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cinnamonさんの僕らの頭上に星空は廻るの長文感想

ユーザー
cinnamon
ゲーム
僕らの頭上に星空は廻る
ブランド
POLARSTAR
得点
60
参照数
958

一言コメント

フルプライスにしては短く、内容も薄い。地雷とは言わないが、期待値よりかなり残念であったことは否めない。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

 共通部分は、「宙のまにまに」というマンガを良く言えばオマージュ、悪く言えばパクった感じで展開。発展版というより縮小劣化版ですが。体験版範囲を抜けてからがひたすら眠い。まさか選択肢に行くまで3度も寝落ちするとは…。
 世の中には共通部分が(モノによっては共通部分の方が)面白い作品があるが、それの真逆。そして、満を持して到達した個別はルートによってムラが。 
 先輩二人のシナリオは、及第点。きっかけはともあれ、ちゃんと恋人になっていく過程、結ばれた後の行き違いなどがちゃんと書かれている。第三者からみるとそんなにシリアスじゃない些細なトラブルというのが青春モノとしてちょうと良かったと思う。個人的には綺音先輩がお気に入り。自分のルートでも、他のヒロインのルートでも良い活躍をしているし。
 それに対して、広義の意味での幼馴染3人のシナリオが酷い。すぴかシナリオは昔約束した女の子はすぴかであるか否かがテーマなのに、グダグダ過ぎて失笑するレベル。主人公は痴呆症なのか、脳改造されたのか?姉ちゃんシナリオは生徒と教師、従姉弟という壁がテーマだが、主人公の行動が青春モノであることを考慮しても痛すぎ、読むのが苦痛。お隣さん幼馴染は、前半はヘタレ同士の恋愛模様というところは上手く書けており(お試し期間には?と思ったが)、ルート外のヒロイン達との絡みも良好であったが、結ばれた後の投げやり感が酷い。Hシーン3連続こなして終了。他のルートでは描かれていた文化祭のエピソードがバッサリ削除されている。何これ打ち切りなの?という感じ。
 あと、Hシーンは正直青春モノとしては全く合っていない。初々しさとかそんなものが全く感じられない村上春樹の小説みたいなおかしなものになっている。

 で、私は良くシナリオのダメさを書いた後に「グラフィックは良いのにー」みたいなことを良く書くのだが、このゲームにしては絵は良いとは言えない。1枚絵になるとデッサンやらが狂いまくるし、顔も全くの別人みたいになってる。絵のタッチ自体は結構好き(水平線まで何マイルとかに似た感じ)なのだが、本作の1枚絵は擁護できないレベル。

 んー、なんでこの作品を買っちゃったかなーと考えると、パッケージの絵とか導入部の雰囲気は悪くなかったからなんだろうと。ただ、こう本編が良くないと、ブランドとしての存続はできないんじゃないかな。