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boningenさんの神採りアルケミーマイスターの長文感想

ユーザー
boningen
ゲーム
神採りアルケミーマイスター
ブランド
エウシュリー
得点
88
参照数
382

一言コメント

ゲーム性とシナリオが高水準で纏まっている評判通りの名作でした。難易度も丁度良いので戦闘面で詰まるという場面が無かったのは素晴らしい。唯一の欠点は全てのルートを回収するのに時間が掛かり過ぎる点ぐらいか。

長文感想


実は発売当初に一度プレイしているが、当時はあまり時間が無く、さらには他に魅力的な作品も多かった為ユエラルートのみクリアした段階で終えてしまっていた。
ここ最近魅力を感じる新作が無かった上に、無性にゲーム性のある作品をプレイしたくなったというのもあり、改めて全ルート回収を目指して一からやり直したというのが今回の経緯となります。

以下はアペンドである『特殊錬金ディスク』『ハンナさんの巡礼旅行記』『神採りアルケミーマイスターVer2.0』を全て実装済みでの感想となります。








・シナリオ

プレイ時間は114時間と圧倒的。
これは全てのルートに加え、サブのイベントやクエスト等の全てを回収した結果の時間となります。
体感としては文章を読んでいる時間よりも戦闘をしている時間のほうが遥かに長いように感じられたので、この時間の大半は戦闘時間によるものだと思われる。
この様に全てを回収するのであれば、相応の時間が掛かると覚悟しておいたほうが良いでしょう。
勿論最低限のメイン3ルートのみをクリアするに留めるのであればプレイ時間は大幅に短縮されるので、この時間だけで判断するのは性急に過ぎるという点にはご注意下さい。

物語は特別盛り上がるような胸の熱くなる展開はないが、全体を通して適度な起伏があり退屈に感じるようなことは無かった。
物語が進むにつれて順次仲間が増えてゆくのも良い。
謎や伏線に関しても全てのルートをクリアすれば全て解けるものとなっているのも素晴らしい。
推奨攻略順といったものも存在しないので、好きな順で攻略すると良いでしょう。
また戦女神等とは異なり陵辱要素は存在しない。

サブでの登場人物も多いが、しっかりと個別ストーリーが存在しているので空気になるということも無いのは良い。
加入状況によっては文章が変化する細かい演出も良い。

シナリオとは少し異なるが、残念に感じた点としては工房や部屋などへ家具などを設置できるのだが、種類の豊富さに反して設置できる数は非常に少ない。
また家具の向きを変更することも出来ないので見栄えを重視するとしても自由度は低い。

特に評価している点としては主人公の人格が挙げられる。
一見あまり深く物事を考えないおちゃらけた性格のように見えたが、実際には物事を深く考えており、周囲から掛けられる言葉の真意を理解し、又は寄せられる期待の意味を正しく理解する様等が随所に描かれている。
読み進めるにつれて好感を覚える種類の主人公でした。





・戦闘

今回最も評価している点。
モンスターとの戦闘は一回一回が短く、また一度のクリックだけで済むのでほぼストレスを感じることなく進められたのは素晴らしい。

戦闘システムは「姫狩りダンジョンマイスター」が基礎となっている。
詳細は公式サイトを閲覧したほうが早いのでここでの説明は割愛する。

難易度はそれほど高いものではなく、システムも単純明快なので属性にのみ留意しておけば良い。
mapもそれほど広いものは存在しないうえに一度訪れた場所はミニmapにて色が付くので解りやすい。
再訪問時には中間地点にある出撃門から別途仲間を出撃させることが出来るので素材集めに苦労することも少ない。

一部のmapには強敵が存在するが、周回を前提とした強さとなっているので初回で無理に倒す必要性は薄い。
仲間の数は最終的にはかなりのものとなるので、ボスを集団で殴るといったことも可能だが、多く出撃させ過ぎると1ターン毎の作業量が膨れ上がってしまうので注意。
また狭い通路などが多いので渋滞してしまうこともよくある。
最初はある程度絞った人数のみ出撃させ、分岐路の先の拠点を制圧した後に別途出撃させると時間を短縮出来るのでお勧めです。

唯一不満に感じたのは覚えることの出来るスキルがかなりの数になるにも関わらず装備可能なのは4つと非常に少ないという点。
この為新しいスキルを習得したとしても大半が一度も使われずに放置されてしまう。
この辺りを補助する為の装飾品なのだとは思うが、それでも少し物足りなく感じてしまう。





・システム

全画面化に問題があるが、それ以外の基本機能は揃っている。
次の台詞まで音声を継続する機能は古い作品なので当然付いていない。

以下に全画面に関する詳細を記す。

解像度を変更せず全画面化は可能だが強制最前面となってしまう。
攻略サイト等見る場合には一々全画面の解除をしなければならないのは相当な手間。
また全画面に関する設定自体もスタートメニューに登録される"起動時設定"のみからしか行う事は出来ない。

ゲームパッドにも対応しているが、ゲームパッドは未所持のため評価不能。
キーボードでの代用も不可のためゲームパッド未所持の場合はほとんどの操作をマウスでこなす必要があるので注意。
カーソル自動追尾機能があるのでそこまで大変という訳ではないが、右手をマウスに拘束されてしまうのは不便の一言に尽きる。





・音楽

特筆すべき点は無い。














・総評

戦闘面での快適さはやはり素晴らしい。
複雑な謎解き要素も廃されているので、ゲーム性のある作品が苦手という方にも安心してお勧めすることが出来る作品となっています。
世界観は戦乙女シリーズと共通のものとなっているが、アペンドでの追加要素以外に直接の絡みはほぼ存在しないので気にする必要は無い。