ここまでの瀬戸口三作の中では一番面白かった。(またエロゲ書くようですが)
その中でも全国ツアーで音楽やってた間が最も楽しかった部分。
90年代初頭にBOØWYやZIGGYのコピバンらしきことをしていた自分と福岡でバンドブーム再燃を計っている彼らは同じイカ天世代じゃないかと思います。
第二文芸部バンドの行脚はそのZIGGYの"ONE NIGHT STAND"という曲を思い起こさせて凄く懐かしい気持ちにさせられました。
あまりにトントン拍子で進むので、最後も最後大舞台で落とすつもりかと思いきや30人程度の小ライブで失敗、ダメージは極小でした。
それは逆にバンド以外のところで落とし穴を用意しているのだと身が引き締まる思いでした。
中盤のキャラでは屋代が特に気に入りました。
逆に勿体なかったのは恩田正雪と白神翠。
恩田はもっと深く絡んでくるかと思いましたが、バッドエンド要員。
翠は折角東京まで追いかけてきたのに特に重要な役目を担うことがなく。
千絵と同じく父親の愛人問題に悩んでおり対比キャラというのはわかるのですが、目立った活躍はまゆきに直談判に行ったときくらい。
「悪いことしたんだから苦しめばいい」という彼女の考え方はシンプルかつパワフルで好きです。
個別に入ると勢いを失ってモチベーションが下がりますが、千絵ルートの「ロックンロール!」EDが本作で一番好きな終わり方。
勢いがあるし、この言葉の使われ方が良い。
ただ発売後人気投票で千絵が一位だったのは消去法でそうなっちゃったのかと思うところあり。
紗理奈ルートでは主人公の好感度が高い。
紗理奈の痴態を思い出して抜いちゃったり、三人のおっぱいを仕返しに触ったり、とても親近感が湧きます。
ただEDはあっさりし過ぎというか、そこで終わるの?ってぶつ切りにされた感。
どのEDにもエピローグがないというサッパリ仕様なので猶更。
きらりのバッドエンドは死んでからかなり長いし、夢と現実を行ったり来たりで混乱するし、ライブでの鹿之助のモノローグもさっぱり意味がわからないし、読後感がかなり悪い。
風俗落ちしたらヒロインとして死んだも同じなので、きらりを殺してあげたのは瀬戸口氏の優しさだと思います。
(最後にきらりに会いに行った次の日に挨拶に行ってそのまま働く予定、火事は会った三日後なので実働は一日か二日)
やっぱりヒロインが居ないのにだらだら続くのは面白くないですよ。
じゃあアキと色っぽい話になるのかと思ったらそんな素振り全然ないし。
ここまで現実世界で話を進めてきたのに夢や幻想と会話するのも好きではない。(同じ理由でギターの霊も嫌いです)
きらりのEDがこれしかなかったり、トゥルーで父親が死ななかったりしたら-50点はしていました。
父親を見殺しにしたのは主人公と読み手の望みが一致するシンクロが見事でした。
バッドの方で経験した「死ぬならお前一人で死ね家族を巻き込むな」というフラストレーションからの解放。
といってもトゥルーはみんなうまく行って良かったというだけの話で、あまり印象には残らない話でした。