世界観構築、ストーリー、キャラクターのどれを取っても本当面白いゲーム
本作は世界観構築、ストーリー、キャラクターがどれも素晴らしいだけでなく、その戦闘描写がすごかったと強く思った。
3Dで表現されるそれは、他のADVなどに比べて迫力が段違いだったし、作品への没入感をとてつもなく高めていたと感じた。
作中にあった生と死のマトリクスという言葉のとおり、主人公たちの生死によってストーリーダイナミックに分岐するシステムは、気づいたときに凄いな、と感じたし何より腑に落ちる構成だと思った。
どのストーリーもそれぞれが様々な感情を呼び起こすもので、中にはキツいものもあったけど、蜜魅やコン・スー、霧里のルートは概ね納得感や満足感があった。
その一方で、メインとなるイリアルートについては到底納得できなかったし、何か自分も大きく胸を抉られたような感情を抱いた。プレイヤーである自身の気持ちが正に同じ視点で物語を俯瞰するサブコンと同期した、同期していたという演出はまるでこちらが見透かされているかのようで素晴らしかった。その後のミルグラムへの処遇は溜まりに溜まった溜飲を下げさせてくれた。
リビングデッド、いわゆるゾンビものは手垢がつきまくっているといっても過言ではないジャンルであるにも関わらずここまで新鮮かつ斬新な世界観やストーリーが作れるのは流石だなと感じた。
願わくば、蛇足なのかもしれないが、その後の彼らや彼女らの姿をぜひ見てみたいと強く思った。