あらゆるレベルが最高水準だと思えたゲームだった。
2編合わせた評価です。
グラフィック
素晴らしいとしかいいようがない。これこそ企業のなせる技であり、他の追随を許さないほどの圧倒的枚数に加え、その一枚一枚のクオリティの高さも恐れ入る。背景の綺麗さも随一であり、このグラフィックだけでも十分元が取れるだろう。このレベルに到達するには相当の時間と手間がかかっているのだろうが、製作陣の本気さが感じられる内容であった。
BGM、OP、ED
グラフィックと異なり、BGMの曲数は一般商業レベルとはいえ、一曲一曲のクオリティの高さは恐れ入る。さすが天門さんと言ったところか。特にバイオリンソロの曲は秀逸であり、アレンジ曲含めて最高の出来だった。OPも文句なし。first taleはOPの入り方、およびOP曲の盛り上がりっぷりが最高であった。latter taleはそのクオリティにさらなる磨きがかかっており、今までプレイしたエロゲの中でも最高のクオリティと言っていいと思う。
演出
目パチ口パク搭載。平行して歩くシーンでの演出など細かいところに気を配っている。一枚絵がめちゃくちゃ多いのでそれ以外特筆する点はあまりないのだが、first taleでのSD画の演出(景の蹴りのシーン)がlatter taleではほぼ見られなかったので残念。グラフィックと切ってもきれない関係にあるため、総じてよかったと思う。ゲーム性はほぼゼロだが(ルートロックなど)構成的にそれを求めるのも難しいだろう。
シナリオ
まず、群像劇としてのプロット(構成)が優れているのは間違いない。これがあるからこそ分割でも許せるようなところがあり、純粋な恋愛ゲームでこのような構成を見かけることはほとんどない。群像劇では、様々なストーリーが最終的に一点に収束していくのがお約束だが、その点に置いてもきっちり抑えてあった。ストーリーに関しても、「永遠」は存在するのか?と言う美少女ゲームにありがちなテーマではあるが、神と人間の対比、人間の想いの不朽さなどを通じて非常に丁寧に描かれていた。個人的に思うことも色々あったが、間違いなくそれぞれのルートが高水準であり、ほぼ全編において勢いは止まらなかった。グラフィックに比べると、見劣りするからかシナリオ重視の批評空間では、この点では評価が低くなりがちだが、十分に高水準だと思う。
総じて、とにかく総合力に置いて右に出るものがいなかった本作。本作に出会えて最高でした。ありがとう。