呉先生の文章力が存分に生かされた作品
恵里ルート→駒子ルート→由乃ルートの順でプレイ
物語が進んでいくにつれて謎が判明していくのでプレイ中のクリックが止まらなかった。また、ミスリードらしいミスリードもなかったためそこまでイライラせずに進めることができた。
由乃ルートの最後の方で始めから散りばめられた伏線を全部回収して、カタルシスとまではいかないまでもこういうことがやりたかったんだと納得させられた。
主人公は自らの因果が渦巻いている凶気の島に帰ってきて事件解決をするために奔走する。そこに由乃(這い寄る混沌)や杏子の存在が脳裏をかすめる。この本筋は間違いなく面白い。ただ、本筋が面白い分、恵里や駒子といった2人のヒロインの存在がどこかもったいないと思われてしまった。せっかくサイコメトリーという能力だったり、刀を振るって異形に立ち向かうという特徴を持っているにもかかわらず主人公の物語をスムーズに進めるためのただの駒としか扱われていない気がした。ヒロインである以上、彼女たちの物語として深堀りをしてほしかった。
しかし、シナリオにこだわりがあるのは間違いがなく、いい意味で少し昔のエロゲーを彷彿とさせるような出来にはなっていた。