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broadsnowさんのSignal Heartの長文感想

ユーザー
broadsnow
ゲーム
Signal Heart
ブランド
Purple software
得点
78
参照数
1093

一言コメント

紫の作品でワゴン品、どーせクソゲーだろと思ってプレイ。あれ?面白いぞ?

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

選択肢がキャラ選択1回だけという思い切った構成。私は非常にわかりやすくて良かったと思う。


1、主人公・はじめについて
はじめは非常に冷静で、かつ、他人を思い遣ることができる。女子寮に入ることに嫌悪感を顕にする渚に対しても普通の反応であるとして根気強く説得することを努力し、渚が気に病まぬよう発言にも注意することができる。そして決めたことをやり遂げる意志を持っている好青年である。


2、各ヒロインについて
(1)渚
男嫌いということで、共通ルートから異様な程に突っかかって来る。POVにおいてもウザいキャラとして名前が挙げられている。確かにウザいと感じないとは言わないが、女子寮に男が入るという措置に対する反応としては当然だろうから、腸が煮えくり返るような腹立たしさは感じない。ただ瑛に対して過保護なので、瑛ルートでは少し苛つくかもしれない。シナリオは良作と言える出来だろう。人を好きなることと、弱さを克服して前に進む話。

(2)瑛
非常に良い子でありキャラ面はかなり良い。個別ルートにおいてははじめに全力で甘え、他ルートにおいてははじめとヒロインの恋路を応援する健気な子である。
ただシナリオは正直本作では一番悪いだろうか。しかし悪いと言っても展開が可笑しいとか、言動が不愉快という類はなくあくまで個人的印象に基づく相対的な話である。単に瑛とのイチャイチャバカップルを楽しみたいなら何ら問題のあるシナリオではない。

(3)智沙
剣の「一緒にいてあげたい」という発言はなかなかに的を射ている。寮長であり先輩であり誰よりも大人の振る舞いをしながら、誰よりも幼い子供である。同性との友情を信じることはできても、異性との友情・愛情を信じることができない。けれどもその愛情に飢えている。
そんな智沙の孤独に気づき恋をしたはじめは智沙に真っ直ぐにぶつかって行く。何度智沙に拒絶されても真っ直ぐにぶつかって行く。智沙が告白を受け入れはじめに甘えてしまうシーンは印象的。ただ学園祭のあのCGはちょっと・・・・・・親父さんがマトモな職に就いている人に見えない。その頃流行っていたちょい悪オヤジを意識したのか?

(4)ここね
同学年でありながらとても子供っぽい。しかし個別ルートでははじめに気を引きたくて一生懸命料理の練習をしたり、掃除をしたりと純粋ゆえのパワーを見せてくれる。
当初はイタズラをしたり見栄を張ったり占いに一喜一憂したりと幼い彼女が、本気ではじめに恋をして成長する。そして誰よりも愛する姉達から姉離れする。



3、統括
キャラ満足度
瑛>智沙=ここね>渚
シナリオ満足度
智沙>ここね=渚>瑛
トータルの満足度
智沙>ここね>渚>瑛

減点対象としては、ルート間での大きな齟齬が存在する点はもちろんのことルート内でも齟齬が存在する点。
ルート間齟齬は学園祭の喫茶店の開催に関してやキャラクターの性格などである。複数人ライターを起用するとしばしばあることである。
ルート内齟齬は特にエロシーン関連が可笑しかった。前日にセックスしていたはずなのに「久しぶり」と言っていたり、別の場所でセックスして着替えてからはじめの部屋で寝たはずなのに翌日裸だったり、と妙な齟齬がある。