八月らしからぬ息もつかせぬ展開と、世界観の構築が見事。最後で失速していなければ神ゲーだったのだが…
今までのオーガスト作品とは雰囲気的に一線を画す今作ですが、世界観の構築やシナリオ展開は非常に良かったです。ライター陣、こういう方が向いているんじゃないかと思ったくらいに。共通ルート→個別ルートという一般的な構成とは異なっていましたが、これはこれで面白い試みだと思います。
あと、キャラが非常に個性的。主人公やヒロインはもちろんのこと、サブキャラや立ち絵なしのモブキャラに至るまでがいい働きをしていました。まあ、癖の強いキャラばっかりなので(エリスとかイレーヌとか)、好みは分かれそうですけれども。ちなみに僕はティア派。
ただ、終盤が微妙…終わり方はともかくとして、そこまでに遠回りし過ぎ、グダグダし過ぎな感じがありました。1~4章の流れは非常に良く、過去最高レベルの出来だっただけに、最終章での失速が残念です。カイムはあのまま完璧主人公で良かったと思うんだ…人間臭さを出すのもいいんだけど、それにしても魅せ方がちょっと。
とは言っても最終章の出来がめっちゃ悪いわけではなく、標準レベルは維持していると思います。ただ、それまでが満点レベルだったため、対比すると…ね。個人的にはリシアルートがクライマックスでした。TRUEルート、欲しかったなあ…
まあでも、そこらの作品と比べれば遥かにいい出来です。かなり重いシナリオですし、グロい描写もありますので(テキストのみでCGはありません)、誰にでもオススメってわけではないですが…基準としては、Fateが出来る人なら問題ないかと。
ただ、根底にあるオーガスト的なノリは変わらないので、そこまで世界観で敬遠することもないのかな、とも思います。良くも悪くも無難だった過去作と、だいぶ違うのは確かですけど。
結論としては、違うところも多いけどやっぱりオーガストだよね、という感じ。とりあえず体験版やってみて検討してみるのもいいのではないでしょうか。僕はやってないから、どこが採用されてるのか知らないけど。
あ、攻略はフィオネ→エリス→イレーヌ(+ラヴィリア)→リシア→ティアと順番に進めるのが一番です。おまけもクリアする毎に回収していった方が繋がりが良いかと。にしても、おまけまで含めて考えたら、やっぱりリシアルートが最高なんだよなあ…