低クオリティ
セーラ以外、特に魚尾姉弟の絵は手抜き感が強く作品自体にチープ感が出てしまっている。
声優も全く悪くはないのだが、Lump of Sugarに期待するのとは逆のありふれた顔触れでそそられる部分はない。
妙なゲーム性は排除されてオーソドックスな選択方式になっているが、選択肢でセーブ出来ないという独り善がりな部分は継続。
ログから選択肢前に戻れるからいいという話ではない。
では話はどうかといえば、粗だらけでそれはもう酷かった。
やりたい演出や展開にばかりこだわって、キャラクターの立ち位置や心情を蔑ろにしておりドッチラケである。
特に佳津美と楪は知性派キャラでやってるのに、話の都合を通すことに関してはとことんバカになる。
制作側のキャラクターへの愛情という話は置いておいても、筋の通らないことが嫌いな自分には読んでいて辛い。
・共通
ギスギスして雰囲気はよくないが、恋心の持ち主が誰なのかは気になるので早く金曜日にならないかなという気持ちで進めていけた。
ただその儀式が投票制ということに納得がいっていない。
以下がセーラによる儀式の説明。
「ワタシとおまえらの間で結ばれた契約の発端。すなわち、そいつとの契約を解消すれば全員とのやりとりが無効になる」
「つまりこの儀式は、全員の同意を募るもんだ。多数の同意を得てはじめて、ワタシはそいつに恋心を還せる--というより、自動的に返還される」
前半部分はそのまま理解出来るが、後半で全員と言った直後に突然多数(決)にすり替えが行われるのがわからない。
全員一致が条件であれば『十二人の怒れる男』のようになってさっぱり話が進まなくなるだろうが、かといって多数決という大雑把な仕組みで魔術契約を破棄出来るというのはしっくりこない。
間違えても罰があるわけでもないから緊張感だってない。
儀式を引き延ばしたかったり恋心が戻ってきて欲しくないと思っているのに皆律義に儀式に参加する。
不参加で儀式を行えなくすれば他メンバーとの仲が悪くなるかもしれないが、楪と佳津美は元々距離を置いて付き合っているのだから大した支障はないだろう。
大体多数決という仕組み自体が、切り捨てられた少数派に遺恨を抱かせるものだ。
決の後にナアナアで済んでいるのは悩みが深刻ではないからだろう。
現在の儀式もまた"コドモノアソビ"に過ぎないとタイトルを付けたなら上手くハマっている。
・みちる
いくら頭数合わせヒロインとはいえ、最初にプレイしてげんなりした。
主人公「鶴巻、佳津美、お前らが俺のことを好きなのはわかっている。それはそれとして、勇気を出せないみちるを落とすために俺に協力して一芝居打ってくれ」
みちるの知らないところで度々密会していた様子とサポートを見るに、裏でこれに近い結託をしていたと思われる。
主人公のゲスさもさることながら、セーラが持て余しみちるが脅威を感じていた楪の"強烈な恋心"とはこの程度の物だったのかと、ここまでの積み重ねが一気に陳腐化してしまった。
更に恋心を返還したセーラの気持ちがどう変化したのかも全く触れられていない。
別にガチで奪い合う修羅場を見たいわけではない(むしろゴメンだ)が、ハードル競争をスタートしたら障害物が自動的に消えたり倒れたりしてただの短距離走になったような感覚。
憂いをなくしてから存分イチャラブ展開に入るのは文法としては正解でもこんなに雑な片付け方をされてもノっていけない。
楪と佳津美の恋心はもうないと示すためにわざわざ設定追加してまでセーラを再度召喚しようとするくだりは機能していなかった。
そんなの楪と佳津美が口で言えばわかるし、それでは信憑性が薄く見えそうだというならモノローグで二人に喋らせればいい。
ヤッターもう恋心抱いてるのはみちるだけダーという喜び?より、なんだよセーラ帰ってこないんじゃんという残念さの方が圧倒的に上回る。
ラストはオート演出でEDに入るが、そこまでする程の話じゃないでしょう。
・佳津美
セーラが恋心を失ってしまったかのように大人しい。
佳津美とイチャついていても何のリアクションもない。
5/8の儀式を迎えるにあたり、みちるルートと違って恋心がまだ戻っていない楪と結託するのはありだろう。
しかし誰のための呪い解除であったか?
「儀式は終わらせない」じゃねーよ。
セーラを解放してあげるという目的を完全に無視している。
事前にセーラにも相談して了解を取り付けておかないのは論外だし、篤郎はロールがあってもいいと思っているのだからそもそも儀式を行う必要がない。
儀式前に中庭で佳津美と話をしたとき、その後教室で佳津美がカミングアウトしたとき、どちらも主人公が佳津美に告白出来るタイミングだったであろう。
儀式が終わるまで告白を引っ張るのは、勿体ぶって佳津美を不安にさせる時間が伸びただけで意味はない。(終盤で、自分の思いに気づいて即行動したと言っているが鳥頭か)
篤郎に票が集まるという意外性で思考力を低下させ雰囲気に流されやすい状態にしてから佳津美への告白シーンに入り感動させようという魂胆が透けて見える。
セーラが恋心に苦しまされている描写が個別ルートに入ってから無くなったのも、儀式を終わらせないことによる被害者がいるという要素から読者の目を逸らさせる意図があっただろう。
話を進めていくと、5/15に集まったとき皆が口を揃えてもう儀式する必要ないじゃんという流れになるが、儀式続けるとかセーラ頭おかしいんじゃないの?とバカにされるのがいたたまれない。
いやほんとこいつらなんなの……。
また、あれだけ疎んじていた自分のロールを解消したいという気概が主人公から消えている。
儀式で下手こいて昔の恋心戻ってきても困るから、天秤にかけてロールは受け入れるという葛藤すらない。
そして再び意外性を演出したいがために、主人公と佳津美はお互い黙って策を弄すわけだけども。
何で話し合って決めないかね?
この体質は将来何か大きなトラブルを起こしそうで、客観的に見て相性がいいとは言い難い。
佳津美は自信マンマンで恋心を失ってもまた取り戻せると言っているが、みちるルートでは諦めている。
悪魔が契約を結ぶために自分から人間の前に現れることも出来るそうで、みちるルートのセーラとのお別れやら再召喚の儀式やらがとんだ茶番にされてしまった。
主人公「みちる、お前が俺のことを好きなのはわかっている。それはそれとして、佳津美とうまくやるために利用させてくれ」
はい出ましたこれ。
利害は一致しているのかもしれないが、こうも主人公への恋心を要らない・捨てたいとヒロイン達が思うのは純愛物としては如何なものかな。
法的には兄妹のままだが虚飾者のロールで産婦人科医を誤魔化した、ってどうにかしなきゃいけないのは法的な方だろう。
場当たり的にその場その場は誤魔化していけても、直接会わない役人には書類上私生児でしかないわけで世間体なんて些末なことよりどうにもならない部分が出てくると思うんだけども。
終わってみればみちるルートに輪をかけてダメダメだった。
返還された篤郎の恋心が明かされていないが、対象がヒロインだったから書けなかったのか、物語に関係ないからスルーされたのか。
ともあれ誰も質問したり気にも止めなかった辺り篤郎がメンバー内でどういう存在なのかよくわかる。
5/16誕生日なのに覚えている者もいない。
・楪
ルート開始早々、召喚されてもいないのに押し掛けるのは駄目なのだとセーラの言。
佳津美ルートで言っていたことと違う。
複数ライターにルート間の整合性を期待するだけ空しいか。
で、ウェルギィから延長戦の提案があるが……これに何の意味が?
乗り気なのがみちると佳津美、その一方セーラと楪と主人公には強制参加だという前提も不参加のペナルティも無い勝負に参加するメリットがない。
それどころかようやく忌まわしいロールから解放されたというのに、また進んで呪いにかかりに行く理由がない。
楪に関しては、自分の恋心をとにかく邪魔に思っていて参加した上でわざと負けて消してもらいたい目論みがある可能性もあるが、とにかく楪は不自然なまでにこの場面での台詞がなく真意が読めない。
みちると佳津美にしても、昔の恋心が必要だった理由は、他人が持ち主だと強力なライバルになって困るから。
楪だと判明した時点で昔の恋心は無用の長物。
現在の気持ちで勝負することと違いはないはずだ。
突っ込んで考えてみると"ルールその2:勝者のみ恋心を徴収されない"これが動機である可能性が高い。
自分以外のライバルの恋心を無慈悲に刈り取ってしまえる、その非道さたるやまさに悪魔の所業だ。
そしてみちると佳津美両名共、親友と好きな相手を苦しめるロールを期間限定とはいえ再び押し付けることに何の躊躇も見せない。
敢えて言おう、カスであると。
そもそも一番大事なのは主人公の気持ちであって、自分の恋心の強さ(=戦闘力)が強い人間が勝つみたいな考え方は、相手の気持ちをまるで慮っていない。
ここまで利己的だと、主人公が好きなのではなく恋する自分が好きなだけではないかと疑いたくなる。
結局新しい儀式は成立してしまうのだが、口に出したことが何でも実現する虚飾者のロールを佳津美が使えば簡単に片が付く。
勝者が決まるとロールが消えるルールとの兼ね合いにより直接的な使い方は難しくとも、いくらでも有利にすることが出来るはずだ。
みちるの「つみ」という呼び方を受け入れているし(自分が一番嫌だと思っていることをあだ名にされるのは相当な苦痛だろう)まだロールがあるか試すため理路に使っているので、罪がどうこうのこだわりは捨てたと思っていたが佳津美は使わない。
なりふり構っている余裕があるようで、本当に主人公を好きなのか真剣味を感じない。
今ゲーム内では4/30。
ギブアップは嫌なので未読スキップで飛ばしてしまいたい誘惑と戦いながら、究極に詰まらないそれからのgdgdを読み進めていく。
セーラがロールを使わないのは自分のルートで重要になるから伏せているのだろうと一応納得は出来るが、楪がムカつく。
やってることちぐはぐ且つ中途半端で、こんな女に振り回されるのまっぴらゴメンなんだよ。
当て付けで他の女とくっついてザマアしたい。
まあその時には楪の恋心も消失してダメージがないであろうことが悔しいが。
主人公のストーカー行為も大概キモいんだけども。
で、ロールが恋心で暴走して自分がどうなるかわからないから主人公を避けていたという真意がわかって、もう怒りを通り越して呆れ。
新儀式に参加しない(=ロールを再取得しない)で恋心と向き合えばいいじゃねーか。
主人公と付き合えたらロールが消えるんだからそうなった後に恋心全開になっても問題ないじゃねーか。
自分から問題を抱え込みにいって悲劇のヒロイン気取って、頭悪すぎでしょこの女……。
まあ一番悪いのはこの支離滅裂な話考えた奴。
新儀式のルール説明では「勝者のみ恋心を徴収しない」と言っただけだった。
だから、主人公を射止めても彼の恋心が消えて片思いになってしまうというルールの穴をどう埋めるか注目していた。
結果は「清澄と清澄の心を射止めたものの恋心は奪わない……そういう約束だ」
そんな約束してないから。
言い回しや言葉尻に疑問を持たない主人公達は、悪魔との契約というものをいかに軽く考えているかがわかる。
主人公も恋心を奪われない対象だったことで返還されたはずの過去の恋心について言及もない。
まさか、それこそ勝者1人にしか還って来ないのだとしたら、主人公が参加した意味が本当にない。
そして楪と付き合うことになるが、この期に及んで自分の気持ちが本物かわからないと言い出してまたgdgd話を引っ張る。
そんなことは新儀式終わらせる前にいくらでも尺があったのだから片付けておけよ。
ただただ無意味に話が長く、容量水増ししてギャラ増やすことしか考えてないんじゃないの?
CGにも引っかかるところがあり、胸を潰さず和服を着ていることはまあ他のゲームでもよくあることだしそこまで気にはならない。
しかし弁当を食べるイベント絵が大変下品である。
ミニの着物はそれでいいものだが、楪が着てきたのは正統派の和服だ。
裾をはだけ膝頭を出し腿を晒しているだらしない姿はまるで遊女のようである。
老夫婦とのやり取りを見て、楪は育ちがいいというシーンが直前にあったため尚更違和感が湧いてくる。
個別ルートをプレイする毎に中身が酷くなっていく。
・セーラ
恋は戦争だから有利になるならズルいことでもやるという癖にロールを使わない佳津美の舐めプに相変わらず釈然としない物を感じるが、楪ルートでこの辺りのことは散々書いたので割愛。
新儀式参加に誰も否定的でないのは、ウェルシュの能力で参加しないと主人公と付き合えないという幻想を植え付けられているのだと考えることにする。
5/5廃工場に集まりセーラに戻ってこいと表明した時、もうウェルシュ呼んで新儀式終わりにしても良かったのでは?
互いに決意しており、意志も表明もした。
それ以上何が必要だというのか。
けじめを付けるとは何だったのか。
そしていざ新儀式を終わらせようというところに、まだ続ける宣言。
諦めきれないというなら、恋心を徴収してきっちり引導を渡してあげる方向で同意を促すのも情けじゃないかね。
まあセーラとの恋人生活に影響しないなら別にいいかと思ったが、早速アピール合戦という下らない尺稼ぎイベント。
いい加減にしろ!!
皆に迫られてモテまくりの俺つらいわーきっついわー。
ここまで来てそんなイベント要らん。
とうに勝敗は決しているのに主人公とセーラの仲を見せつけて敗北感の上塗りを強いているだけ。
悪魔でも天使でもいいが「恋は一対一でしか叶わない(同時に複数人を好きになることは出来ない)」という間違った前提を下地にしてるからこんな滅茶苦茶な話になるんだな。
そういう決め付けで敗者を救ってやろうと余計なお世話をするのが儀式の意味だったと。
つまりウェルシュ達を作った創造主(制作者のことだわな)が無能。
ちなみに篤郎の恋の相手は駄菓子だった。
Hシーンロール使用時声エフェクトで-5点。