遊べるエロゲとしてのコスパは圧倒的。アプデでブレなければ神ゲと言って良かった残念な作品。
このゲーム、いろんな評価があると思うんですよ。でも、同人の、サークルといっても一人でシナリオからCGからゲームデザインから何から何までこなしていて、しかも2000円ぐらいでここまで遊べるゲームに仕上げてくるのは相当なものだと思う。
ゲームとしてはRTSタイプの戦争モノ。領土経営が無くてちょっとした探索などのイベントがある、いわゆる地域制圧型SLGの部類ですね。戦闘は一騎打ちで、概ね兵種とスキルで決まる、ごくごくシンプルな戦闘。マップ攻撃があるので、その運用が戦略の基本となります。システム的に奥深さは感じられません。例えばパーティ組めるようにすればもうちょっと戦略性が高くなったのではないか、という意見はファンの間でもありましたね。
ただ、敵AIについてはそこそこマジメに設定してある感じを受けますね。商業の国盗りSLGはどちらかというとこの辺が雑でして、その分イベントですとかアドベンチャーゲーム的な部分を充実したりしているケースが多いのですし、それが逆にウケたりするのでわるいわけじゃないんですけど、敵AIの戦略思考でドラマチックな展開を演出したりとか、そういった部分は弱い。その点、このゲームは複雑ではないにせよ、ある程度こちらの動きに合わせて手を打ってきたりする。雷神7なんかもそうなのですが、戦略アルゴリズムに関しては商業作品の国盗りゲームよりも同人の方がしっかりしている印象を受けます。
あと、前作のリーネ無印と比べてUI等が素直に進歩していて、遊びやすくなってます。当然といえば当然ですけど、移動とか防壁修理等で一斉選択ができるようにしたのはいいことですね。欲を言うと武将に消費系アイテムを与えるとき個数を選べると楽だったり、細かい部分に向上の余地はあるんですけども。
システム面に比べて、ストーリー面は正直読まなくていいレベルです。王位継承順の話とか、ゴチャゴチャさせただけで別段面白いわけではない。それをやるならルードヴィヒがいらないか、または子供が死んで豹変したみたいな話の方が素直な気がします。相手を前作みたいなテンプレクズにしたかったのかもしれないですけど。
ラスボスも正直イラネって感じです。唐突すぎる登場のわりに前作の使い回しボスですし。爺なのに「皇子」ってのも微妙かな。ヒッピアが「皇帝」なんで、格下感も出ますし。
エロはほとんど鬼畜NTR。見せつけ・屈辱タイプのNTRです。主人公との純愛も各ヒロイン一枚ずつ、申し訳程度にありますが、基本的に主人公はNTRを見せつけられるだけの存在として扱われてます。顔無しのモブっぽい、ウジウジしがちなテンプレ型のNTR主人公って感じです。
絵の質自体は同人レベルでは頑張ったね、というぐらいのモノです。
複数ヒロイン制ですが、キャラクターの面白味はイマイチ。リーネとマリオンってどっちか一人で良くない?とか思ってしまった。何より体型がほとんど一緒です。顔隠すと誰だかわからないんじゃないかなぁ。もっとつるペタとか色々あっても。。。
この製作者の方、同人誌制作とかそっちではなくて、プログラミング畑の人なのかもしれません。ストーリーとか絵に関してはこれ以上の向上は望めそうにない気がします。
で、看板のNTRは、①敵方に捕まって時間がたつとレイプ快楽堕ちの女囚システムと、②聖王ハーレムの二本立てですね。
特に聖王が大変よろしい。戦争やってる最中に、女性武将をハーレムに引きずり入れるため親衛隊を飛ばしてくるわけです。背中から弾が飛んでくる感じですね。女囚はかなり猶予があるのですが、聖王ハーレムは入れられるとほぼ間違いなくお手付きになるので、予防でハーレムを増築しておくか、場合によっては攻略対象外のヒロインを生贄にしたり、わざと敵に捕まえさせたりするテクニックを要するわけです。これは良く考えたものだなと。ちょっと蛇足ですが、ヒロインは女囚でも聖王の側室になっても兵数がアップします。女囚だとさらに専用兵種になる等、NTRをさせるためのモチベ作りもなされております。
国盗りSLGで負けレとか寝取られは一見親和的に見えて、その実回収がクソメンドクサイという欠点があるのですが、聖王ハーレムはこの部分をうまく解消できている。
その分、女囚が前作同様の面倒さがあり、目立たなくなってしまっているのが残念です。トラップで汎用の誘拐イベントなんてあっても良かったかもしれない。
ボテHは無いですが、立ち絵差分でボテがあります。「お前の女を孕ませてやったぞ、ワハハ!」と見せつけられるわけですね。基本だと思います。
主人公とは何千回Hしても妊娠しません。ここ、重要ですね。聖王ハーレムの方は一部例外を除いてお手付き後もヒロインを攻略対象とできるので、エンディングで聖王のモノと比較されたり、ビッチ化したヒロインがやらかすなど、かなり手が込んでいるなと感じます。
ただし、エロテキストは女囚側の方が出来はいいと思います。聖王ハーレムは初夜のみ陰湿で、あとはよくあるマジカルチンポ堕ちでしかありませんが、女囚の方は前作以来のストリップの延長だけあってヒロインが堕ちるまでの調教過程をねちこく書いてます。
以上のように同人NTRモノとしてはかなり優秀な作品だと思われるのですが、発売当初はエンディングCGがあるのは一人だけという大変お粗末な状態でありました。その後、アプデ→バグ発生→修正の繰り返しを経て、約一年後にめでたく全CGのそろった完成品となるわけです。残念ながら当初より存在していた進行不能バグについては最後まで解消されませんでしたが、頻発するわけでもないので、所詮同人だから、で納得できるレベルに落ち着いたのでした。ですので、この辺についてはむしろ無償アプデを最後までやり切った、商業も見習ってほしいぐらいのサービスだと思っております(そもそも商業だったら論外のレベルですが)。
個人的に大変不満に思っているのは、アプデの過程で製作者がブレたことです。発売当初は中盤、「絶対に二人、ヒロインがNTRれる」イベントがあったのです。NTRゲーとしては当然すぎることながら、NTRは回避できなかったのです。ところが、恐らく一部の声がデカいだけのユーザーが不平を送りつけたのか、アプデでこのイベントを選択制にしてしまいました。これは看過できない。
商業でも同じだと思ってますが、同人ならなおさら、「ユーザー様のご意見」など無視して好きなように作れば良いのです。買った方が悪いのです。内容に文句を言う輩など、どう対応しても次は買うわけがない。それにも関わらずキモの部分を曲げてヌルゲー化すべきではなかった。
個人製作であるために声のデカいユーザーに負けてしまうことは仕方ないことかもしれませんが、やはりここだけは譲らないで欲しかった。ユーザーの意見をイチイチ取り入れても、良いものは作れないと思う次第であります。
コスパを考えると製作コンセプトに沿った非常に優秀、だった作品としてちょっと割り引いた点数をつけてみました。