驚くほどに短いにもかかわらず内容が詰まっている良い作品でした。シナリオもさることながらBGMも素晴らしい。またこのシリーズは作品数が多く、どれを購入すればよいのかわかりにくいところがある為、その辺の解説も長文感想の冒頭に記しておきます。
これは本作品を単品で購入したのではなく、Steam版「Narcissu 10th Anniversary Anthology Project」の本作品のみをプレイした状態での感想です。
・シリーズ構成
narcissuシリーズの作品はいくつか存在するが、大別すると「narcissu 3rd」とSteam版「Narcissu 10th Anniversary Anthology Project」の2つに分けられるため以下に違いを記す。
作品一覧
・narcissu
・narcissu -SIDE 2nd-
・死神の花嫁
(「narcissu 3rd」にのみ収録)
・-Ci-シーラスの高さへ
(「narcissu 3rd」にのみ収録)
・メサイア
(「narcissu 3rd」にのみ収録)
・小さなイリス
・姫子エピローグ
・1980
(Steam版の「姫子エピローグ」の”ATOGAKI”にのみ収録)
・1993
(「narcissu 3rd」では”Product”に、Steam版は「小さなイリス」の”ATOGAKI”に収録)
・ゼロ
・スミレ
特に注釈の無いものはどちらからでも入手可能だが、同梱されているという意味ではなく、別途購入する必要有り。
基本的にはSteam版「Narcissu 10th Anniversary Anthology Project」を購入する事でほぼ入手可能となっているが、「死神の花嫁」~「メサイア」までは「narcissu 3rd」にしか収録されていない。
作者が異なることから今後もDLCとして追加される可能性は低い。
入手難度からも「Narcissu 10th Anniversary Anthology Project」の購入をお勧めするが、この「死神の花嫁」と「メサイア」の出来は非常に素晴らしいものがある為、Steam版を購入して良い作品だと感じたのであれば、追加で「narcissu 3rd」を購入されることを強くお勧め致します。
・シナリオ
プレイ時間は2時間と非常に短いが、内容が詰まっている。
またシナリオの声質上、短い事にも意味を持たせることが出来ている稀有な作品と言えるでしょう。
テキストは読み易く、短い事からテンポも非常に良い。
エンディングも心に迫るものがあり、読後の余韻に独特なものがある。
記憶に強く残る類のものと言えるでしょう。
読み終えるとすぐに内容がうろ覚えとなってしまうような鳥頭である私であっても、この終わり方だけは忘れる事はないでしょう。
・音楽
残念ながら音楽鑑賞機能は存在しない為、OSTの曲名を記す。
お気に入りのBGM
・週末の過ごし方
・ナルキッソス-inst2-
・120円の冬より
・ナルキッソス-inst-
・システム
古いシステムであるため粗は当然ながら多い。
全画面化はデフォルトではディスプレイ側の解像度を変更する類のものとなっているので、設定を変更する事をお勧めする。
変更手順は、画面上部の”画面設定”をクリックし、”スクリーン詳細設定”を開く。
出てきた小窓の解像度を自身のディスプレイのものに合わせ、”全画面時に拡大する”にチェックを付ける流れとなる。
マスター音量管理機能も当然のことながら存在しないため、OS側の音量ミキサーで全体音量を下げた後に、本作品側のサウンド設定で音楽や効果音を適宜調整する事をお勧めする。
また音声も次の台詞まで継続するような機能は存在しない。
古い作品にしては珍しく、フォントサイズが小さめとなっている。
全画面化時にディスプレイ側の解像度を変更しない形としている場合、少々文字が小さい為苦労させられる可能性が高い。
一応はフォントの設定を変更する事が可能となっているが、選択肢は非常に少なく、太字にするような機能すらついていない。
参考までに私の行った設定を記しておく。
フォント HGゴシックE
唯一評価出来たのはマウスホイールによる改行が可能な点ぐらいか。
・総評
シナリオと音楽の双方が非常に良くできており、短い事にも意味を持たせている良い作品でした。
エンディングには一見の価値ありなので是非ともプレイされることをお勧め致します。