革命シリーズの中では最も出来が酷い。リメイク元でも唯一酷評されていたルートだけに革命でどう変わるのか期待していたが、むしろ悪化してしまっている印象さえある。 念の為こちらの感想にもシリーズ解説やお勧めのプレイ順等も長文感想にて記しておきます。
・シリーズ解説
コンシューマ版である恋姫†夢想については18禁要素を廃しただけでほぼ違いがないので説明は割愛します。
「恋姫†無双 ~ドキッ☆乙女だらけの三国志演義~」
最初に発売された作品なので無印と呼称されることが多い。
本文でも以降の呼称は無印とします。
蜀が主体となる物語一本のみで構成されており、劉備の位置に主人公が存在するためリメイク版やアニメに登場する劉備は登場しない。
今更これをプレイする必要性は薄いが、この後に発売されるリメイク版の蜀ルートは酷い出来なので、蜀ルートのみを考えればこちらの方が良いかもしれません。
「真・恋姫†無双 ~乙女繚乱☆三国志演義~」
恋姫†無双のリメイク作品。
前作と比較すると登場人物やシナリオに大幅な修正が加わっておりシリーズの中では最も評価の高い作品。
一般的に恋姫とはこの作品を指す場合が多い。
最も大きな変更点は魏と呉のルート追加であり、蜀ルートも劉備追加のみならず内容そのものも大幅な変更が加えられている。
劉備が存在する為、当然の如く主人公の立ち位置も変更されている。
古い作品ですがWindows10でも何故か動作するようなので、その点を気にする必要はありません。
またWindows8対応パッチも公開されており、プレイされる際は念のため事前に適応される事をお勧めします。
シリーズ全体を通してもこの作品をまず最初にプレイすることをお勧めするが、無印には挿入歌として収録されている"久遠 ~詩歌侘~"という名曲が真・恋姫†無双では未使用となっている点のみ非常に残念です。
その代わり"あさきゆめみし"というこれまた名曲が新規収録されているので一概にどちらが優れているとも言えないのですが、この点だけは留意されたい。
またED曲についても無印で使用された"志在千里 ~恋姫喚作百花王~"のPiano Arrange版のみとなっている。
個人的には無印版のほうが曲としては好きなので残念な所。
もし"真・恋姫†無双"の収録曲に少しでも光る部分を感じたのなら、"久遠 ~詩歌侘~"と"志在千里 ~恋姫喚作百花王~"は是非一度聴いてみる事をお勧めします。
どちらも「茶太 Works Best」に収録されておりAmazonにて視聴することも可能なので、その上で判断されると良いかと思われます。
「真・恋姫†無双~萌将伝~」
真・恋姫†無双のファンディスク。
萌小伝と揶揄されるほどに炎上した作品。
炎上のきっかけそのものも酷いが、その後のメーカーの対応が輪をかけて酷い。
この件で私自身も最近までBaseSonを忌避していた。
挿入歌の夢笑顔だけは素晴らしいので、改めて曲は素晴らしいブランドなのだなと再認識した作品でもある。
「真・恋姫†英雄譚」
発売順とは異なるが、後に発売される真・恋姫†夢想 -革命-のファンディスクのような内容。
購入するならば追加シナリオが収録されている真・恋姫†英雄譚 123+PLUS ~乙女艶乱☆三国志演義~をお勧めします。
「真・恋姫†夢想 -革命-」
真・恋姫†無双のリメイク。
解像度が1280x720に変更され、新規武将や既存武将の個別シナリオの追加が行われている。
またメインシナリオについては完全に一から書き直されているのでリメイク元と共通している部分は個別パートのみとなる。
リメイク元とは違い三国それぞれが別売りの計3作品となっている。
音声も全て新規録り下ろし。
ただし音声はリメイク元の作品と比べると声優交代や声の劣化が見られる等の問題点があるので、この辺りに拘りがあるのなら真・恋姫†無双を選んだほうが無難かもしれません。
私個人の意見としては交代となっている声優についても驚くほどに違和感がなく、この難しい問題に対して最大限の配慮がされていると感じた。むしろより好みの声質の方に交代となっている例もあるほど。
特に新たに夏侯淵役を務める事となったあじ秋刀魚さんには驚かされた。
元々落ち着いた演技でこそ映える声質だとは思っていたが、まさかこれほどまでに違和感無く仕上げてくるとは。
役柄に合った変更も重要だが、前任の如月葵さんの独特な雰囲気とでも呼ぶべきものまで完璧に再現されているのはこの方だけでした。
余談ですが革命の3作品が一纏めとなったセット品として販売される可能性はないと公式が明言していますので、英雄譚のようにセット品を待つ必要はありません。
確認出来ている声優変更点一覧
郭嘉役 山崎波子 → 橘まお 18禁声優のみ廃業
李典役 水鏡 → 春乃いろは 18禁声優のみ廃業
夏侯淵役 如月葵 → あじ秋刀魚 廃業
諸葛亮役 楠鈴音 → 葉月風子 役柄にそぐわなくなったという本人の意向により交代
陳宮役 椿丸子々々 → 狛江うにこ 18禁声優のみ廃業
ミケ役 西野みく → 藤森ゆき奈 → 一原わこ 廃業
声に違和感を感じた声優
曹操役 乃嶋架菜
典韋役 てんかわののみ
張梁役 桜野マヤ
張宝役 御苑生メイ
・解説まとめ
まず初めにプレイするならば「真・恋姫†無双」か「真・恋姫†夢想 -革命-」のどちらかとなるが、それぞれに良い点があるので一概にどちらが良いとは言えない。
シナリオの総量やクリックしても音声が中断されないといった点では革命が勝っているが、声質の劣化がなく三国一纏めとなっている為の値段の安さを考えると真・恋姫†無双に軍配が上がる。
この辺りをよく吟味した上で購入されると良いかと思われます。
最後に至極個人的な見解を述べるとするなら、最初にプレイするならば「真・恋姫†無双」をお勧めします。
その結果として恋姫を面白いと感じたなら、内容がうろ覚えとなってくる数年後に改めて革命を購入されるとより再度楽しむことが出来るのではと思います。
解説終わり
以下は通常通り「真・恋姫†夢想 -革命- 劉旗の大望」についての感想となります。
・シナリオ
プレイ時間は60時間となっており、革命の他2作品とほぼ同じ文章量となっている。
本作品ではついに個別シナリオの選択数制限が撤廃され周回を強いられることがなくなったので、制限解除用のセーブデータを調達する必要はない。
メインシナリオは孫呉の血脈と同様ほぼ一新されている。
褒めるべきところはこれだけとなっているので、以下は不満に感じた部分を書き連ねる。
まず攻略対象が倍増しているにも関わらず文章量は増えていないため全体的に掘り下げ不足で薄っぺらいと感じた。
参考までに調べたところ蒼天の覇王では15名、孫呉の血脈では16名となっているが劉旗の大望では31名と約二倍の数となっている。
元々この人数は無謀だと思っていたが、案の定というべきか予想通りの結果となっていた。
攻略対象のほとんどが抱き合わせとなっている関係で一人あたりの文章量が減少しており、愛着が沸く前に個別パートが終わってしまう。
無印からそのまま移植されている個別シナリオの存在する人物はまだマシなほうだが、それも他の革命では文章が増量されている点と比較するとやはり薄く感じられてしまう。
対象人数が多いにも拘らずそれぞれを個性豊かにしっかりと描いていたことが革命シリーズの大きな評価点となっていただけに、これは大きな減点要素と言わざるを得ない。
単純に薄くなっているだけではなく、重要な真名を許す場面や主人公をご主人様と呼ぶ契機となる場面も省かれてしまっており、どの様な関係性となっているのか理解が追いつかない事態となっている。
特にリメイク元では頼りなく空気と化していた劉備がしっかりとした存在感にある人物へと変貌を遂げた関係で、より主人公の存在価値が薄まってしまっており、名ばかりのご主人様という見るに堪えない代物となっている。
またメインシナリオと個別シナリオとで整合性が取られておらず、まだ登場していない筈の人物の名が個別シナリオで登場するなどの杜撰な箇所が目立つ。
馬岱に至ってはリメイク元と比較して胸部装甲が大幅増強されているにも関わらず、シナリオ上では貧乳扱いとなっており、根本的な部分での整合性すら取られていない。
主人公の立ち位置の曖昧さや劉備と存在が被ってしまっている等の根本的な問題を改善して欲しかったのだが、より存在感が薄まっただけという悲惨なものとなってしまっている。
それでいて主人公を持ち上げる人物だけは倍増しているので余計に滑稽さが際立つ。
これほどに薄っぺらく名ばかりのご主人様は見たことがない。
また蜀というルートの特性上仕方ないが、戦闘そのものが少ないため盛り上がりにも欠ける。
その影響で「反撃の狼煙」等の良いBGMが未使用となってしまっているのも残念です。
これは些細な問題ですが、これまでの革命では漢字の読み方はしっかりしていたので台本にルビが振られていると感じたが、今作品では読み間違いが幾つかあり、台本にルビが振られていないように感じられた。
そこまでの余裕が無かった?
例として述べると"他人事"という漢字があるが、革命の他二作品では正しい読みとして"ひとごと"と読まれていたのに対し今作品では"たにんごと"となっている等。
正直なところ、個別シナリオ選択回数の制限の撤廃以外に褒められる箇所が見当たらない残念な作品となってしまっている。
発売時期を遵守するあまりに様々な箇所で妥協の窺える作品となってしまっているようにも感じられた。
勿論延期の常態化しているこの業界では尊重すべき姿勢ではあるが、これ程の大作の締めを飾る作品であるならばそれ相応の品質を重視すべきだったのではないだろうか。
・戦闘パート
呂布が強過ぎるので攻略性等は皆無となっている。
呂布さえ編成していれば他の出陣編成や陣形は何でも良い。
戦闘中にも台詞があるので基本戦闘スキップは非推奨となっているが、呂布を編成している場合は手加減をしなければ台詞が発生する前に戦闘終了してしまう可能性が高いので注意されたい。
・音楽
無印、真・恋姫†無双、萌将伝の三作品のBGMがほぼ全て使用されているが総数は100曲となっており、他の革命に使用されている106曲と比較すると6曲少なくなっている。
新規楽曲と思われる曲(英雄譚にて使用されている可能性があるが、こちらは未プレイなので確認出来ず)
・故宮之風
・探路最善
・我叫君応(call and response!)
・碧空のシュトラーセ
・Bгavє Sφul -望-
未使用楽曲一覧
無印
・蒼天の向こうへ
・志在千里 -orgel Version-
・終
・久遠 〜詩歌侘〜
・Howling Soul
・蒼天 -ryo.s World-
・蒼天巳死 黄天当立
・江東の猛獣たち
・虚々実々
・勝ち鬨
・剣折れ矢尽き
真恋姫†無双
・大同団結
・戦いの挽歌
・PRIDE
・志在千里~恋姫喚作百花王~ PianoArrange
・抜刀せよ!
・名門の誇りと共に
・あさきゆめみし
・反撃の狼煙
・彼方の面影
萌将伝
・The (END )of KH†MS
・剣舞
・飛将軍呂奉先
・夢笑顔
・真紅の呂旗-The ONE-
・赫神楽
・隻眼剣鬼
・志在千里~恋姫喚作百花王~ last edition
お気に入りのBGM
・日々是和々
・永遠 -ryo.s World-
・休息戦士
・小覇王の雄叫び
・Soul
お気に入りの歌
・志在千里 ~喚作百花王~KAKUMEI ver
ゲーム内の楽曲夢想に存在する"Bгavє Sφul"と"Bгavє Sφul -望-"の違いは分かり難いが、"Bгavє Sφul"はフルの音源となっており"Bгavє Sφul -望-"はその半分のGame verとなっているだけなので題名が異なるだけの同じ曲となっている。
また「蒼天の覇王」の"Bгavє Sφul-蒼-"や「孫呉の血脈」の"Bгavє Sφul-炎-"はそれぞれ一部歌詞が異なっているのみで、これも基本同じ楽曲となっている。
・システム
初期設定フォントのメイリオでは文字が小さ過ぎたのでHGゴシックEに変更。
また台詞の緩急が激し過ぎるのか、個別音量設定で煩いと感じた人物の音量を下げると別の場面では台詞の音量が小さくなり過ぎたりと非常に調整に苦労した。
その逆の場合もあれば、そもそもの個別の音量が統一されていないので人物毎に調整する必要があり非常に苦労させられた。
なまじ登場人物が多いだけにこれは致命的ともいえる。
結局のところ場面毎に音量が変化する不思議設計に最後の最後まで設定画面を都度開く作業を強いられていました。
その他の必要とされる機能は全て揃っていただけに、音量問題が残念でならない。
・声
程普役の小鳥居夕花さんと魯粛役の卯衣さんの両名が鼻声となってしまっている。
収録時期的に仕方ないとは思うが残念。
また張勲役の御城作美さんの音質のみ悪く、音声が少し籠もっている様に感じられたのも残念。
・絵
CGや立ち絵に関しては皇甫嵩の新規立ち絵に違和感を感じた点以外は可もなく不可もなく。
背景はリメイク元と比較すると圧倒的に良くなっている。
・総評
革命シリーズの最後を飾る記念すべき作品が何故こうも酷いものとなってしまったのか。
ルート毎に分割して販売を開始した時点でこうなることは十分に予期できた筈だか、正に危惧していた通りとなってしまっている。
作品上で最も重要となる主人公が空気となってしまっており、また尺の関係か重要な出会いの場面までおざなりとなってしまっているので、全ての話が薄く味気ないものとなってしまっている。
ただただ残念でならない。
上記の理由により、本作品は相当に恋姫シリーズの好きな方以外にはお勧め出来ない作品となっています。