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boningenさんの祝姫の長文感想

ユーザー
boningen
ゲーム
祝姫
ブランド
EXNOA(DMM GAMES)
得点
90
参照数
434

一言コメント

ジャンルとしてはホラー・伝奇に該当するが、そのどちらも要素としては薄い。序盤は特に目立って良い部分はなく平凡な出来だが、中盤から終盤にかけては息もつかせぬ展開が続き、最後まで楽しませてくれる。OP主題歌である「ちとせつづり」が個人的には壷にはまったことも大きい。

長文感想

竜騎士07の作品は「Rewrite」のみプレイ済み。ひぐらしやうみねこは絵柄が合わず敬遠していた。
その上ブランドがDMMとあってはあまりにも不安要素が強く、さらに前評判も芳しくなかったため回避していた作品。
その後の評価を見ると意外と高評価となっていたため購入してみたが、評判通りの良い出来でした。
唯一プレイした「Rewrite」と比較すると「祝姫」のほうが個人的には高評価。
「Rewrite」も悪くはないが、読了感では圧倒的に「祝姫」が勝る。


シナリオ総量は長めに感じたが、プレイ時間は16時間と短い。
これは内容が冗長であった訳ではなく、見せ方が良かったからだと思われる。良い意味で予想外な展開が続く。

惜しむらくは年齢制限のない作品という部分か。
このためホラー・伝奇に付き物のグロ描写が一切見受けられない。
文章での描写は多少あるが、CGでのそういった描写は一切ないので、そういった部分を期待していると酷い肩透かしを食うことになる。

一言コメントにも述べているが、序盤の出来は芳しくない。これは恐らく体験版の部分に該当すると思われるので、体験版をプレイしたとしても作品の指標には何一つならない可能性が高いので注意。


何故新規シナリオとCGの存在するPS4版を購入しなかったのか。
これについてはOPが変更となっていたのが最大の理由といえる。
これ程までに作品の雰囲気を良く表している「ちとせつづり」を何故変更してしまったのか理解に苦しむと同時に非常に残念に思う。
高々OP一つで新規シナリオとCGに釣り合うのかと疑問に思うかもしれないが、本作品のOPは一つの章を終える度に再生される仕様となっており、通常の作品と違い耳にする機会が非常に多いのだ。
それぞれの楽曲はyoutubeにて視聴することが出来るので購入前に是非聴き比べて貰いたい。
その上で気に入ったほうを購入するといいだろう。
「ちとせつづり」についての具体的な感想は下記の別項目にて記す。


音楽についてはBGMは平均的だが、先にも述べたように主題歌の出来が素晴らしい。
決して歌唱力がある訳ではない。むしろ歌唱力では挿入歌である「君笑みの華」に大きく劣る。
では何故主題歌に惹かれるのかと聴かれると唯の趣味嗜好としか言い様がないのだが、どことなく懐かしさを覚えるからかもしれない。
何故か「とちせつづり」を初めて聴いたとき、「鬼うた」の「ココロノカタチ」や「ハジマリノトキ」を思い出した。
どちらも未だに聴きたくなるほどに思い入れの深い歌だ。

お気に入りBGMは強いて上げるならば「That's a good thing!」ぐらいか。


ブラフィックや背景については良く出来ている。
流石と言うべきか、登場人物の女性はどれも美しく描かれている。
一部CGにて表情に違和感を感じたりもするが、難しい表情でもあるのでその部分については及第点か。
背景はガードレールの錆等が違和感なく描かれており、意外とよく出来ている。


システムについては必要最低限といった所ところか。
全画面は問題なくAlt+Enterで行え、解像度の変更もない。強制で最前面になることもない。
ただし次の音声まで再生を続ける機能はない。昨今のゲームでは標準搭載されている機能なので残念。
また登場人物ごとの個別音量を変更をすることも出来ない。
ウインドウの透明度を変更することさえ出来ないので本当に最低限の機能と言えるかも知れない。



総評としては十二分に良作といえる素晴らしい作品でした。
伝奇にありがちなグロ描写も控えめなのでそういった事に耐性のない方や初心者にもお勧めすることができる。