すごい。圧巻の一言。一般小説の文体に寄せているというのもあって非常に読みやすかったし、話の引き込み方が非常にうまい。始めたら止まりませんでした。
伝奇モノを扱うエロゲってだいたい良ゲーという私の勝手なプレジュディスがあって購入したのが始まりでした。
最初に始めたのは去年の師走半ばでした。やっててつまらなかったので途中で投げ出してしまいました。でも、つい最近久々に手を出したらなかなか止まれない...いつの間にかピンクしおりを獲得してました。詰まる所、序盤の内容がつまらない。子供たちの学校生活をただ眺めてるだけなので夏まではあまり面白くない。ただ田舎、昭和に浸れる点は良かった。で私が投げ出したのが夏の終わり。で秋になると状況が一気に変わります。そこから始めたせいで起伏が激しくて、伝奇モノですのでホラー要素が付き物なのですが、この作品の場合突然の脅かしはほぼありません。次第に読み手に恐怖を与えていくのです。わっと驚くのではなく身が震える感じ。正直すごく怖かった。その感覚がたまらなくてすっかりハマってしまったわけですね。
シナリオの大本には触れません。なぜなら「どうしてこうなったかは考察してね」というようにどうしてこうなったかわからない点がいくつかあり、そもそも話の中では現実で起こりえないことを「幻」と言っていますから全て幻という一言だけで丸く収まってしまうからです。
しかしそれだけだと凡作と普通は思うでしょう。しかし考察の素材となる部分が結構あるので考えさせるという点も評価が高い。インターネットでその素材が調べればたくさん出てくるのでそれを見てどうしてこうなったかを考えてみるのもこの作品の醍醐味の一つなんじゃないかと思っています。
この作品があまり評価されてないのはキャラが目立ってないからなんでしょうね。そもそも立ち絵は微妙と思う人が多いでしょうし。一部CGに明らかに手抜きなのがあるのも残念でした。
歌はいいですね。この作品にピッタリです。
最後に、私は堀田という人物の後日談(男たちの憂鬱)を読んでこの作品は奥が深いと思いました。
復活というその言葉も幻という言葉で説明がついてしまうのがなんだかさみしい。