keyとは何であるか
keyとは何であるか。
定義は・・・まぁ、色々だろうが、個人的にはファンタジーであることだと思っている。
この場合のファンタジーは別に剣や魔法の世界であるということではなく、キャラクターにおけるファンタジー性である。
この「キャラクターがファンタジー」という言葉も勝手なイメージであり、具体的に例を挙げようとすると難しいのだが、ざっくりいえば「電波」であるといえるだろう。
悪意を持って言えば知的障害といってもいい。
この場合は発達障害といったほうがイメージとして近いのだろうが、兎にも角にも現実感のないふわふわしたキャラクターであることがkeyの要である。
KANONを思い起こせば一目瞭然だろう、ヒロインはおろかサブキャラクターまで洩れなく頭のネジが飛んでいる。
keyの代名詞となっている「美しい(泣ける)シナリオ」も、本質は彼ら・彼女らのファンタジー性(電波性)による部分が大きい。
ある意味「劣等種」であるキャラクター達が何を考え、何を伝え、どう変化していくのか。このギャップがあるからこそあのシナリオはあれほどにも輝くわけである。
もちろんシナリオも大事なのであるが、『キャラクターに欠陥を持たせる』ということをここまで徹底しているブランドはkey以上にないだろう。
これに関しては「いたる絵」の持つ機能も非常に大きい。
究極的にデフォルメされている非現実的なデザインがキャラクターの欠陥性を見事にカムフラージュしている。
もしキャラクターがリアルなデザインであれば、生々しくてとても見るに耐えないであろうということは容易に想像できるところである。
さて、Rewriteである。
今作がkey作品であるか否かを判断するのは非常に難しい、何故かといえば「+α」があまりにも多いためである。
key的要素はきちんと入っているのであるが、それと同等、或いはそれ以上にkey意外の要素が大きい内容になっている。
90点という高い点数を付けているわけだが、+αの部分をマイナスと考えればこのような点数を付けるのは難しい。
ぶっちゃげて言えば、『シナリオ長すぎてだれるわー』という多くのレビューに見られる一言に集約されるといえる。
評価が割れているのはその辺りによるのであろう、「純性key」を求めているユーザーからすれば低評価になるのは良く分かる。
ただ、keyは転換期を既に大きく越えてしまったブランドであるということを加味しないわけにはいかないだろう。
そう考えると、Rewriteは実はバランスのとれたタイトルだと思えなくもない(これに関してはリトバスも同様だが)。
一度はマウスを置いたユーザーも、しばらく時間を置くと意外とプレイ出来たりするのではないだろうか。
個人的にはそれなりにkeyで十分にロミオテイストが感じられるので楽しい一作である。
日常パートの出来が非常に良いため、途中まで再度プレイすることも多い。
蛇足、竜騎士がいなければ100点。