完成度の高いシステムを体験するだけでもプレイする価値あり。
まずはコンシューマでありながら、プレイする側への配慮が随所に見られる快適なシステムが目を引きます。アドベンチャーやノベルタイプのゲームはPCがメインで、コンシューマではあまりやらないのですが、今までプレイした中ではダントツで最高峰の出来です。バックログにクイックロードまで搭載していたのは驚きました。様々な細かい部分が実に私好みで、こうだったらいいのにと常々思っていたような挙動をしてくれるので軽い感動すら覚えました。コンシューマどころかPCのあらゆる同タイプのゲームにも全くひけを取らないかと思います。むしろこれを完全に凌駕していると感じたシステムはPCでさえ私は覚えがありません。
正直、このシステムで作られていたらどんな稚拙な作品でも低評価をつけることには抵抗を覚えるでしょう。もっとも、この作品にそんな心配は失礼というものですが。
私、エロゲー特有の主人公は顔とボイスが無くさらにほぼ無個性(もしくは当り障りの無いテンプレート君)という一種のお約束が嫌いなんですよね。それがこの作品に関してはむしろ前面に押し出している。というより、荒川工さんの関わった作品というのは私の知る限り出まくっている(今回はメインライターではないですが)。キャラクター性を与えられ、主人公も本当の意味で物語に参加している。そんな作品が少ないので余計貴重に感じてしまいます。そのおかげか只の掛け合いがここまで楽しい作品はそうないです。
笑い、バトル、感動がぎっしり詰まって、それでいてバランスの良い作品です。
ちなみに評価が100点なのは減点するようなネガティブな要素はないと判断したからです。頭を捻って思い浮かぶ欠点といえば刀子シナリオ(むしろ会長シナリオ)が良すぎて他が若干霞んでしまう事位ですかね。