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cinnamonさんの彼女は高天に祈らない -quantum girlfriend-の長文感想

ユーザー
cinnamon
ゲーム
彼女は高天に祈らない -quantum girlfriend-
ブランド
Escu:de
得点
70
参照数
1004

一言コメント

体験版で懸念されたゲームバランスは大幅に改善され、純粋に楽しくなった。逆にシナリオは一転かなりの期待はずれ。面白くないと断言できるレベルに低下。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

 見送りを考えていましたが、思ったより安価に販売されていたので購入しました。
 最初の体験版の戦闘シーンのゲームバランスはかなり末期的でしたが、体験版の新バージョンと製品版では大きく改善されており、この手のゲームとしては非常に良いレベルだと感じました。特にタケミナカタ戦のゲームバランスは絶妙でした。
 修正パッチを当てることで、周回プレー時に技とスキルポイントの一部を引き継げるのも好印象です。

 ただ、シナリオは本当にお粗末。日本神話のエッセンスを乱暴に撒き散らしただけで、見るべきものはほとんどありません。もちろん量子論やらのSFな面もかなり絶望的。

 タケミカヅチルートのエピローグ(真の意味で後輩となったタケミカヅチが可愛かったというだけで、シナリオが良かったわけじゃないですが)と、アメノウズメルートのラストバトル近辺の展開だけは個人的には良かったと思いましたが…。
 メインヒロインのはずのアマテラスは、一部ロリ属性の人々にチビテラスがウケるだろうなぁという以外は全く印象になし。ラストもなんだか後味がもやっとした感じ。
 裏メイン?の美琴に関しては、幼馴染を「演じて」いただけという流れなので、もう感情移入も何もあったもんじゃありません。
 そして、全員攻略するには4周する必要がある訳ですが、基本ラストバトル直前までは共通シナリオで、途中個別のエピソードがチョロチョロ入るだけなのでひたすら作業感が漂ってきます。戦闘が面白くなかったら多分1周やって放棄していました。
 そういえば、京都(作中では「夾都」)が舞台なのに、そういった印象をほとんど受けなかったのは、神社仏閣の描写が少ない上に京都弁等がほとんど使われていなかったからでしょうね。本作では信仰の時代と神無き時代の対比がテーマでもあった訳ですが、古都と近代都市の対比がほとんど無いのも残念だった点ですね。

 音楽は良好なレベルでした。音楽はラップ調のものもあったりといくつか耳に残る曲もありました。
 グラフィックは悪くないですが、立ち絵のバリエーションが少なすぎます。私服ぐらいは用意すべきだったかと思いました。

 結局、シナリオの残念さで、せっかくの素材を台無しにしている感が強いです。最近はグラフィックが残念とか、音楽が聞くに堪えないというゲームは探すほうが難しいので、シナリオライターに要求される責務は重いですね。





※ 以下は攻略の要点

 ルート選択は、攻略したいキャラをストーキングしていけば大体大丈夫。ただ、これだけだとCGが埋まらないので、1周目はタケミナカタもストーキング、2周目は道真をストーキング、3週目はりつかをストーキング・・・というようにする必要あり。
 美琴はカミサマ3人攻略後じゃないと一部イベントが発生せず、攻略できないような。

 攻略順のお勧めは、タケミカヅチ→アマテラス→アメノウズメ→美琴。
 ラスボスがこの順に強くなっているように感じる。

 育成は基本的にスピードをひたすら上げて速度で圧倒した方が楽。ただ、タケミカヅチは物理攻撃を上げないと乾坤一擲や連続剣・改を覚えないので、適宜調整。
 御祓は攻略キャラとその他のキャラを1日おきに選択すればOK。というか、同じキャラを連続で選べないので。

 スキルは光玉の欠片or光玉or光玉・改を早い段階で全員分用意し、雑魚戦はLV2の全体攻撃かタケミカヅチの奥義でゴリゴリやればまず大丈夫。2章で手に入る光玉はアマテラスに持たせるとボス戦が楽に。
 ボスは敵の速度と防御を支援術で削り、アマテラスのLV1奥義と主人公の奥義、タケミカヅチの連続剣or連続剣・改を主体に組み立てれば大体大丈夫。攻撃力とか智力はアマテラスの奥義で防ぐのを前提にすれば削る必要はない。

 タケミナカタは1周目だとちょっと難しいが、2周目以降なら開幕直後に足削りor足削り・改をかまし、タケミカヅチは乾坤一擲、主人公は連続剣・改を連発。それ以外の技は貼らず、スキルポイントをHPアップやスピードアップにまわした方が良い。
 タケミナカタは木属性の攻撃が多いので、木封護符等を貼って木属性の防御を上げておくと勝率が高まる。