この作品の楽しみ方を教えて下さい……
どうやって愉しめばよかったのかわかりませんでした……。これは相性悪かった。ゲームとしての出来は他の方の感想に委ねます。
<ストーリー>
とあるオタサーに属していた自意識の強い主人公が、オタサーの姫から告白されて何もしてないのに自分は彼女にとって特別な存在だと勘違いした挙句、独占欲を暴走させてサークルを破壊し、姫を殺しかけるところまでいくというお話。
正直「オタサーの姫」やその周辺の構造を描くというよりは、一人の精神異常者を「オタサーの姫」にからめて晒し者にし、徹底的に叩きのめすような作品なのかな、と感じました。
本来は「オタサーの姫」はわかりやすいメンヘラで、その周りの人間も、わかりやすい非モテで、両者の間には短期間だけギブアンドテイクが成立する。しばらくしたら姫はさらに承認欲求を求めて別の場所に移動する、それだけのお話だった。その構造の中に、一人だけ精神異常者が紛れ込むことでグチャグチャになった、と。
<主人公がただのキチ○イにしか見えず同調出来なかった>
その精神異常者ポジションにあたるのが主人公。さっきからあえて「精神異常者」ときわどい表現を書いてますが、それは私がなんでこのういう行動を取るのか文章を読んでいても全然納得出来なかったからです。
ここが納得できるなら、主人公が物語中で客観的に精神的異常者として扱われていたとしても私にとって「精神的異常者」ではない。ある程度同調できたかもしれません。そうすればもう少し心に刺さる作品になったかもしれない。
実際「エリーゼのために」とか「さよならを教えて」の主人公とかは私にとっては同調可能な存在でした。でもこの主人公は、私にとっては単に狂ってるだけの人なんですね。全く理解も出来なければ納得もできない。理屈では嫉妬してんだなーとか独占欲やら勘違いの正義心とかが暴走してんだなーってわかるけど全然しっくり来ない。
そういう感じで距離を取り違えたため、私は常に「何こいつ?頭おかしいの?」って感覚だったので、私にとってこの作品は単に「キチ○イ」を遠くから眺めるだけの作品になってしまいました。
どちらかというと、主人公自体は普通の非モテくらいにしておいて、この精神的異常者とオタサーの姫の相乗効果で、今までそれなりに穏やかだったサークルが崩壊していく不条理や不可解さを描いてくれたほうが個人的には面白かったかもしれない。あ、それは「ヤサシイワタシ」か。
<オタサーの姫からみた主人公>
一回クリアした後は「裏アカ情報流出システム」というのが追加される。
オタサーの姫であるミユの内心を、ツイッターで暴露していくという仕組み。
よーするに、主人公がひとりよがりすぎて全く相手のことが見えていないため、実際のところ女の子の側からどう見えていたか、という答え合わせをやるという非常に野暮なシステム。
これ見ると美憂は、主人公とも最初は割りとフラットに接してた。大勢いる男の中の一人、という扱いに過ぎないけれど、別に嫌悪はしてなかった。それが途中から主人公「だけ」を嫌悪し、警戒しているのがわかる。ま、明らかに一人だけがっついてるからね。
他の人間は結構簡単にオタサーの姫によって満たされるし、満たされたことによってオタサーの姫の望み通りに動くからギブアンドテイクの関係が成り立っている。
これにたいして、主人公だけは頭のなかではあれこれ考えてるけれど、一人だけミユの望み通りのことを全くしないで、自分がよいと思ったことを勝手におしつけて満足し、その見返りを求めている。全くもって自己満足のオ○ニーでしかなくそりゃミユさんもうぜえええええ!としか思わないですよね。しかもいきなりキレて暴力を振るったり、みんなとの関係を壊そうとしたりでホント気持ち悪い。
<OPやEDの歌詞は結構好き>
とにかく、ただ気持ち悪いものをみせられて、当然のように救いがない展開になって。そりゃそうなるしかないよね、気持ち悪いよね、って思って、ただそれだけ。私はこの作品から何を引き出せばよかったのだろう。わからん。
自分だったらこのオタサーの姫にどう接するか、どうすれば助けられたか、とか考えればいいのだろうか。でも、この姫別に馬鹿じゃないしな。そして私はこういう人を全く好きじゃないし、何も考えつかない。そう、ヒロインが好きじゃないっていう時点でもう自分の中でどうにもならない。短かったらよかったけど、ギャルゲの原点として、まずヒロインが好きになれることって大事だという事を確認しました。
と、余りポジティブな感想を書けず申し訳ないです。逆に、この作品を楽しんだという方がいらっしゃったら、私はこんなところがこの作品の魅力で、それをこんな風に楽しんだぜ!ということを教えていただければと思います。