主人公を許せればかなりの名作なんではないかと。長文は主に主人公に対して感じた感想になります。
個人的にはカオヘよりきつかった。
その気持ち分かるって共感も出来るんだけど、自分勝手度・甘ちゃん度が更に浮き彫りになった印象。
今作は、カオヘに比べ他人との関わりが強くなっているなと感じます。
新聞部や家族といった主人公に対して好意的で非常に縁深い人たちが多数登場します。
そのおかけで、かなり身勝手な主人公が目立ちます。
何をしても許してくれる人たち。それにどこまでも、とことん甘える主人公に腹が立つ。
危ないから事件に首を突っ込まないで欲しいと言われても無視。
家族が危険な目にあっても、その場ではちょっと反省するものの、これまた無視。
次に、非常に冷たい印象を持たせる展開。
親しい人が怪我などをして倒れてしまい、見舞いに行ったとしても、事件に関しての事をいきなり聞き出す。
親しい人が自分を助けるために何かしようとしても、自分の身が危険だと思うと放置して逃げようとする。
等々、そこかしこに冷徹さを垣間見せる展開にうんざり。
言ってる事は分かるし、大切な事だとは思うんだけれど、それを今言うか?って場面が非常に印象に残ってます。勿論悪い意味で。
それなのに、主人公は優しいみたいな事をいう人ばっかり。
とことん主人公に甘い世界で反吐が出る。
それに、何が一番腹立つかって他力本願のところ。
僕が守る的な何かカッコ良い、耳当たりのいい良い事を決意→誰か助けてよー
このパターンが多すぎる。
自ら首を突っ込んでいるのに、キツイことがあるとすぐに他人に頼る。
自分でどうにかしようと最初はするけれど、それもちょっとだけ。
何かあるとすぐテンパり、伝家の宝刀「誰か助けてよー」が発動。
ここで頑張ってほしいという箇所で、ほぼ軒並み主人公は何も出来ずで何とかなる。
このパターンが多すぎて、そろそろいい加減にしろとしか思えない。
巻き込まれ型ならまだ許せるけれど、自ら首突っ込んでいるのでイラっとしちゃった。
そして、これも物語の都合上なのでしょう。
言われたことをすぐ忘れる。これも堪える。
ちょっと前に言われたでしょ?って事なのに、すぐに忘却の彼方に置き忘れてしまう事が多すぎる。
こっちはそれ、さっき言ってたし、気をつけなきゃダメでしょってなってしまう。
結構大事な事もまた後でみたいな感じでスルーしてしまうし。マジ鳥頭すぎて勘弁です。
コレは展開上そうしているんだろうなって感じてしまい、物語に没頭していても何か冷めてしまいました。
また、「えっ」とかが多い。
何か話しかけられる度、「えっ」とか言われると段々腹立ってくるんですけど。
それに絶叫も多いし。凄まじく分かる。非常に共感できるんだけど、とっても鬱陶しくなってくる。
多分、こういう主人公だからこその物語なのだろうなとは感じます。なにせ「妄想」科学ですからね。
人見知りなのに、誰よりも目立ちたく、誰よりも優位に立ちたい。
当事者になりたい、誰も知らない情報を手に入れたいそれを誰かに話したい。
こういった気持ちは大変共感できました。
でも、ストレス度が半端ないのです。
受け身で頭でっかち。頭で考えてから行動しようとする。
でも、迷って動けなくなる。
一生迷ってろ…!
そして失い続けるんだ…
貴重な機会(チャンス)をっ!
と某利根川さんの言葉じゃないけど、こういう人物は成功できないと思う。
なのに、周りの人がアクションを必ず起こす展開で上手くいくのはどうも・・・。
物語の展開の方は、一周目は強制→個別→TRUEとなっています。
大体一周目で事件の真相は分かります。
個別はそのキャラの紹介的なお話で、わりと短いし、あーそうなんだってなります。
乃々ルートに関しては、良く出来ていたなと感じます。
まさかの展開で驚きました。でも、納得できるんですよね。
それだけ一周目がキッチリと作られています。
そして、TRUE。こちらはあっと驚く伏線回収で個人的には大変楽しめました。
TRUEを読むと今までちょっと疑問だったものが、結構スッキリしますし、心に残る良い話だったと思います。
ここまで読んでもう一周すると、久野里さんの態度やその他諸々、こういう事なのかと感じられる良い塩梅。
伏線の張り方、回収が絶妙。驚きの連続でプレイしててテンション上がる。
そして、エンドロールが流れた時・ラストを見た時軽く放心しました。
物語は綺麗に纏まって完結しています。
周回するときは若干タルかったものの、目を見張る完成度だったなと。
非常にカッコ悪く、そして非常にカッコ良い主人公だったなと感じました。
因みに、バトルモノと期待してプレイすると肩透かしになるのでご注意を。
FD的なモノを作ってもらえたら嬉しいなって思います。
妄想でも何でもいいから宮代たちの心からの笑顔が見たいです。
最後にどうしても言いたくなったネタバレ一言。
TRUEで宮代くんが世莉架に好きな事しているか的な質問して、そうだよ的な答えを言ったの見て、グッときた。
宮代くんも万感な思いだっただろうと勝手に感じて泣きそうになりました。