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cherryさんのφなる・あぷろーちの長文感想

ユーザー
cherry
ゲーム
φなる・あぷろーち
ブランド
Princess Soft
得点
85
参照数
527

一言コメント

キャラの魅力がずば抜けて高いキャラ(妹)萌えゲー。基本的にどのシナリオも綺麗にまとまっているが、裏を返せば印象の薄いシナリオとも言える。ただ、凡百の萌えゲーなどにはない輝きを感じる。あと、完全に西又女史の絵で統一して欲しかった。塗り薄過ぎ。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

メインヒロインである益田西守歌の扱い方が非常に残念だった。
彼女が突然許嫁を名乗り、家に押しかけてくることから物語が始まる。
キャラ付けも面白く、今までに無いヒロイン像と言える。
しかしキャラ自体への萌えが大きいのに反して、シナリオはかなり中途半端。
具体的な理由としては、
「主人公にこだわる理由が圧倒的に薄いこと(感情移入する上では致命的)」
「ハッピーEDが淡白に終わりすぎであること(再会の描写が全く無い)」
が挙げられる。

メインヒロインの扱いに対して、意外にキャラが立っていたのは百合佳。
どこがいいのかと聞かれてもうまく答えられない、普通の子。敢えて挙げるとするなら現実にいてもおかしくない素朴なキャラと雰囲気だと思う。
しかしキャラ自体への萌えが大きいのに反して、シナリオはかなり中途半端(しつこい)。
具体的な理由としては、
「百合佳の気持ちの動きがわかりにくい」
「どうみても主人公が百合佳の寂しさに付け込んだだけに見える」
が挙げられる。
正直、あんなカッコいい兄の恋人という初期設定に無理があったと思う。
好きだけど、気持ちを伝えることを怖がっているくらいの初期設定にしとくべきだった。
というより、百合佳シナリオにて妹の明鐘が百合佳に激怒するシーンでの明鐘のセリフ・想いがひたすらプレイヤーの心に響き、メインの百合佳がサブの明鐘に食われたと言わざるを得ない。

そして、その明鐘はまさに妹の中の妹というお約束の設定。
甘えるし、やきもち妬くし、始めからお兄ちゃんに対する高感度最高だし。
シナリオも実妹(これがかなりネタバレ)設定を生かし、修羅場シーンも多く、唯一凡百の萌えゲーなどにはない輝きを感じるシナリオだった。

キャラの魅力にシナリオがついて来なかった作品。
しかし、光るところは数多くある。
妹属性がある方には確実にお勧め出来ます。

それと、明鐘の声をされた松来未祐さんの演技がとんでもなく素晴らしい。
一度は聞く価値ありです。