複数ライターのようだが、シナリオの出来にばらつきが大きい。体験版やって希沙が合わなければ回避推奨。
ほぼ絵買い。なんとなく少女マンガチックな印象の絵(男キャラは主人公含めイケメンっぽいし)。
体験版やった時はタユタマに懲りず、すっとんだ幼馴染キャラを今回はメインで出すのかよ!と思ったが、
やってみると悪くなかった。むしろ良作。
ただ、複数ライターの弊害のためか、個別ルートの完成度がまちまち。個別~希沙シナリオのライターに
すべて書いて欲しかったところ。
それぞれのキャラ・シナリオについてざっくりまとめると、
希沙:デフォルトでは主人公に全く恋愛感情を持っていない、ギャルゲーとしてはある意味稀有な幼馴染。
努力嫌いで安請け合いの天才と、ダメっぷりを発揮。彼女以外のルートでは主人公の親友に徹して
ヤキモチを欠片も焼かないため、他のゲームであるような幼馴染以外を選択した場合の後味の悪さは
無い。
メインヒロインだけあって彼女自身のルートは共通部分からシナリオがブレずに最後まで行く。
彼女自身もシナリオが進むに従って会長としての自覚を持っていく。お互いに恋愛を意識していない
せいもあって好きになって行く過程がちゃんと描写されており、十分ニヤニヤ出来た。
特に告白シーンの「安請け合いだったりしないかな?」からのやりとりは秀逸。
本作でもっとも出来が良いシナリオだと感じた。点数のほぼすべてが彼女のシナリオのおかげと言
える。
コトラ:今回の騒動の原因とも言えるキャラ。ただ、彼女自身の設定はほぼ生かされていない。彼女のルート
は学院祭までは最も執行部の活動に関わっていた気もするが、学院祭後は失速。
主人公が彼女を好きになる過程がよくわからない。最後の事件もかなり茶番臭く感じる。
蓮子:百合担当っぽいだが、個別に入るとほぼ百合成分が消える。暴走しない限りは常識人。キャラ的には
悪くないし、恋愛についての描写もなかなか良かったが、終盤のシナリオがひたすら平坦なのが不満点。
最後も打ち切りのように終わってしまうのも残念。
時羽:任侠のお嬢様。個人的にキャラとしては好きだが、シナリオは恐らく一番ダメ。このご時勢にヤ○ザの
フロント企業と交流のある芸能人(主人公母)とか学校ってタイムリーにアウトで違和感絶大。
また学院祭にはほとんど絡まないので本作の主題からの逸脱も大。最後の事件の茶番っぷりはひどい。
かなか:隠しヒロイン。ファンディスク商法に走らなかった点は好感できるが、シナリオのボリュームが
ちょっと不足。本編の序盤を別の視点から見られるという点は良いが、主人公が彼女を好きになる過程が
唐突。なんとなく人気投票1位になりそうなキャラだけに残念である。
ヒロインが主人公を好きになるというより、主人公がヒロインを好きになる過程を重視しているっぽいのだが、
希沙・蓮子以外はイマイチ描写が足りない気がする。
主人公はカタブツというか、デフォルメされた理系人間とした考えた方が納得しやすいかも。母子家庭だが、
その理由等が一切示されていない。設定をちゃんとふくらませてやれば主人公が恋愛に興味が無い理由とかを描写
できたと思うのだが。
素性は良い作品なだけに惜しい点が列挙されてしまったが、キャラゲー・雰囲気ゲーとしては良作の部類。
鬱になる要素がほぼ皆無なので、なにか鬱地雷を踏んだ後のリハビリにも良いと思う。