ErogameScape -エロゲー批評空間-

broadsnowさんのアオリオの長文感想

ユーザー
broadsnow
ゲーム
アオリオ
ブランド
ad:lib
得点
55
参照数
2337

一言コメント

性春はズポズポしたって問題ない!

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想



前作「ボクラはピアチェーレ」の良いところを削り、悪いところを増量して出来たような印象。

もともと桐谷華目当てで購入し、その要求にはある程度は応えてくれた。この点は感謝しているし評価もする。そのため、あまり酷評したくはないのだが、それでも言いたいことがある。

一言感想の元ネタは本作のキャッチフレーズ「青春はジタバタしたって問題ない」である。そして本作のジャンルは文化体育会系青春ラブコメADVである。しかしながら本作では青春と呼べるようなものを感じなかった。

演劇部は1度しか演劇を披露しない。この点は前作の軽音楽部も同じであるが、それでも前作はその1度の学園祭のステージが印象に残るものであり青春らしさがするものだった。

またヒロインと結ばれる流れも唐突で脈絡がない。前作においても多少の唐突さは否めないが、それでも仲良くなり交流して心通わせる描写があった(琴子ルート除く)。本作では、何故ここで告白するのだとか、何故そこで告白を受け入れるのだとか、何だこの流れとか、違和感というか話の流れについて行けない疎外感を味わった。特に真紀は主人公以外の男に惚れているという、ゲーム開始時点で主人公への好感度がマックスなエロゲーが主流である昨今では非常に珍しい設定をしており期待させられたというのに・・・・・・

そして感情の描写が余りにも足りておらず、本作にとって重要なピースである青春の1部たる主人公とヒロインの恋愛模様と云うものの印象が薄い。ファーストキスの話は軽やかにスキップされ、デートシーンなども内容やその描写に乏しくHシーンの前フリ程度の意味合いしか持っていない。そのため結局Hシーンしか印象に残らない。つまり恋人と云う青春的な関係ではなく、セックスフレンドやプレイメイトのような体のみのドロドロとした関係のような印象を抱く。

そしてこのHシーンでは前作でもあった悪ノリが依然として健在である。例えば某ヒロインにクンニするシーンで、
『ザラリとした内側を攻めながら、呼吸すら忘れて股間に吸い付く。
気分としては、ラーメンの汁を啜っている感じだった。
味はもちろん、塩ラーメンだ』
とあった。正直気持ち悪い。もっと勢い良く逸脱していれば笑えるかもしれないが、どうにも中途半端である。

主人公も前作の主人公と比較すると劣っており、見せ場も大して存在しない。本作の主人公の1番の見せ場は、分岐直前の妹との遣り取りのシーンである。あのような言葉が出てくるポテンシャルを秘めながら、各ルートの展開は勿体無いにも程がある。由佳ルートでは多少の活躍を見せるが、セックスへの衝動がそれを上回るマイナス要素となっている。

統括すれば、青春を標榜してはいるものの青春と呼べる内容が明確に不足しており、Hシーン程度しか印象に残らない。