本体では描かれていない空白期間を補完する作品ですが、空白期間そのものの展開はあまり良くない。それ以外の山吉新八郎ルート等の外伝の出来は素晴らしい。
こちらも本体同様に再プレイ。
・シナリオ
文章量は20時間とFDとしては十分な量。
内容そのものは本体で描かれなかった新撰組と敵対する空白期間が主となっているが、肝心な新撰組に対する扱いがかなり酷いので、新撰組が好きという方は回避したほうがいいかと思われる。
歴史のずれ云々はともかく、新撰組が忠臣蔵に強い影響を受けているという意味においては今回の新撰組との絡みは正解ではあるのですが、あまりにも新撰組の扱いが雑に過ぎる。
単純な悪役として使い捨てられてしまっているように感じられた。
この後に発売された「幕末尽忠報国烈士伝 -MIBURO-」でそれを挽回しようとした痕跡は窺えるのですが、あまり上手くいっているようには見受けられない。
感想は投稿していないだけで勿論「幕末尽忠報国烈士伝 -MIBURO-」もプレイしていますが、当時も「ChuSinGura46+1」で植えつけられた悪い印象が拭えず、あまり楽しむことは出来ませんでした。
結末も後味の悪いものとなっていたので殊更そう感じられた。
あのような中途半端な結末を迎えた背景にはやはり、純粋に「ChuSinGura46+1 -忠臣蔵46+1-」と比較されたくなかったという思いや、「武士の鼓動」での悪印象を返上したかったといった思いがあったのでしょう。
あくまでも予想なので的外れな考察である可能性が高いですが、どちらにせよ一作品として失敗してしまっている事は間違いない。
複雑な要因に囚われず、ただ良い作品を作ることだけに注力して欲しかった。
話が脱線してしまっているので本筋へ戻します。
色々と書いてきましたが正直なところ、新撰組との関連性の為だけに幕末へと移動するのではなく、当初の予定通り現代へ全員移動し一騒動起こすだけで良かったのでは、という思いが強いからこそ色々と不満点が出てきているだけのようにも思える。
ただこれは本作品のみの問題ではなく、前述した「幕末尽忠報国烈士伝 -MIBURO-」にも悪影響を及ぼしている問題でもあるので、より強く残念に感じられてならない。
ただ残念な点ばかりという訳でもなく、その他に収録されている外伝の2本はよく出来ている。
特に山吉新八郎ルートは素晴らしい。
・音楽
BGM全25曲のうち新曲は2曲。
歌は3曲とも新曲。
曲の出来は可もなく不可もなく。
・システム
前回と全く同じシステム。
一切改良されていない。
今回致命的だったのはEDムービーをスキップ出来ない点で、何度もほぼ同じEDムービーが再生されるのは苦痛でしかない。
そもそもの今作品の構成との相性が悪過ぎる。
物語の最後に誰を選択するかという10分程で読み終わる分岐しかないため、ほぼ連続してEDを見る羽目になる。
・総評
今回のように新撰組を貶し、安易に忠臣蔵を持ち上げる手法は手抜きだと感じた。
個人的には忠臣蔵と新撰組のどちらも好きなので残念です。
素晴らしい出来だった前作と同じ空気を味わうことだけは可能なのでその部分のみ満足しています。
前作での空白期間を補完する作品でもあるので可能であればプレイしたほうがよいでしょうが、新撰組に強い思い入れのある方は避けたほうが良いかもしれません。