日常と非日常の対比が素晴らしい。個別ルートもさることながら、ノーマルエンド→アフターの繋がりは見事の一言。
なんというか…感動しました。ノーマルエンドがここまで面白い作品、初めてです。ってかむしろ、ノーマルエンドが本編と言ってもいいかもしれない。日常が重要な鍵となる、この作品だからこそ出来ることでしょうね。まあ、主人公の演説はちょっとクサいと思ったけど(笑)
で、アフターがまたいい。「そして明日の世界より――」というタイトルの意味を理解した瞬間は鳥肌モノでした。そんな点を含めて、「面白い」というより「上手い」作品なのかなと思います。こういう文章が書ける人、エロゲのライターでは珍しいんじゃないですかね。
かといって個別ルートの出来が悪いなんてことはなく、むしろどれも秀逸。「見失った日常を取り戻すこと」を軸とした展開は一緒なんですけど、それぞれで違ったアプローチが見られましたね。その中でも僕が好きなのは、御波ルート。
理由は単純で、彼女のルートが一番日常感に溢れているから。他の3人のルートは、主人公との付き合いが長い分、どうしても寄り道的な話が入ってしまうんですよね。主人公との距離が最初から近すぎると、逆に遠ざける描写がなければメリハリがつかなくなってしまいますから。
ですが、転校生である彼女のルートは、そこにシナリオの分量を割かれないおかげでニヤニヤ満載でした(笑)ってか共通ルートで○○は反則すぎ…あまりに彼女の破壊力が高すぎるため、時折休憩を挟んで心を落ち着けなければ進められませんでしたw
というわけでかなりオススメの作品なのですが、文章にクセがあるのでその点はご注意を。一つ一つのシーンについてしっかりがっつり描写されているので、テンポはあまり良くないです。小説に近い文章なので、じっくり読むのが苦手な人は向かないかなあ…
まあでも、個人的にはぜひともやってほしい作品。中古が高騰してるので、手に入れるのは大変かもですが