キャラゲーにシナリオを上手く取り込むことができた新しいシナリオゲーの可能性を提示する作品
雰囲気: 17点
央路、シルヴィ、理亜の3人とそれを取り囲むたくさんの人達に特化した世界観。
このためメインヒロインである玲奈、エロイナが若干サブヒロイン化しているところがある。最初に挙げた3人に対してどれだけ思い入れを持つことができるかが作品評価のポイント。
音楽:18点
日常やギャグシーンを彩るのによい演出となっているコミカルな曲調や明るめな曲が多め。それ以外にもGolden time、Orohora、fortune、しあわせの坂道、Sylvia’s themeなどゆったり目な曲も揃っており、シーンの緩急をつけるのに非常に役に立っている。またオーラスEDのあの輝きを忘れないはラストの演出と合わせてお見事。
人物:20点
3人の主人公たちはもちろん、それを取り囲む人々も合わせて非常に完成度が高い。特にタバコ、不良という忌避されやすい要素を持った理亜のキャラクターとその哲学は作品の大きなテーマとなっており、非常にうまくできている。各キャラ自分の矜持を明確にできている点こそキャラゲーでありながらシナリオがここまで表侵されている大きな要因と思われる。
演出:20点
音楽、立ち絵のアニメーションを上手く使い、重くなり過ぎないような雰囲気を上手く作ることができている。またオーラスにおいては理亜の矜持とその物語の終わりを悲劇ではなく次に進む物語として示すことができている。何よりシルヴィ2周目と最後の1枚のCGで使われたほんの少し先の物語の提示と叶わなかったifの提示は非常にうまくできていた。
シナリオ:15点
オーラスルートとその後にプレイするシルヴィルートに関しては文句をつけようがない出来。しかし玲奈、エロイナルートに関してはヒロインの物語ではなくそれぞれ央路、シルヴィの物語になってしまっているのは難点。また茜ルートに関しては短いという点と作品のテーマである格好つけるという点を表現できておらず主題からずれてしまっている。キャラゲーとしては申し分ない程度には3人ともイチャイチャ成分があるがシナリオゲーとしてみるにはもう少しテーマへのすり寄りとそのヒロインならではのシナリオを期待したかった。
総評
シナリオゲーとしてはあと一歩頑張ってほしかった部分がいくつかあるがキャラゲーとしては申し分のない出来。そのシナリオもシルヴィ、理亜に関してはうまく構成されており一つのテーマを上手くできている。現在キャラゲーが主流になっている業界でもこのくらいはシナリオが主張しても良いのでは?と思わせるほどの出来となっており個人としてはこの作品に続くものがこれから出てくれることを期待したい。