今までやったエロゲの中で一番。
蛇足になると思われるが少々。
虚淵というライターはファントムで既に完成されていたような気がする。
もちろんこれは両方の意味を含んでいる。語彙力も豊富、描写の素晴らしさ、私見ではあるが、他のライターとはかけ離れていると思う。
よくも悪くも、シナリオライターというより、作家なんだな、と思わされてしまう。もちろん作品の出来は全てが素晴らしい。同人やら小説やらも含めて、彼の作品は全て手をつけている。
その中でもこの沙耶の唄というのは飛びぬけて素晴らしい。
この作品では、とある病気により正常なものを異常と捉えてしまう青年と、その彼が異常の中で唯一、正常として見られる少女の物語である。
かいつまんで要約するとこんな感じ。
グロというほどグロくはないし、狂っているというほど狂ってはいない。ただ青年が自分の在り方というものに葛藤し、結果として付随したものが狂気であっただけではないか、と私は考えている。
異常というのは時に正常なものよりも正しく存在しているのではないだろうか――などと、このゲームをやり終えて思ってしまうのだ。
本作品はその稀有なるライター虚淵の本気が垣間見える。
薄く触れる程度ではあったが、医学に関してのことだったり、クトゥルフ神話を取り入れてみたり……。
主軸は主人公の青年ではあるものの、エンドによっては井戸魔人であったり、担当医が活躍したりする。エンディングは三つだが、どれもが「さすが」と頷いてしまう。
伏線の明かし方もまた素晴らしい。さっきから素晴らしい尽くしだ。
CGも音楽も何もかもだ。
一枚絵を主に使っているところは、さながら映画。
このことで最終的に何が言いたいのかというと、沙耶可愛いよ、沙耶。