つまらない。怪盗が限られた期間の中で情報を収集しつつカードデッキを構築、警戒網を突破してお宝を持ち帰る、というアイデアそのものがつまらないものではないとしても、それをただただ繰り返し最適化する作業に時間を費やすのは、魅力的なご褒美なしでは苦しすぎる。
何がつまらないって、まずゲーム進行のご褒美であるテキストが弱い。
だからゲーム進行に対するモチベーションは低くなる。
なのに、ゲームの進行が遅すぎる。
新しいテキストを出すには周回プレイを重ね繰り返し試行錯誤することが必要で、中々ゲームが進行しないが、それで出るテキストがあんまりご褒美にならない。それだけならいいのだが、今作はゲームプレイそのものに対する喜びも弱い。それはカードゲーム風のゲーム内容そのものではなく、「確実にゲームが進行している」という事実を示す指標が少なすぎることに問題があるように思う。
「見ていないテキストを出す」という行為がゲーム進行の目的そのものになっていて、ゲームが進行することによって次々とテキストが出てくる、という形になっていない。テキストに大きな魅力を感じていない限り、これはかなり遊びとして苦しい。さらに、キャラクター間の関係の変化、新たに行ける場所、辿り着けなかったテキストの出現、デッキやキャラクタの幅広い育成など、付加できたはずの楽しみやご褒美、ゲームの進行を示す指標がことごとく弱い、少ない、あるいはない。
ソフトハウスキャラはデッキを構築しているだけで脳汁が出るような完成度の高いゲームは作れなくても、それを魅力的なご褒美で補うことはできる…と、思ってたな…。
CGとUIは最先端のものではないが、ソフトハウスキャラの過去作と比べれば着実にきれいになっているとは思うし、それは大きな問題ではない。
かつて感じた「キャラクタたちの身内として招き入れられていく感じ」がないのは、自分が年をとったからなのか、単にこのゲームにそれだけの力がないのか、周囲との比較でハードルが上がってしまったのか、正直判別はつかないが、苦しかったなあ。