ネトゲ廃人の更生ということだが、主人公のコミュ力非常に高いぞ、おい。
設定やヒロインはエロゲとしては割とありふれた(?)物であり、そこまで物珍しさは感じない。まあ先に述べたように主人公の社交性はかなり高く、あまり廃人の更生というイメージを抱くことはなかった。一方のシナリオ展開はありふれた結果に終わると見せかけて少し外して来ている。勿論意図的にやったのだろう。この外し方を良しとするか悪しとするかはプレイヤーの好みになるだろう。私は必ずしも良しとは思わないが、悪しとも思わなかったし、ブランド2作目ということを勘案して甘めの採点を点けよう。ただし以下に気になった点、不満に思った点や齟齬を列挙する。
1、全体として
立ち絵や背景絵が間違っていると思われる箇所が数箇所散見される。例えば伊織ルートで部活の試合中に背景が急に教室になる箇所があった。
度々見られる誤字脱字。多少は仕方ないし、正確に計測はしていないが、体感としては他のゲームより多かった気がする。
セーブ数30はさすがに少な過ぎる。
また1部キャラ・CGで作画崩壊がある。
2、由貴ルート
更生プログラムを名目に演技力向上のために恋愛について学ぶことが彼女や周囲の人間の目的で、主人公はその相手役として抜擢されているという状態。仮想恋愛の相手である主人公と実際に恋愛関係になってしまう可能性・リスクは充分に考えられ、その場合の損害(アイドルとしての人気)について最初から考慮されるべきであろう。しかしそれらがあったようには見られない。クロノス社が世話をしているエピローグを見るに実際にはあったのかもしれないが、明確な描写がなく、どうにも腑に落ちない。
3、蛍ルート
蛍の父親の名前がよく間違えられている。
正しくは勝也である。しかし蛍に告白したあとの地の文(主人公の心の声)で達彦と表記されている。またエミーが勝彦と呼んでいる箇所がある(テキストでは勝也と正しい)。
蛍の白いワンピースを短めのスカートと表現しているテキストがあるがとてもそうは見えない。CGを見ても丈は膝くらいまでありそうだ。また動くたびに胸元から鎖骨が覗く、とあるがどう見ても鎖骨は常に見えている。
納屋に逃げるシーンで妙な文章が表示された。プログラムだろうか?
蛍エロシーン2回目において、主人公は上半身裸でトランクス1枚の筈なのにCGだとシャツ着ている。
4、伊織ルート
休業中のはずの由貴が朝ドラに出演している。休業中であると公に宣言している状態では、仮に撮影だけであっても可笑しいし、ましてやそれが放送される等、ありえないだろう。
伊織エロシーン4回目に
『健太「ユニフォームの伊織とえっちできるって思っただけで、元気になっちゃったんだよ・・・・・・」伊織がラクロス部に入ると決めた時からの願望がようやく成就する』
とある。しかしエロシーン2回目で既にラクロス部のユニフォーム姿でセックスをしている。
伊織ルートには唯一エピローグがない。何かしら意味があるなら構わないが、残念ながらそのような深い意味があるようには見受けられない。端的に言えば構成ミスである。
設定上、伊織(トリスタン)は洞察力に優れ、初心者にも優しい男前で面倒見のいい性格をしているとある。それなのに恋愛SLG攻略でトンチンカンな回答ばかりするというのは妙であろう。
5、エミールート
正直、このヒロイン必要だったか?プログラムのナビゲーターとして登場すれば充分に感じるし、プログラムにナビゲーターが必要だったかすら疑問を感じるレベルである。
存在そのものがかなり不条理で、実体化しちゃったんだから仕方ないとゴリ押しで押し切ろうとしている。
そしてシナリオの超展開ぶりには着いて行けない。四神を見たことでテンション上がって暴走する主人公も腹パンかましたくなるくらいイライラした。
6、最後に
本作のサブタイトルは「リアルな世界で僕が君にできること」である。前作のタイトルは「貧は僕らの福の神」である。しかし、いずれの主人公も一人称は‘俺’である。ちゃんと考えてタイトル付けているのか不安になってしまう。