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copponponponさんのラズベリーキューブの長文感想

ユーザー
copponponpon
ゲーム
ラズベリーキューブ
ブランド
まどそふと
得点
85
参照数
249

一言コメント

ヒロインとのラズベリーみたいな甘酸っぱい触れ合いをほんのひとつまみ、あとは人でなしを閉じ込めた檻みたいな作品

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

まどそふと公式サイトを見てみると、この『ラズベリーキューブ』というゲームは可愛さ明るさストレスのなさ、その辺りを重視した作品作りがなされているように見受けられました。本当かな。

箱を開けると、実態はストレスに満ちた問題行動フェスティバルでした。嘘吐き。
主にサブとモブですが、モラル終わってる人ばかりなんですね。場面次第でかなり不愉快。舞さんや悠パパは獣です。畑荒らした猪ともども檻にでも入っててくれ。

ハミクリって随分行儀の良い作品だったんだなと思いました。


アンチみたいな切り口で書き始めましたがしかし、作品自体を振り返ってみると不思議と凄く楽しかったな、という気持ちに落ち着いたんですね。

枚挙に暇がないくらい不快な気持ちにさせられましたが、プレイ中も完走後も、作品自体を嫌いになることは一度もありませんでした。お前ラズキュー嫌いすぎだろとか言われたら、え、だいすきだけど、と返します。

理由としてパッと思いつくのは3つあって。



1つが感情の切り替えやすさ。

各√のシナリオに一貫性はなく、エピソードが複数個連結されて一つの√を成しています。
話に明確な切れ目が存在する訳で、個人的には悪感情を持ち越しづらかったんですね。起きたこといつまでも引き摺ったってしょうがないですし。受け入れていく。



2つ目がテキスト。

そもそもこのライターさんの会話劇が大好きなんですね。みなとの畑ジョークに小気味よく言葉を投げ返したり、言葉のチョイスが個性的な美琴さんに一つ一つ反応したり。夫婦漫才じみたやり取りを延々としてくれるんです。これが好き。ちょー好き。
テンポよく、時に等閑に相手を扱い、扱われ、それって気心知れた間柄じゃないと互いに苛々するだけのドッジボールだと思うんです。互いが取ってくれると信じて、笑顔で剛球投げ合ってるんですよね。
それか、強引に我が道を往くヒロインに何だかんだと言いながら主人公がついて行く訳です。やり取りに妙な勢いがあって、活き活きしてるんです。そのどれもが楽しくて。
ラズベリーキューブでもそうした特色は健在でした。



3つ目がシナリオ以外。

ビジュアルの良さ、キャラクターデザインもはすねさんの原画もシンプルにかわいらしいんですね。SD絵の九郎さんについては漫画家のイメージが強かったんですが、ミニキャラCGの質も抜群でした。オナホについて詰問する美琴さんの絵がお気に入りです。
それから、可愛らしいボイスに演技です。ヒロイン皆聴いた瞬間からピッタリの声音で、イメージとのギャップを埋める過程を要しませんでした。
声と演技だとその他、モブやサブも存外迫真の演技を見せる人が多々いたんですよね、それが結構面白くて。ロミオくんはウザかったですが、あれはワザとテキトーに演ってるんだろうしOKです。
後はまどそふとさん=まつむーさんのBGMです。ハミクリもラズキューも同じくらいBGMが良い。
ゆったり安心できる曲調中心で、ヒロインの緩んだ表情なんかと合わせてほのぼのさせてくれました。
テキストは勿論好きなのですが、それ以外の構成要素にもしっかりと力が入っていた印象です。言わずもがな、OPソングやムービーもです。何気に全EDに専用ボーカルソング付いてたりもしますし。Please Please Eat me がお気に入りです。

そんなところですかね。


マイナスがかなり目立つと感じた作品でありつつも、それ以上に愛着を抱くという状態にはあまり経験がなくて。何となく不思議な心境で感想を綴っています。


ここまで前置きで、後は話と登場キャラの所感だけちょろちょろと。



⚪︎共通√

まずこの作品の主人公は転校生。親戚の美琴さん以外、知り合いらしい知り合いもほぼいない状態で物語が始まります。
共通√で少しずつヒロイン達との仲を深めていくんだろうな、みんなで何かイベントをこなして、その後に誰かしら選んで恋に発展して……そんなことはありませんでした。共通恐ろしく短かった。

出会いを一通り済ませれば、かなり早めにOP突入。その後はMAPキャラ選択パートとなる訳ですが、同じ子選び続ければほぼ個別も同然。共通らしい共通パートって実際2時間もなかった気がします。

その間、ヒロイン同士の触れ合いは皆無に等しく。学外でカフェ切り盛りしてる子と学内で畑に執心してる子に接点なんかあるわけないだろって言われればそれはそうだねなんですが。
違うじゃん。そこ、そこで、主人公がパイプ役になると思うじゃないですか。採れたての野菜使ってカフェの新メニュー作るとかさ。そうはならないんだな。
せめて同じ目標持ってたり部活動や組織に所属していたなら……してないんだな。ヒロイン複数人が同じ時間を共有する理由がないんですね。
瑠莉はソロプレイヤーだし。美琴さんだけは特別、他√でもかなり食らいついた出演回数を誇ってますが、殆ど同居人だからですし。
ヒロイン四人が一緒に何かやるパートなんて存在しません。主人公とヒロイン一人の一対一がメイン。パケの集合絵はオタクを釣る仲良し営業でした。まんまと釣られました。


ただまあ、仲が進展して個別に行くと他ヒロインがほぼ出現しなくなる、という話は作品の口コミでよく目にしていました。覚悟はできているつもりでした。ぶっちゃけそれでも問題なくない?とか、プレイ前〜共通√までの自分は思ってたんです。むしろ周りに邪魔されず、ラブコメが楽しめそう、とまで考えたもんでした。



適度な触れ合いは必要だと思いました。




あと周りはどんどん邪魔してきます。あの街の連中はガラが悪いからな。



◯瑠莉ちゃん√

なんだこのバケモン、がこの子の当初の印象でした。なんか延々と嫌がらせしてくる子なんですよね。理由も曖昧。キレそうになりました。
プレイ中は精神を試されているような心地です。プレイヤー耐久力テスト。人としてライン越えの所業に幾度となく害を被ろうが、最後にデレれば、尤もらしく過去回想挟めば、萌えゲーユーザーなら耐えてくれるやろって。くそが、耐えてしまいました。瑠莉可愛いもん。

また、瑠莉ちゃんに対する感情の変化について、主人公と自分とで親和性が極めて高かったんですよね。
ひたすら嫌がらせしてくる人でなしに対する困惑や苛立ちから始まって、ルート中盤、気づいたら絆され始めているところとか。執拗さは見方を変えれば一途さで、少しずつイジらしさを感じるようになりました。いやむしろ、見方を変えなきゃただ気狂いムーブに悩まされるだけになりそうで、感性が適応に徹したのかもしれません。グッジョブ。


⚪︎中盤まで
後半に差し掛かるにつれ、明かされていく悟くんと瑠莉ちゃんの過去。知ってました。
過去回想、自分は感情移入しましたが、ぶっちゃけほんのちょっと遊んで引越しと共に疎遠になっただけの関係性です。引っ張った割には大した過去じゃなかったなとか言っちゃいけない。
「嫌いになる」と売り言葉に買い言葉な喧嘩別れ。それでも悟くんの帰りを無理に待ち続けて入院、心的ショックやカウンセリング(?)によって彼との思い出を忘却して生きてきた、というのが作品冒頭までの瑠莉ちゃんでした。再会から胸の内に燻るモヤモヤの意味を知る為に、晴らす為に、八つ当たりしてくるモンスターの誕生秘話です。


下手すれば死ぬレベルの落とし穴にハメられる、誇張と憶測に満ちた悪評を学内に広められる、部屋に上がり込んで飯をたかられケチをつけられる、ストーキング、待ち伏せ、ドアにトラップに……そこまでされる程のことしたか。したかな、したかも。したってことにします。かわいいから許した。


名誉毀損やら、悪行の数々を書き連ねればただの極悪人なんですが、和解した後は悟くんの妻ですからね。大体のことは水に流しました。未来の夫を気遣う発言も後半になるにつれ増えていきます。

「善意に悪意が返ってくるなんて不条理だけど……そういうことは絶対にあるから、本当は少し不安だった」
「……誰かにいつかきっと悟は傷つけられちゃう、って」

お前なんだよね。

水に流すと決めたのにふとした瞬間怨念が戻ってきます。



⚪︎最終盤
学内のグレた男子達に逆恨みされ、ロミオくん率いるヤンキー軍団ブラックサンダース(おいしそう)と揉めるハメになる最終盤は茶番祭りでした。ああいう三文芝居でクスッと笑えるかどうかも、この作品の空気を好きになれるかどうかの一つの目安かもしれません。グレた男子Aの悲痛な声とか、怯えるロミオくんとか結構楽しみながら鑑賞しました。性奴隷として調教されてる感出す為におっぱい揉ませる瑠莉ちゃんも好き。

悟くんが自らのモットー『一日一善』との向き合い方を改めて考えたり、お母さん関連の話といった真面目路線も面白かったです。母の晩年の言葉に縛られた彼を真っ向から解きほぐしたのは、何だかんだで瑠璃ちゃんだけだったと思うんです。他の娘も彼の善行をサポートする姿勢を見せこそすれ、そんなこと自らに課さなくても悟くんは優しい人だと称しこそすれ、動機に一石を投じるような行動はしませんでした。

不快な人物蔓延る作中でも特に、モブに悪意がある瑠莉√。善行を働こうとした主人公に対するグレた男子ズwith虐められっ子による裏切りだったり。
だからこそ悟くんの呪縛も浮き彫りになった感ありますが、やっぱり瑠莉ちゃんがセンターヒロインなんだなと思わせてくれるお話でした。一日一善じゃなくて、格好いい自分になりたい、見せたいになるんですよね。

彼女が前半にかましてくる気狂いムーブがあまりにもマイナスでストレスフルではありますが、シナリオ的にはこのルートが一番好きだったかもしれません。
エピローグのお墓参りで遺言の真意は言葉通りであると気づくところまで含めて、お母さんを大事にしたルートでした。家族の話題、亡き人の為を思う行動に自分は弱いんだと思います。

エロシーンに関しては、おまけのアナルセックスが好きなのです。主人公へのアナル舐めシーンの方はマジで嫌。


⚪︎悠ちゃんさん√

髪の毛ちょっとウェーブしてるのが好き。かわいい。
学園休みがち早退しがち遅刻しがち、デキるクールっ娘を演出したがるものの実際はポンコツ気味。入院したオーナー=親父に代わり、おうちのミリタリーカフェを一人で切り盛りする女の子でした。常連客からも愛されてる。
外聞気にしまくりで、偶然お店に来た主人公には、学園で仲良さげにしないでと釘を刺してくるのもかわいい。
そんなでも少しずつ打ち解けて、紆余曲折あって主人公がパン屋で雇われかけた際には自分の店でバイトしてもらおうと必死になるのもめちゃくちゃかわいかった。試しに無視したらどんな顔するかなと選択肢押したらフラグが消失して絶望しました。早朝バイト√が始まってしまう。

⚪︎中盤まで
この√の良いところって、カフェ常連のサバゲーオタク三人が清涼剤なことだと思うんですね。最終盤での蛮行を除けば作中屈指の聖人でした。
不快ではない程度に空気を賑やかにしてくれて、悟くんと悠ちゃんさんの関係の進展も見守ってくれます。多分、他のゲームであれば別のヒロイン達へ求めていたであろう役割を代わりに果たしてくれたんですよね。このゲーム、数クリックだけ出てまた暫く消えるヒロインとかザラにいるから。

お店の為に頑張る悠ちゃんさん、バイトとして宣伝方法から支える悟くん。微笑ましいラブコメ空間が形成されつつあり、常連ミリオタよろしく成り行きをニコニコ眺めていたのが中盤までのことです。

誰かがお店に入ってきて。


主人公は突然現れたおじさんにラリアットされるんですね。

悠パパ=ジジイの帰還です。悟くんからはジジイと呼ばれていたので、それに倣ってジジイで続けます。


⚪︎中盤〜終盤(悠パパについて)

ジジイの個人的不快度は気狂いムーブ瑠莉ちゃんの比ではなく、

声がデカすぎる
すぐ悟くんに嫉妬する
理不尽
悠ちゃんさんを支えてきた悟くんを認めず難癖つける
娘が維持してきた店の空気を悪くする
暴行を加えてくる
短気
声がデカすぎる
人間の屑
声がデカすぎる

といった具合。娘に近寄る男相手にやや過敏になってるとしたって、誰がこのオッサンのこと好きになるんだというようなモンスターでした。この存在を擁してストレスフリーを謳う公式の見解はなかなかユニークだなと感じます。ある種の鬱展開だよ。


しかし、自分はこの暴力ジジイのことも心底嫌いという訳ではありませんでした。人間の屑ではあるけれど、主人公との力関係が一方的ではなかったからですね。
一応元ヤン設定の悟くんなので、目には目を歯に歯をで、罵声も拳もサバゲーも、ジジイにやられたらしっかりと応戦します。
悟くんが過去を打ち明けた後は幾らか態度も軟化し(それでもまだ理不尽)、ある意味で対等な喧嘩仲間の関係が構築されていました。トムジェリまでは行かないまでも。

悟くんの方も、心底ジジイを嫌っている様子はありませんでした。幼少期に父親がいなくなった彼にとっては、久しぶりに腹割って話せる大人だったんじゃないかって、そんなことを思ったり。間違っても親代わりには感じてないでしょうけど。
悠ちゃんさんを挟んで、何だかんだと仲良く賑やかにその後を生きていけそうな雰囲気です。


この√の不快ポイント一番はそんな親父の来襲だった訳なのですが、二番もあります。最終盤、エアガン小僧懲らしめパートです。


⚪︎最終盤(エアガン小僧らについて)

宣伝が功を奏してカフェに客が増えると、マナーの悪い小僧も来るようになったんですね。かくかくしかじかで出禁にします。同時期、小僧は友人と共にSNSでエアガンイキりを始めます。加えて、何者かが夜間にエアガンを不適切使用しているという事案まで地域を騒がすようになり、カフェへ関連性を疑うマスコミが押し寄せ、悠ちゃんさんの感情的な返答は切り抜かれ、ニュースとして報道されるまでに発展します。

!?

ぼくは一体何のゲームをプレイしているんだろうと戸惑いました。
変なジジイが殴りかかってきたり、オジサン達とサバゲーしたり(これはぶっちゃけ楽しかった)、果ては趣味への偏見の話です。美少女とイチャイチャするつもりでこのゲーム始めたハズだったんだ。

犯人の疑いは小僧にかかりました。
騒動によって世間からの風当たりの強さが増し、趣味の危機に際し……道を踏み外しかけた同志を矯正するべく、常連オタク達は立ち上がります。力を合わせて、エアガン小僧が悪さしている現場を取り押さえるのです。だから何なんだこの√は。

大の大人が子供と同じ土俵に立っていて、流石に見苦しさを覚えました。最後のこれがなければオタク達のことただの聖人だと思って終われたのに。

そうしてイキリ小僧達の退治に成功すると、ある真実が明かされます。不適切使用の真犯人は地域のヤンキー集団ブラックサンダースだったんですね。またかよ。オチにヤンキー連れてくるの大好きですね。

怒涛の詰め込みで変な笑いが出ました。悠ちゃんさん√というか、蓋を開けてみればサバゲー√でしたね。ED後もサバゲーしてるし。
最終盤はほんっとうに何がしたいシナリオなのか分かりませんでしたが、悠ちゃんさんはすごく可愛かったし、ジジイとの関係も何だかんだ悪くないもので、総合的には楽しい√でした。勢いで話が動いてる感あったので、考えず感じるべきでした。悔しい。


エロシーンは全部好きです。おもらし興奮しましたし、ハート目になるのも嬉しかった。


◯みなと√
農作業後輩女子です。転入したての悟くんを園芸部に丁度いい人材として狙っています。わんこみたいに無邪気な子。ヒロインで一番好きなのはこの子でした。でも畑勝手に広げようとするのはダメ。
自語りですが、祖父が元々農業を生業としていたので、その手伝いをしてきたこともあり、少し贔屓目に見てしまったところはあります。そもそも頑張る子が大好物。コツコツとした農作業なんて、そういう子を魅せるのにうってつけです。農作業女子、好きな属性かもしれません。

自分にオシャレが似合うか不安で、可愛らしい服を悟くんに選んでもらうシーンは萌えです。選択肢はありませんでしたが、主人公が選んだ服をそのまま着てくれるって、立ち絵に反映されるって、結構うれしいものでした。祭りの浴衣姿も大好きで、麦わら帽子やら服装差分の充実した子でした。ジャージとブルマ最高だ。

声が大きいのも萌えです。銭湯で壁越しに話しかけてくるシーン、周りのお年寄りにニヨニヨされるあの優しさと微笑ましさに溢れた場面があったかいです。
野☆球さんに罪はありませんが、悠パパも萌え声キャラだったら許せたのかもしれない。


⚪︎シナリオ

話全体については、他√と比較してオアシスみたいでした。平和。終始、街や学園の治安がいいんですよね。学内にいるばかりだからヤンキーと遭遇しづらいのもある。まじで、みなととのイチャイチャ畑生活に集中できる。
いつオチ要員たるブラックサンダースに畑を破壊されないかとビクビクしましたが、この√では流石に欠席でしたね。現れた敵は飢えた猪一匹でした。あと自然災害も含めれば台風。
みなとの修学旅行中、突然ルートを変えて襲いかかってきた台風に立ち向かい、畑を死守する悟くんはツッコミどころあれど泥臭くてカッコ良かったと思います。ボロボロになった彼を見てみなとが恋心を自覚するのもまた堪らなかったです。
悟くんの入部経緯がかなり強引だったこともあり、彼が嫌々ではなくちゃんと自分たちの畑を大事にしてくれたことが響いたんだろうとか、心境の変化を想像するのがまた楽しかったんですね。


部の練習場近くで遊ばれると目障りってんで、野球部員Aに目の敵にされたりもしましたが、思わず手が出てしまった彼を悟くんが庇ったり、農作業も触れてみると中々大変だと知ったことから無事に和解します。
野球部員Aくん、割と好きなんですよね。部長として練習に必死で余裕がなくて、結果も出なくて、それで身近なおちゃらけて見える部活へ負の感情が向くのは人間らしさを感じました。ちゃんとそれを自覚しますし、畑が荒れれば立て直すの手伝ってくれますし。良い奴。


可愛かった、平和だった、以外で√の良かったところを挙げるなら、畑を手伝いに狩野本家、みなとの祖母のもとを訪れるパートなんてお気に入り。悟くんがコスモスの種をもらうところが特にですかね。

この作品のヒロイン達って、親や家族のことだったり、家族から託されたもの・受け継いだものを大切にする子ばかりだと思うんですね。

みなともおばあちゃん子ですし、本家から農作業の知識や技術の基盤を受け継いで今の野菜好きなみなとに繋がってます。おばあちゃんもみなとの人となりをよく理解していて、その上で悟くんに孫を託すのが良いなって。

ぶっちゃけおばあちゃんのコスモスの種については、花言葉とか幾らでもこじつけられちゃうのがアレですが。
パッと検索にすると、調和や乙女の純真、色々あるんですね、コスモスの花言葉って。

みなとがここ一番で協調性に欠けるっていうのはたびたび言われてました。そこを少しずつ直していけるようにとか、そんな願いも籠ってるのかなと思ったり。みなとが大人になるまでに、おばあちゃんはこの世を去ってるでしょうし。


エロシーンについては、大体全部お気に入りです。

採れたて野菜が非常に美味そうで、偏食気味な自分には効く√でした。今日も野菜炒めが美味い。



◯美琴さん

アパート管理人で、親戚の幸薄いお姉さんです。周辺人物はともかく、ヒロイン自体は大変可愛らしくて、ちょっと天然でおちゃめなのも好きだったんですね。
借金により貧しい生活を送っているので、食べ物等を譲ってもらえると「いいのかなぁ」なんて言いながら嬉しそうにするのが良い。喜ぶハードルが低いので中々悲壮感も漂いますが。
律儀すぎるのが玉に瑕で、悪質な借金取り相手にとにかく筋を通そうとするのが見ていて少しモヤモヤしました。国家権力を頼って欲しい。
でも総じて良いお姉さんだったんですね。


問題は美琴さんではなくその周囲で、城田舞さんとか借金取りさんとか美琴さんのお父さんとか、登場するメンツが酷いんですね。ヒロイン三人のルートを通った後なので、サブが変な人達なのはもはや見慣れちゃいるんですが。



舞さんはとにかくくさそう。近所で廃棄漁るし、電気止められてるし、家賃滞納するし、常に空腹で人のもの勝手に食うし。それで謝るよりも本能のせいにして仕方ないみたいなムードにしようとするんですよね。人間の屑。
悠パパは抵抗できる程度の力関係でしたが、舞さんは格闘技を嗜んでいるので一方的に蹂躙される、強奪される力関係なんですね。美琴さんへの日頃の感謝を込めてケーキ買ってきたら一人で勝手に食いますからね。こんなのがいてストレスフリー以下略です。



借金取りさんは、アパートの壁に落書きしてきたのは酷いですけど、金を回収したいだけなので存外悪い人柄でもありませんでした。海の家のアルバイトも斡旋してくれる。給料大体持ってかれるけど。
悟くんに追い返されるシーンは毎度コミカルで面白かったです。喋ってる途中に鼻摘まれたりね。でも美琴さんが奴らにハワイ旅行チケット渡したおかげでハワイへ行けなかったのは許せないので大っ嫌いだ。



美琴パパについては、ロクに連絡も寄越さず最終盤に突然帰ってきて

美琴さんが大事に守ってきたアパートはお金の為に手放す
借金は中国で事業してる知り合いのおかげでなんとかなる
娘にはヴァイオリニストとして音大進学や留学をして夢を追ってほしい

などなど、抜かしやがります。自分勝手に話を進めるな。良いお父さんダナーとはならんでしょ。



POWさんはほぼ喋らない代わりに存在がうるさいだけのピエロだったのでノーマンタイ。何なら民宿に生まれ変わったアパートの経営をサポートしてくれたのでかなり好印象でした。



詠さんはお節介な人でしたが彼(彼女?)のおかげでオナホプレイできたのでよかったです。見た目もまあ割と好き。


どうでもいいことですが、ボイス調節面でアパート民かなり優遇されてるんですよね。みんな個別設定できちゃう。
舞さんのボイスを消し去れるのは、舞さんアンチなら大歓喜かもしれません。でもPOWさんはどこ需要なんだよ。音消しても存在がうるさいから無駄なんですよね。
そんな中年ピエロにデカデカとした個別ボイス調整枠をあてがうよりも優先して、やることがあったはずなんですよね。悠パパ一人だけ黙らせパッチ、配布待ってます。



√については、悟くんが家賃の前払いという建前で借金の一部を肩代わりするところ、好きです。お金で釣るみたいでアレでしたが、美琴さんへの告白も踏まえてだったので、覚悟が伝わってきてちょっとカッコよかった。


特に印象的なエピソードは二つあって、一つ目はお父さんが帰ってくる直前、神社のご老人が夏祭りに乗じた巫女アイドルプロジェクトを計画するところ。また大人の悪ノリ、変な発作始まったなと思いました。

歌って踊って握手会して、付加価値つけた焼きそばで儲けて。3人ユニットだけど詠さんが来られなくなったので急遽一般通過瑠莉ちゃんを迎え入れてライブを成功させます。ぼくは何の話を見せられてるんだ。

瑠莉ちゃんがアイドル活動の見返りとして、お父さんお母さんの分の山盛り焼きそばをヨチヨチと持ち帰るシーンが地味に気に入ってたりします。ヒロインのそういう家族想いな描写が好きなゲームだったので。


印象的なの二つ目は、悟くんが思い出のアパートを民宿化して守り、学園も中退したラストですかね。
多分、共通〜他√の悟くんだったらお母さんを気にして学園は最後まで真面目に通うと思うので、結構驚きました。



正直あまり面白くありませんでしたが、美琴さんが好きだったので√の満足度はそれなりです。エロシーンについては、お尻には尻尾じゃなくてちんぽを挿れたかったです。あとこの巨乳でパイズってくれないのはかなしい。



◯おわりに

半分アンチみたいなところありますが、総合的には凄く楽しかった、楽しかったんです。満足。
人には勧めないけれど、この作品を楽しめた人とは握手がしたくなるような、そんな作品でした。

とりあえず、公式さんが告知しているコンセプトはユーザーを騙す類いのものなので許してはいけないと思います。や、でも、ストレスフリーで最後まで読めた人もいるのかな。わかりません。