初めはまだ続くのかと悪い意味で驚いたが、思いのほか悪くない出来のFDでした。ただ流石にそろそろ完全新作に着手して頂きたい。
・シナリオ
プレイ時間は12時間と控え目。
シナリオは完全にIFの展開となっており、革命で描かれていた流れの大部分は無かったこととされている。
よってありえたかもしれないIFとして楽しむことをお勧めします。
文章は可もなく不可もなく。
内容もFDらしい物から戦闘場面が連続するような物まで用意されている点は評価しています。
作品の雰囲気は健在であり、予想に反して退屈に感じられる個所はほとんどありませんでした。
過去の恋姫シリーズを問題なくプレイされてきた方であれば楽しむことが出来るでしょう。
呉のメインとされる人物を中心に掘り下げが行われており、サブに関してはおまけ程度の濡れ場のみ用意されている。
大枠では革命の流れや登場人物を汲みつつ、方向性では英雄譚のようなIFに終始していると言えるでしょう。
・声
1名のみ何のアナウンスもなく声優が変更されていたのには驚かされた。
変更されていたのは陳宮となるが、これが元の声質とは似ても似つかない真逆の声質の方へ変更されてしまっている為、違和感の塊となってしまっている。
本作で最も評価を落としている項目と言えるでしょう。
元々陳宮自体これが2度目の変更となるが、2代目の方が何故出演を断ったのか、この点からして納得のいくものではない。
以前のように長期間の空白等の致し方ない事情であれば理解もできようが、今回のような数年で出演不可となってしまうようでは目も当てられない。
狛江うにこは事務所を退所しフリーとなっているようだが、一度担当された役に責任を持てないのであれば、プロ意識に欠けていると言わざるを得ないでしょう。
陳宮の声優変遷は以下となる。
椿丸子々々→狛江うにこ→大花どん
何故声質の全く異なる大花どんへ変更となったのかと疑問に思われる方も多いだろうが、これは現在制作中の「戦国†恋姫EX」が大きく関係していると思われる。
声優は可能な限り共通していた方が何かと工面しやすいという理由から選ばれたのだろうが、その中でも何故大花どんが選ばれたのか、という点に関して些かならずも疑問が残る。
どちらにせよ、大花どんそのものの声質は素晴らしいが、先任の役柄と全く合っていないという点は致命的としか言いようがない。
過去の声優変更では問題のない水準を維持してきていただけに残念です。
その他の配役は問題無し。
思いのほか登場する声優の数が多く、このFD単体で収録しているとは思えない程の人数となっている。
これも戦国や後続のFDの収録も纏めていたりするからこそ可能な芸当と言えるだろうが、陳宮の問題を鑑みるにそれも良し悪しか。
・音楽
新規楽曲はOPの”GO-ON”のみ。
よってお気に入りの音楽については過去作品を参照願います。
・システム
システム面での進歩は残念ながら一切見られないどころか、一部では悪化している。
元々難のあったフォントサイズが更に小さくなってしまっている。
以前のようにHGゴシックへ変更しても効果が見られず、デフォルトのメイリオを太字にした方がまだ見やすい始末であったため、今回はメイリオを太字へ変更とした。
それにしてもこれでは読みづらくて仕方がない。
ムービー音量も全体音量を変更する以外に変更するすべは用意されていない。
個別に音量変更可能なシステムを望む。
・総評
これまでの恋姫作品をプレイされてきた方ならば購入して損は無いでしょう。
内容は平均かやや上辺りの特にこれといった光る物のないFDではあるが、安定だけはしている。
ただし声優の変更のみ致命的なまでに合っていないので、その点は覚悟しておいた方がよいでしょう。