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buuchanさんのMagical Charming!の長文感想

ユーザー
buuchan
ゲーム
Magical Charming!
ブランド
Lump of Sugar
得点
92
参照数
974

一言コメント

梱枝りこ先生の描き出す少女世界。男が絶対に覗くことのできない女の子の部屋に、突如紛れ込んだ気分。最高の美少女ゲーム

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

『Magical Charming!』
『マジチャ』の世界は、夢の国。野暮な男が普段生活しているぶんには、一生見ることのできない少女の部屋に、突如として迷い込んだ感じでした。プレイ中の1か月は、本当に魔法の国で生活しているみたいに楽しかった。

①絵について
梱枝りこ先生の絵が、本当に可愛い。りこ先生の絵は、静止画像で見てももちろん十分に可愛いのですが、実際にプレイして表情が動いているところを見ると、もう破壊的に可愛いです!!

梱枝先生やLump of Sugarさんは、オリエッタをはじめとするヒロイン達の表情を活き活きと動かすために、一体どれほどの労力を注ぎ込んだのでしょうか! 一つのセリフを言うにも5通りくらいの表情差分があったりして、少女たちの繊細で微妙な心の揺れを完璧なまでに表現しています。もともと梱枝先生のファンでしたが、実際にエロゲをプレイして、先生のヒロイン達の表情がコロコロと動くのを見て、あらためてそのすごさに圧倒されました。梱枝先生の絵は、動いているものこそを見たい。そして、それができるのがエロゲなのです。



②シナリオ、テキスト、Hシーンについて
主人公は抑制が効いていて、真面目で、エロゲにありがちな不自然なノリみたいなのも皆無で、かなり好感度が高かった。
物語の運びがうまいし、会話の順序が効果的で、オリエッタとシャロンのどたばた劇も面白く、萌えゲー最高峰のシナリオ、テキストだと思いました。
特にHシーンについては、(おそらく何人かのライターさんが参加されていると思われますが)メインで書かれているライターさんが非常に上手くて、エロいのなんの。エロゲのHシーンの中には、フィジカル(身体動作)の描写と喘ぎ声だけに終始しているものも多い中、『マジチャ』では小説のように豊饒な行間表現があって、とてもよかった。

たとえば、
~~オリエッタはさっきから初めて聞くような声をあげている。
~~いや、彼女自身も初めてあげる声に違いない。

のような、声ひとつ取っても、必ず意味づけが含まれている。ここまでマジチャをやってきた読者にとっては、あの子供っぽい天真爛漫なオリエッタが、こんな声をあげること自体が衝撃なんですが、それをしっかり表現してくれてる。

身体が繋がっている部分の描写についても、男性側の器官と女性側の器官に、上記の声の例と同様な意味づけがされてて、滅茶苦茶エロく、かつ、少女が決心して身体を捧げているんだな、ということを分かるような文章になっています。

オリエッタの初回Hは、自分がこれまでやったどのエロゲよりもエロく、衝撃的で、記念碑的ともいえるような名シーンだったと思います。



③声優さん
オリエッタの声をされている愛理サクラさんがむちゃくちゃ上手い。この声に恋しました。調べても、エロゲはこれ一作しか出演していらっしゃらないようなのですが…残念です。緩急自在、わがままで、元気で、天真爛漫で、まるで茶の間で家族としゃべってるような自然な声で…。それがHシーンになると、「オリエッタてこんな声だすの…?!」という声を出す。「ちょっと、ね。あそこがまだ痛いのよ」的な発言にしても、遠慮はないけれど、恥ずかしがってるという絶妙な演技。「だーいすき!」も最高。オリエッタの声、本当に素晴らしかったです!!!



④主題歌OP,.ED
佐倉紗織さんの歌う、あまあまの超名曲。魔法の国、夢の国のイメージにぴったりでした。佐倉さんの甘い歌声で物語が開かれ、そして、佐倉さんの甘い歌声で物語が閉じられる。まさに、『マジチャ』という夢の国全体を包み込んでいる魔法のような歌声でした。



⑤ストーリーそのもの、グランドルートの面白さも物語を引き締める上でとても効果的だと思いました。もっとも、グランド√もさることながら、なんといってもオリエッタとの日々がよかった。絵、声、シナリオ、表情差分の動きなど、ありとあらゆる技が結集してオリエッタという、エロゲの中でも最高レベルのキャラが生まれたんだと思います。
グランドルートのストーリーももちろん面白いのですが、自分としては、『マジチャ』の神髄は、りこ先生や愛理サクラさんやライターさんや歌手の佐倉さん達の才能と努力が結晶化した、オリエッタそのものにあると思いました。



⑦本当に最高のエロゲ―でした。『Magical Charming!』を作ってくださった皆様に、ありがとうとお伝えしたいです。