ErogameScape -エロゲー批評空間-

bichigusoさんのつよきす3学期 Full Editionの長文感想

ユーザー
bichiguso
ゲーム
つよきす3学期 Full Edition
ブランド
CandySoft(きゃんでぃそふと)
得点
87

一言コメント

さらばレオ世代

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ツリーイベントまで4時間、共通全員分終了まで7時間半。
1人(乙女)クリアまで11時間半。
7人クリア(全選択肢制覇、アフター未着手)まで37時間。
ボイスメッセージを聞き終わりフルコンプまで43時間。
無印Full editionコンプが24時間、2学期が14時間だったことを考えると相当なボリューム。
立ち絵の演出が省略出来ればスキップがもっと速くなって時間短縮出来たと思います。
色々詰め込んで割を食ったのはHシーン。
1学期・2学期と比べても少ないし、祈・真名・豆花で9枠があったノーマル3学期と比べても少ない。
CGは新旧入り混じってごった煮状態になっているので中には違和感がある物も。
懐古主義のつもりはないものの、新しい程好みから外れる絵柄。

シナリオはどうしてもタカヒロ氏と比べたくなりますが、無印の笑い度を100としたら本作は40くらい。
しかし個別ルートの構成の上手さで言ったらこっちに軍配。
特に素奈緒ルートはフカヒレやカニがダメスキルを以って活躍していてとても面白かった。
そして驚いたのが、エリカや乙女が魅力的に感じたこと。
タカヒロ氏の女性上位は自分にはキツ過ぎて反感が先に立つので、このくらいマイルドな方が受け入れやすいのだと思います。(要芽とか森羅とか苦手)
そのマイルドさが裏目に出たのが、まさに無印で好きだったカニ・なごみ・よっぴーのルート。
カニと甘々バカップルをしない、なごみんはデレデレにならない、よっぴーは悩んでる内容が同じ。
さて残ったのはキャラデザとチョロイン属性で2学期では一番好きだった瀬麗武。
新たな強キャラとして登場したものの噛ませ扱い(生徒会長選挙、vs乙女等)と薄いシナリオで苦汁を舐めた2学期に比べてどうだったか。
結論は、「大差なし。」
尺は他のヒロインと同等に取ってあり、キャラの掘り下げも確かに進んだ。
しかし魅力が存分に引き出されていたかといえば期待未満。
あかり先生もトラブルメーカーとして話を動かす役以外に存在価値を見出せない。
2学期からの追加キャラの使い方に苦労している印象を受けました。
欲を言えば、熊のニュースにはオチをつけて欲しかったところ。

総合すると、好きじゃなかった3人の評価が上がり、好きだった3人の評価は下がり、1人は据え置き。
さかき傘氏の書くキャラはデレや萌えが散発的で、"状態"に入らないためガツンとくる突き抜けたヒロインがいない。
これは全員が横並びになったと言えなくもない。
実際本作で一番好きな子を挙げろと言われると凄く迷ってしまう。

一番キャラ変わったなと思ったのはスバル。
レオに対する想いが、友情を超えて愛情レベルまで行ってそうなベタベタした絡み方。
女々しくなったと言うのが最も適しているかもしれません。
フカヒレは活躍の場が増えたと思います。
あと気になったところは、よっぴーがレオを好きなことをエリカが全く気付いてなかった点くらい。
公式WEBサイトでなごみのバストサイズが87から84に減っていたのは設定変更?ただの誤植?
ボイスメッセージが、声優メッセージじゃなくてキャラコメンタリーになっていたのが良い。
過去作で子安の「こんな仕事したくねーんだよ」という嫌々収録した感バリバリのメッセージ聞いて最後にテンションだだ下がり後味が悪くなりましたので。

終わってみて、他人が産み出した世界をよくここまで引き継げたなという感動があります。
そこは小説版で培ったノウハウゆえか。
全体的に大人しくなってはいるものの、集大成としては満足のいく出来でした。
『マジこい』よりも好きな舞台だけに、これで終わってしまうのが寂しい。