特筆すべきメタ感覚
現代のギャグに「メタ感覚」は欠かせない要素である。
アメリカのコメディ番組とは異なった、つっこみ文化を持つ日本人に強い側面である。
メタ的な笑いはその性質ゆえにシニカルであり、ある種自虐的な笑いが主流となる。
"沈黙描写で笑う"もしくは"不受理描写で笑う"ことができるのも
私たちがメタ性を強く獲得しているからに他ならない。
このメタ性は自虐的であるが故に、ユーザーの持つ現実性が不可欠となる。
物語と現実を照らし合わせて差を認識しないことには成立しない。
これは当然ながら、「ユーザーが冷める」危険を孕んでいる。
ほんのわずかな違和感で一瞬にして現実に引き戻されてしまい、もう物語に入れなくなることも多い。
この危険を回避するには「スピード感」が結局のところ最善なのだと恋0では気付かされる。
『エッチシーンでひぃひぃ言わせてやんな!』(良く書いたと思う、尊敬する)という
エロゲとしてはこれ以上ないメタ描写に対しては、主人公が『どういうこと!?』と
突っ込んであっさり次のシーンに移行されている。対象であるヒロインを絡ませようともしない。
主人公によるプレーヤーに向けて行う他キャラクターの説明描写(個人的に非常に苦手、冷める)も
一行で済ますという潔さ。安易に会話を挟ませて、説明に説得力を持たせようといった小細工もない。
メタ要素を前面に出しておきながら冷めずにクリックできる驚愕のバランス感覚で作られている。
キャラクターデザイン・音楽・大文字フォント(これが一番大きいと思う)、全てひっくるめて奇跡的。
ASA Projectは是非この路線を突き進んで貰いたい。