、終わってみればめでたしめでたし。
読後の清涼感溢れる、よいお話でした。
……ただ惜しかったのは、個別シナリオ一つ一つが長くなりすぎたこと。
これは攻略対象ヒロインが4人だけだったのが影響してるでしょうか。
通常の個別の長さで4人だと、フルプライスで出すにはボリュームが足りないですから。
キャラゲーであることを考えると、灯たちのシナリオを少し削ってでも
もう一人攻略できるキャラを作った方がよかったんじゃないかな~と思うのです。
まあつまりこの作品に対してワタクシが最も言いたいことは
葵たん√を本編に搭載しとけよぉおぉぉぉぉぉぉ~(魂叫)
ということです。
めでたくなしめでたくなし♪
~~~(あまりにもオチがひどいので)蛇足~~~
・好きなキャラは加奈と葵たんです。中の人の演技も◎でした。
・調べたら伝承の温羅って百済の王子が空飛んでやって来たって設定なんですね。
圭介が『スズメの葛篭』で空を飛ぶのはそこに着想を得たのかな。
・一番残念だったのがボイス音量の部分ですかねー。
同じ音量内で、まったく聞こえない声と家中に響き渡る声とがあるのはさすがにいただけません。
・葵たん一人を目当てにファンディスクに手を出すのはさすがに高い……(苦)
おのれスタッフ。コノウラミハラサデオクベキヤ……(だからオチがhd)