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copponponponさんの恋愛、はじめましての長文感想

ユーザー
copponponpon
ゲーム
恋愛、はじめまして
ブランド
ASa Project
得点
89
参照数
515

一言コメント

青春モンスターと申します。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

アサプロに触れるのはFD除いて5タイトル目。最新作ばかり遊んできたため、正直このブランドの持ち味を理解できている訳ではない。変顔と奇行・迷言を掛け合わせた騒がしさが大きな特徴なのかなとは薄っすら認識している。

その点で言えば、今作の恋はじは変顔控えめ、騒がしさも抑えめ。ただし恋丸だけは一人で突っ走っていった。
好ましく感じたのは特に恋愛描写。その他、サブ含めて個性豊かなキャラクター達と、様々なコミュニティで関係を育んでいくのも楽しかった。眩しさに溢れていて、青春モンスターにされてしまう。


攻略順は
寧子→恋丸→姫乃→紫→天使ちゃん→すみれ
紫と天使ちゃんは連続でプレイした方がスムーズ。サブのタイミングは完全お好み。


以下は共通から各ルート、各キャラ等の簡単な感想。ネタバレ。









◯共通ルートや全体的なところ

近年の学園ものにしては選択肢多め。なかなか個別に辿り着かず、どこか選ぶの間違えたかと誠也さんを頼った。すると天使ちゃんに「攻略サイトなんか見てないよね?」と釘を刺され、その都度見てますごめんなさいと心中で謝罪した。


ゼロから始める青春逆転生活で、交友関係も当初は皆無。幼馴染や過去の呪縛とかそんなものは存在しなかった。ほぼ全ての関係を構築から始めていく面白さがあった。
強いて言えばサブキャラ同士の幼馴染恋愛を一部始終眺めることはできた。カップル成立まで詳細に描かれることはなかったから、そこは章吾くんの今後の活躍に期待している。

それから、過去といえば回想のセピア色CGはアサプロの強い武器だと認識しているが、今作では見事に汚染使用されていたのがツボだった。積み上げたエモい過去などロクに存在しないので、ヨダレ出た後輩女子とか教室で浮く先輩とか面接を受ける社会の潤滑油とか従妹のお菓子奪う従姉とか、酷いのが量産される。あれ大好きなので、またたまに汚い思い出をセピア色に染めてくれると助かる。
めっちゃ口の中に物入れてるみたいな喋り方する幼少きらりちゃん好き過ぎる。


共通√から天使ちゃんは流石に存在感があった。居候でこちらの行動への口出しも多いから、至る所に彼女の影がある。天使ちゃん最推しなのでここは凄く嬉しかった。
彼女のミッションに従う形で所属コミュニティでの経験値を積んでいく訳だが、成り上がり的要素は薄い。紫からの告白が一番それらしいかも。
やることやってたらいつの間にかリアルが充実してきたのと結局周りの人間に恵まれたのとで、努力描写には欠ける。ぶっちゃけこの作品にそういうの求めておらず、ゆるっと青春逆転してくれて助かった。そこは重くなくていい軽く読めればそれでいい。

そもそも主人公自身キッカケに腕を引かれればすぐ動ける人間だったのも功を奏した。√によっては馴れ馴れしく図々しく中出しをせがむ怪物へと成長していたので、元より人付き合いの素質はあったんだと思う。モデルと素のままお喋りできるオタクとか妄想の具現化過ぎて素晴らしかった。





◯寧子√
義理の姉。残業や休日出勤を泣きながら頑張る、報われて欲しい家族。非処女。

乳首舐め手コキされてたら終わってしまって寂しかった。エロ自撮りで使われたパッツンパッツンの制服、てっきりこれでしこたまエッチするもんだと思ったらすぐさまエンディング突入だった。
一縷の望みをかけてシーン回想眺めても、寧さんのシーン1枠しかなくて怒りに震えた。すーパイセンは2枠あるんだぞ。

寧さんに関して何より何が涙を禁じ得ないって、この主人公、もし天使ちゃんが現れずぼっちのままでも、最低保証でこのかわいいかわいい義理のお姉ちゃんだけは側にいてくれるということだ。いつでも結婚できてしまう。
あとは寧さんにホワイト転職してもらうか数年後専業主婦になってもらえば幸せな家庭の完成である。既に前提から上振れて恵まれ過ぎた主人公の癖に自覚がなくて嫉妬に苦しまされた。
お前は底辺なんかじゃない。





◯恋丸√
わんこ後輩。
獣人は大好きだし、奇行を繰り返す変人も堪らないが、人間が獣じみた行動を繰り返す様を見ると流石に困惑してしまう。わんこ系ではなくて紛れもない犬。マラソンの練習にリード持ってくるのを人間とは言い張れない。
コスチュームが犬なのは勿論のこと、ハッハッハッ、わおん、犬っぽく鳴くし、四足歩行しようとする。愛くるしさ十分でもヒロインとは思えない己の弱さを恥じた。
エロいが勃ちづらかった。それでもしっかりシコれる不思議感覚。目隠しシーンが大好きだという話をしたい。

いざエピローグで人間らしい姿(まだ首輪はつけてて困惑)で社会人生活を営んでいるとわかると、それはそれで困惑した。犬でも困惑するしスーツ姿でも困惑するならもういっそ、もっともっと犬らしい恋丸のまま一生気が狂ったように振る舞ってて欲しい。中途半端にまともにならないでくれ。置き去りにしないでくれ。いい歳こいて全裸散歩とかしてて欲しいんだ。


恋丸が犬っぽく鳴くたび、いつの間にか喜びを覚えるように慣らされてしまっていた。なんだかんだ言って好きなキャラ。そもそもこのゲーム内に嫌いな人間はいない。人間……?
ヒロインとしてはサブのさっちゃんも攻略したかったという本音。恋丸の身体よりさっちゃんに覗かれてる事実に興奮した。





◯姫乃√
ネトゲ仲間。お嬢様校に通う上級生。友達ゼロ。舎弟一名。
落ち着きのない年上が大好きだという話がしたい。校門前で待ってる他校の女生徒が好きだという話がしたい。オタクなので、可愛いオタクには心をやられる。
表情と反応がとにかく可愛いタイプのヒロインは書くことの具体性が一層薄まる。とにかく可愛い。
ネトゲの姫プレイ願望があるのと、友達がいないから人付き合いに斜に構えたところがあるのが可愛い。仲間外れにされるとぷりぷり怒って抗議してくるのが可愛い。

恋はじの恋愛描写で好きなのは、告白やその直後の場面で肩肘張らず、不格好になるところだったりする。
ヒメ先輩相手なら、そもそも想いを伝えるのが対面ではなくネトゲの中。劇的に距離感が変わることは勿論なく、それまでの二人らしい告白の形だった。関係が進んでセックスすると、主人公が過去作で見たようなヘラヘラしたカスの素質をチラつかせ始めるのも面白い。めっちゃ中出ししたがる。流されちゃうヒメ先輩もまた可愛い。コスプレだいしゅきホールドハイライト消失がエロかったという話をしたい。できればあの状態でもう一回射精して欲しかった。
ウェディングドレス最高という話もしたい。

なんちゃって舎弟の雄華くんは恋敵になることもなく、姉御と主人公とを橋渡ししてくれたのが嬉しかった。屈託なく接してくれる友達第一号だし、他√でネトゲを疎かにする伊織くんへちょっと寂しそうに声かけてくるのも可愛かった。ホモではない。

ただハナちゃんがネカマなのは中身が雄華くんだったせいなので、ホモにされかけた許し難さに苛まれている。





◯紫√
天使ちゃん√と途中まで一緒。

同じクラスの人気美少女モデル。童顔揃いな他と原画からして空気感が異なっていて、のんびり口調で吐く迷言と奇行が楽しい。対等に接してくれた主人公を好きになる。ある意味で天使ちゃんよりファンタジー存在だった。
帰り道の沈黙すら心地よいと思える程主人公と相性が良いようで、自然体でほのぼのした掛け合いが堪らない。下ネタを交えたやり取りが好き。飲みかけのペットボトル寄越してきたり距離感がおかしくて、あっという間に呑み込まれて青春モンスターになりかけた。

林間学校編での近すぎる距離に惑わされ、駅のホームで真剣に告白された時は心臓がバクバクとうるさかった。あり得ない青春への憧憬に魂を焦がされた。無事青春モンスターになった。告白の返事を待たせている相手から「これからこのお休みを、いったいどんな気持ちで過ごすと思う?」とか何でもないように聞かれたら死ぬ自信がある。聞かれることなんて一生ない自信もある。


立場の不釣り合いさに悩む主人公へ、恋愛同盟・章吾くんが発破かけてくれるやつ好き。主人公の不甲斐なさも紫の想いの真剣さも全部まとめて説き伏せられて、そうか俺たちはいつの間にか陰陽隔てず友達になっていたのだと震えた。ありがとう。ありがとう。コイバナ恋愛ってこの作品のことだと思った。



これ以上返事を待てず、着のみ着のまま学校抜け出して行き先決めずに電車に揺られてどこまでも、逃げられない車内で二人きり。反則すぎるだろうそのシチュエーションは。

この作品の電車内での会話と距離感が大体全部好きすぎるという話がしたい。ムードづくりも何も下手くそで、だからこそ胸焼けしないイチャラブが堪能できて程よい。




天使ちゃんの選択肢に進んだ場合とで、告白直後、次の電車を待つ描写が違う色を帯びるのもまた格別で、胸を苦しくさせられる。この告白こそが一度きりのターニングポイントだと、紫は理解していたのがつらい。うっかりもっかい紫を選びそうになったりした。くるしい。くるしい。でも天使ちゃんも好きで。
紫は負けても輝くヒロインだった。




紫の行為シーンは勿論扇情的ではあったけれど、他のヒロインよりアブノーマルなインパクトは無かったように感じる。彼女は普段の人格からして破天荒で、ハードプレイへのハードルも低そうで、バニーガール等にあまり背徳感を抱けなかったのが原因かもしれない。この子の場合、むしろノーマルなシチュエーションこそ唆る傾向にあった。






◯天使ちゃん√
きらりんハッピー社会の潤滑油成り損ねちゃん。普通に天界から来たと思ってたら青春に囚われた天音きらりちゃん(2◯歳)でダメだった。汚染されたセピア色笑うけどつらいからやめてほしい。
恋愛描写では紫が圧倒的に強かったが、開幕から相棒だった20代コスプレ青春モンスターを置き去りにリア充と化すことはできなかった。共に青春へと浸ろう。
胡散臭さを取っ払ってなお変わらないウザ絡みが本当に癖になる。実年齢がおおよそ分かった直後は無理してハイテンションかましてたのかなと思ったが、あれで多分素なの笑う。
童顔弄りが本格化する個別√では一枚絵での瞳も心なしかくりくりに描かれていて、これでちょっとした年の差カップルなの面白いよなとなる。お気に入りは映画館の絵。大きなポップコーン、胸に抱く天使ちゃん、かわいい。

同世代な寧さんとの距離感も好きで、互いの良き相談役として良好な関係を築いていく未来が想像させられた。だからどうか寧さんを捨てて新しい愛の巣にお引っ越しとかグロテスクなことしないでやってほしい。


行為シーンでは、バレー部コスのくんかくんかと挿入が本当にシコれるという話をしたい。ケツ汗って言葉あんまり女の子の口から聞きたくなかったのに天使ちゃんは平気なんだよな、数少ない年の功かもしれなかった。


紫√のところで触れた通り、この√では紫が粘り強く心を苛んでくる。恋はじで一番好きな台詞は「けっこう、好きだったのになー」になった。あんまり何度も聞き返したくはない。
犬を走らせたりネトゲやったりした後にいきなりこんなん来たら頭をやられてしまう。





◯すみれ√
天使ちゃんと紫の間で迷っていたはずが、レジカウンターでセックスしたり二股目論んだり、キチガイルートに入ってしまって面白かった。葛藤なんて何のその。これなんだよな。見た目ガチガチにガード固めた子ほどチョロ可愛い。
紫との3Pも見たかった。ラブラブ孕まセックス大好きダーリンって呼ばれたい。





◯終わりに

学園、ネトゲ、バイト先で、個性豊かな人間関係を0から展開していくのが堪らなく楽しい作品だった。
紫や天使ちゃんとの気の置けない会話はテンポの良さが病みつきで、荒ぶるヒメ先輩を愛でるのは楽しく、愛犬と触れ合う喜びを体験することもできた。彼女達との間で時に騒がしく、時にサポーター的に動いてくれるサブキャラも良い味が出ていた。

告白から始まる不格好な恋愛描写がやはりお気に入りで、何気ないやり取りに、イチャラブに、何度も胸をきゅっとさせられて、無事に青春モンスターとなりました。