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broadsnowさんのノブレスオブルージュの長文感想

ユーザー
broadsnow
ゲーム
ノブレスオブルージュ
ブランド
Chuablesoft
得点
65
参照数
1808

一言コメント

一人はみんなのために!みんなは君のために!(=メインヒロインはルイ。あとはおまけ)

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

短いって聞いたので先に崩そうとしたら別に普通だったし!


別に、影武者として女装していても、独自通貨を発行し決闘のある奇妙な学園を舞台としていても、ヒロインの強さがまるで人外であっても、それは容認できる(独自通貨だと学園の収入が全くないことと、そうすると学費が恐ろしい値になりそうだとツッコミは入れたいが)。しかし、女装の設定も影武者の設定も活かされていないシナリオとヒロインに好感を抱かせないイベントは許せるものではない。

A、キャラクターに関して
作中の表現に倣ってキャラの好感度を序列で表すなら
ルイ1位
ポルトス3位
リシュリュー5位
主人公、アラミス、アトス、ロシュフォール50位程度
アン500位(最下位)
ミレディ論外
といったところである。

各キャラの不満を抱いた要素や展開を軽く列挙すると以下の通りである。

1、主人公
言動は確かに可愛らしいと言えるものが多い。だが男だ。そうするとそれはむしろ情けないという欠点と言える。また失言などのうっかりが多い。物語の展開に便利に使われている印象を抱く。つまりヒロインなら可愛いが主人公という視点ではマイナス要素が多い。


2、ポルトス
他のゲーム(エロゲに限らず)等でも大食らい、怪力というヒロインは見かけるのだが、これに反応する方はいるのだろうか?私はこの2点に何ら魅力を感じないどころか、むしろ印象が悪い。
小柄な体格とのギャップを演出したいのかもしれないが、先に述べたようにもう既によく見かける陳腐な設定に成り下がっているので効果的とは言い難い。
また、質量の重い物体と質量の軽い物体を結びつけて運動させれば、質量の軽い方が振り回されるのは物理の道理である。怪力であれば数十kgはあるグレートソードを持つことも振り回すことも確かに容易である。しかしたとえ怪力であっても、グレートソードを振り回せば、グレートソードより軽いポルトスが今度はグレートソードに振り回される筈であろう。
これらの点以外はとても好印象。


3、アトス
面白い性格をしているので序盤はなかなか印象良い。
ただエピソード「汚部屋へようこそ」で心証が著しく悪化した。汚部屋というだけでも印象としては良いとは言えないが、むしろその後の別の点が気に入らない。
そもそも汚部屋に行った理由は、アラミスが1年前にアトスに貸したCDを痺れを切らして回収しに行くことが発端である。そしてアトスは借りていた事実すら完全に忘れており、そしてアトス含め他人から借りた物を平然とその汚部屋に放置している。しかも片付けるのが面倒と惰性で無理矢理取り出しCDケースを壊すという始末である。
他人の厚意で借りた物を粗末に扱う厚意に胡座をかくその様は非常に不愉快である。


4、アラミス
良キャラであるが、主人公をからかう回数が多い。序盤のアラミスとの遣り取りは、からかいばかりの印象。少々くどいと感じてしまう。


5、アン
抱きつくなら可愛いが、全力疾走してきて抱きつき(=タックル)するヒロインを好きにはなれない。時には文字通り飛びかかってくるのだから始末に負えない。また本当に顔などを舐めてくると奇行が目立ち印象は良くない。
これ以外にも宿題をサボったまま遊んでいたり、罰としての掃除を主人公が手伝ったりと印象は殊更悪化していく。

ジュサックとのマッチも展開として非常に不快であった。
まず対戦相手のジュサックに集中しない。ジュサックに失礼にも程がある。しかもジュサックは圧倒的に格上の相手である。胸を借りる側が礼を失する行為をしている様を見せられて看過できるはずがない。

また生徒会長という立場、しかもルイの身代わりとしてルイの立場を悪くしてはならない立場、にいる主人公が明らかにアンに肩入れする言動をする。生徒会長にいる人間が、たとえ友人であろうとも、誰かに肩入れするというのは甚だ公平性に欠ける行為である。生徒会長でなければ、あるいはせめて衆人環視の状態でなければ、感動的と言えなくはないが上記イベントは決してそうとは言えない。副会長がリシュリューだから窘められなかっただけで、あの言動は通常批判されて然るべきである。またそうなればルイの立場を悪化させるのは疑うべくもない。

そして終始アンのスタイルはセンスに頼った動物的なものだと表現しているのに、最終的に頭で考えた策を使って勝利という訳のわからなさには本当に呆れてプレイを中断してしまった。あのバトルは、善戦までは許せるが、最終的には負けるべきだった。そう確信している。


6、リシュリュー
変人であるが嫌味なところのない良キャラである。しかし色々とついて行けない点があるのも否定できない。


7、ロシュフォール
面白いキャラだが完全に男だ。


8、ミレディ
マジクズ。

この一言で全てを表現できる。

リシュリューのメイドでありながら終始主人の顔に泥を塗る言動ばかりをする。
論外である。心底論外である。本当に論外である。大事なことなので3回書いた。

最終的にボイスをオフにした。私としてはかなり珍しい行為である。つまりそれほど腹に据えかねたキャラだという証左である。


B、シナリオに関して
(1)四銃士ルート
四銃士ルート全体的に言えることだが「ルイの身代わり」だという点が全くもって無視されて話が進む。

アラミスを除く3人のヒロインは主人公のことをルイだと思っており、そして3人はルイだと思っているからこそ心を許している。ヒロインを騙していること、近いうちにルイが帰ってくること、ルイが帰ってきた後のルイとヒロインとの関係を考慮するべきなのに、それらが一切無視されている。多少は許せるが、全く完全に無視されるのは面白くない。

そもそも影武者はルイの為に強行した行動である。それを明かすという行為はルイに対する裏切りである。当然ルイは許してくれるだろうが‘罪’であることには変わりない。‘罪’を犯す覚悟もなく、致し方なくや流れで明かしてしまうというのは腹立たしい。

特にグランドエンドを見るに主人公のルイに対する想いは尋常ではない程深い筈であろう。たとえ四銃士ルートがグランドエンドのifストーリーであっても、これを軽くスルーしているのは納得がいかない。


各ルート感想
1、アン
上記の共通ルートのジュサックとのマッチと完全に同じことを言いたい。
いかに効率の良いトレーニングをしようとも元々圧倒的な実力差及び経験差のあるロシュフォールに勝利するのは難しい。しかもロシュフォールはアンの体力が尽きるまで猛攻を防ぎきっており、この後アンが勝利するのはご都合主義を発揮しすぎである。


2、アトス
分岐直後の主人公の情けなさが・・・・・・ルイだと思って迫ってきたアトスに為されるがままという展開は、惚れた女を裏切る行為である。身代わりだということがバレるまで抵抗できないとか、バレた後焦るとか、そして仕方なくネタばらししてアトスがショックを受けるとか、序盤からプレイする意欲が減退させられる。

これ以降はそこそこの出来であり、決して悪くはない。テキストウィンドウの名前の表記がアトスから昴に変わる地味な演出は素直に褒めたい。

ただし不満点は多い。

アトスの回顧は竜頭蛇尾であり、冒頭のルイとの馴れ初めばかりが描かれ、最後の主人公に対する感情の話は僅か数クリックで終了してしまう。
また1年半のブランクのある主人公が勝ってしまう展開には説得力が足りていない。剣の修練自体は辞めていても、トレーニングは習慣として続行している、またはルイの身代わりとして学園で何かしらの修練をしていたなどの話が必要だったと感じる。

さらに鉄仮面の話は最終的に放置されており、アトスの動揺と打刀の前フリの為に無理矢理入れられたイベントにしか見えない。そもそもアトスは自身の感情を冷静に省みて主人公に告白したはずであるから、あの動揺は流石に展開として無理がないだろうか?ルイ本人には恋愛感情を抱いていなかったと自認しているのだから。


3、アラミス
ミレディを○したいです。ミレディをぶっ○したいです。ミレディを(ry
あとは結構良い。
ただし名前の話はおかしい。バトルの中で『リシュリューの元を離れて以来、初めて名を呼ばれた。』とあるが、共通ルートにおけるエピソード「学園生活、始まる」で「みすず」と呼んでいる。


4、ポルトス
・主人公が衝動でポルトスにキスをする
・主人公が自分の行動に悩みポルトスが好きだと気づく
・女同士であることにポルトスが悩む
・ポルトスに男(ルイの兄)であることを明かす
・・・・・・ポルトスを傷つけたくないから、そしてルイがポルトスの涙に耐えられないから影武者になったのに、それを自ら明かすのは・・・・・・墓まで持って行くべき秘密の筈だろう?毒を食らわば皿まで、だ。なんなのだこの展開は・・・・・・

名前で呼び合う仲になった後にも関わらず、呼称(及びテキストウインドウの表記)がたまにポルトスになっているのも印象として良くない。

またクライマックスの『嬉しいよ。ポルトスみたいな子が、僕の恋人で』は表現としてNGだと思う。似た子であればポルトスでなくても構わないようなニュアンスを感じさせる。『嬉しいよ。ポルトスが、僕の恋人で』がベターだろう。

あとミレディを(ry


(2)Reine Soleil(ルイルート、グランドエンド)
・今までのルートの展開を踏襲している
・四銃士は主人公がルイの影武者であることを知っている
急にこれで始まるので面食らう。

内容はまたミレディ・・・・・・ルイとリシュリューの決闘は良かったのに、本当にこいつリシュリューの誇りを汚すだけの邪魔な存在だな。あとルイが可愛い。