不思議と引き込まれる魅力ある文章に、宗教の歴史や言語学が組み合わさった非常に珍しい作品。システムは難ありだがそれを気にさせない程に面白い作品でした。
・シナリオ
プレイ時間は11時間と短いが、頭を使わなければ理解できない類の難しい作品だったので体感では丁度良いと感じた。
難解な物語なので一度読んだだけでは理解しきれない可能性が高い。
今感想を書いている私自身、本作品を十全に理解出来ているとは到底思えない。
流石はインテリゲーと称されるだけの事はある。
文章は無駄の無い必要最低限の構成となっており、素晴らしく読みやすい文章となっている。
特別面白い文章という訳ではないにも関わらず、何故か惹かれる物を強く感じる不思議な文章でした。
物語のテンポも速いので、この独特な文章とも相まって退屈に感じられる場面は皆無でした。
一言感想でも述べたが、宗教関係や言語学といったエロゲーでは非常に珍しいものが物語と密接に関わってくる点も面白かった。
過去にも科学やSFを題材にした作品等は経験しているが、言語学というのは初めてだったので新鮮でもあり、これまでに無い全く新しい知識を得ることが出来たというのも素晴らしい。
特に言語学はイベントCGで丁寧に解説されていたので頭に入ってきやすい。
お世辞にもお頭の出来が良いとは言えない私ですら躓く事無く理解できたので、日本語に馴染みの薄い方でもない限り苦労する事はないでしょう。
メインヒロインは4名となっており、それぞれに異なった魅力がある。
絵柄は癖が強く万人受けするものではないが、内面や言動は非常に魅力的に感じられる可能性が高い。
推奨攻略順は特に無いが、攻略難易度が非常に高いので攻略サイトを見ながら進めることを強くお勧めします。
一日の終わりには必ず明日の時間割を選択する方式となっており、どの時間にどの教科を選択するかで発生するイベントが変化する。
これには学園生活であるということを強く意識させる良い面もあるが、それによって攻略難易度が高くなってしまっている点や別のヒロインを攻略するために周回する際の手間になるといった悪い面も併せ持っている。
幸いにも矢印キーとEnterキーのみで処理出来るのでまだ良かったが、その機能が無ければ非常に煩雑に感じられる箇所となっていたでしょう。
自らが時間割を選択するという仕様からか、実際に物語内で授業を受ける際にはその時間の教科が特殊演出で表示されるのだが、この演出が良い味を出していた。
時間割が明確に存在し、その通りに推移してゆく時間の流れを演出で視覚化しているのは斬新で面白い。
学園生活であるということを強く意識させる良い手法だと感じた。
この演出画面がどことなく教科書を想起させるデザインとなっているのも、それを実感させる良い一助となっている。
結末はかなり特殊な形となっている。
物語を理解出来ているかどうかが試される場とも言える。
読む側へ解りやすく伝えようといった配慮は欠片も無く、むしろ考える事こそを楽しめと言わんばかりの締め方となっている。
私はそういった作品のほうが好みなので良い終わり方だと感じたが、そうでない方には消化不良を感じさせる物となる可能性が高い。
そういった意味でも癖の強い作品となっているので、人を選ぶ作品とも言えるかもしれません。
また地味に驚いたのが、これほどまでに古い作品であるにも関わらず未だに公式サイトが現存しているという点でした。
ブランドそのものも本作品一本を製作しただけで解散している事を加味すると、非常に珍しいケースと言える。
・音楽
お気に入りの音楽
・Summon
・システム
古い作品である事を加味したとしても相当に酷い。
流石にバグの塊であった「カラフルBOX」よりはマシではあるが、そもそもバグが発生しようがないと思えるほどに機能が少ない。
バックログは存在せずBGMや効果音はon/offしか選択することは出来ない。
既読判定も存在しない為、当たり前の様にスキップやオートといった機能も存在しない。
セーブも一日の終わりにしかする事が出来ず、当然の如くエンディングをスキップすることも出来ない。
音声が付いていないのはこの時代では仕方ないとは思うが、それにしても酷い。
対応OSがwindows95/98のみでありながらwindows7 64bit版でも問題なく動作する点だけが評価できる。
古い作品を無理矢理動かしている関係でcpu使用率が無駄に高くなってしまうといった欠点も存在する。
これは「家族計画」等の作品と全く同じ症状であり、マルチコアである場合はコア数やクロックに関わらずコア1のみがフル稼動してしまうというものとなっている。
夏場であれば温度が跳ね上がりPCに負担を強いる厄介な代物だが、フリーツールである"SleepHook"を使用することで回避することが可能となっている。
使用方法はRenaissanceショートカットのリンク先をSleepHook.exeへ変更するか、ランチャーを使用している場合はSleepHook.exeをランチャーに登録しパラメータにrena.exeを指定するだけの簡単な作業で済む。
2023年12月19日追記
具体的な使い方を記す。
ショートカットを使用する場合はショートカットの使用先を下記のように記す。
D:\tool\SleepHook.1.1.0\SleepHook.exe "F:\game\Renaissance\rena.exe"
ランチャーを使用する場合は下記の様に記す。
なおこれは"CLaunch"というツールでの設定方法となる。
ファイル名 D:\tool\SleepHook.1.1.0\SleepHook.exe
パラメータ F:\game\Renaissance\rena.exe
作業フォルダ D:\tool\SleepHook.1.1.0
いうまでもありませんが、上記の例はあくまでも私の環境での指定先である為、SleepHookとRenaissanceの保存場所は適宜変更してください。
解像度も恐ろしく小さいので"SandBurst"で拡大しています。
Renaissance側の全画面化機能はアプリを拡大するのではなくディスプレイ側の解像度を最小とすることで拡大する仕様なので、使えないことは無いが他の全ての窓が小さくなってしまうというデメリットの方が大きい。
2023年12月19日追記
"SandBurst"よりも高性能な"Magpie"というツールを見つけたので、こちらを推奨します。
使い方は説明するまでもなく簡単なので省く。
・総評
やはりなんといっても本作品の最大の魅力は言語学を扱っている点となるのでしょうが、個人的にはそれ以外にも会話文の秀逸さを評価しています。
この評価には古い作品ながらもといったフィルターは掛かっていない純粋な評価です。
その会話文によって好感の持てる主人公が出来上がっており、ヒロインも魅力溢れるものとなっている。
シナリオゲーが好きな方ならば迷わず購入されることを強くお勧めします。