「泣かせに来てるな」などと思ってはいけない。思うな危険!!
ヒロインのほしのゆめみちゃんは、ロボットなのでプログラム通りに動いているし、プログラム通りにしか動けない。ゆめみちゃんののんきな声、主人公をイラつかせるほどお人よしの性格は、却って世界がかつてと較べてどれだけ狂ってしまったのかを炙りだしてくれる。
人々の暖かさを、まるで凍結マンモスの化石ように凍結保存しているロボット。こういうロボット物語を初めて見て、とても面白いなあと思いました。
哀愁と感傷と癒しが、止むことのない長雨のように物語を覆っています。音楽も胸に沁みます。
ただ、この物語を本当に楽しむためには、没頭できなければいけないようです。最後のシーンで、「泣かせに来てるなあ」などと思ってしまうと、そこから先は没頭できなくなってしまう恐れがあります。自分は、ラストシーンで効果的に音楽が切り替わったり、感動的なシーンがかなり引き延ばされていたこともあって、ふと、「製作者はここで泣かせに来てるぞ。……。一体どんな部屋でこれを作ったんだろうか。深夜、雑居ビルの一室を白々とした蛍光灯が照らす。もう何日も風呂に入っていない。曇った眼鏡、振り乱した髪。カップ麺をモシャモシャかき込みながら、脂ぎった指でキーボードを打ち込みまくったりしたんだろうか」等考えてしまい、そこから物語に入り込めなくなってしまいました。
ラストで、そのようなことは考えちゃいけないと思いました。