欧米SLGゲーマーなんて少しもうらやましくない、と思える国産SLGの傑作
・日本人に産まれたアドバンテージ
Paradox社とか、海外メーカー作品の充実ぶりを見ていると、
欧米のPCゲーマーがうらやましくなるコトがある。
けれど、SLGでかわいい女の子も出てきたらいいな、
という願望をたとえ欧米人が抱いたとしても、絶対にその願望は成就しない。
彼らには、女性というのもはばかられるポリゴン婆が出てくるようなゲームしか選択肢がない。
日本と欧米、SLG派PCゲーマーとして産まれるならどちらがいいか、と2択で迫られればかなり悩ましい。
けれど、アリスソフトの存在、そして、『戦国ランス』の存在で、「うーん、やっぱり日本かな」と思える。
かわいい女の子が出てくるだけでなく、確かなゲーム性もあるこの作品の持つ価値は、とてつもなく高い。
・物語
「ランスシリーズはよく知らない」という人でも問題ないと思う。
自分は『鬼畜王』はプレイしていたけど、それによって物語の理解が深まったか、というと甚だ疑問。
深い設定はあっても、表面に出てくるストーリーはめちゃくちゃアバウトなのがランスの良さだと思う。
むしろ、日本史に造詣が深いほうがこの作品をより楽しめる気がする。
造詣というか、「家康はタヌキで、秀吉はサル」とか、「伊達政宗は独眼竜」とか、そんな雑学知識。
そういった雑学的日本史がアリスソフトの手でアレンジされると、ここまで面白くなるのか、と思う。
ダークな話もあるけれど、
それによってプレイヤーは自分がプレイしているのが間違いなくエロゲなのだと気付かされる。
「いや~、戦国ランス、面白いよ~」とか、電車の中で声高に話すような作品ではないことに気付く。
これは人によるだろうけれど、そういうアングラ性で守られる物があるのだと自分は思う。
18以下には絶対やらせるな、という強固な意志表示をシーンとして出すことで、
18以上の世界を守っているのだと思う。
・ゲーム性
国盗りSLGが抱える問題に「領地が増えれば増えるほど、飽きてくる」という物がある。
国内統一のメドが立つと、もう満たされてしまう。
『戦国ランス』では、基本的にそういった「全国を統一する」という遊び方にならない。
ほとんどのルートは、仲間を増やすために領地を広げ、ある程度広がったところで物語が始まる。
攻略ヒロインの物語を進めるための戦闘が始まって、それをクリアすればエンディングになる。
だから、統一のメドが立って飽きるも何もない。
勿論、ちゃんと天下統一な遊び方も用意されている。
ある程度周回した後に選択できる「猿殺しルート」で、全国統一という遊び方もできる。
内政要素、外交要素がほぼないけど、底が浅いというよりは、わずらわしくない。
周回を前提とした数本の物語を用意している以上、これは正しいと思う。
・最後に
SLGゲーマーとして、謙信登場シーンのインパクトは、もう異常と言っていい。
欧米ゲーマーにやってもらって、どんな反応をするのかすごく見てみたい。
「WAOOOOOOO!」とか、そんな感じになる気がする。
歴史小説好きとしては、徳川家登場のインパクトは、もう異常と言っていい。
ひねりあるド直球というか、そんな笑いが溢れていた。
SLGが嫌いな人、あるいは、エロゲはどうしてもイヤだという人を除いた、全ての人におススメの一本。